ブックタイトルメカトロニクス8月号2018年

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概要

メカトロニクス8月号2018年

MECHATRONICS 2018.8 45 この時期、造船技術は世界水準に追いつき、1905年に池貝鉄工所が米英折衷仕様の池貝式標準旋盤(アイノコ旋盤)の完全製作に成功するなど技術面で大きな進展がみられた時でもあった。 また、工場の動力源として重要な電力も表1に示すように1880 年代から順次、設立され、電力インフラが整備され、1920 年代には電力業をはじめとして諸産業が勃興した。2) 第一次世界大戦は1914~1918 年にかけて戦われた世界大戦である。 大戦の前半から発展を遂げたのが造船業、海運業、鉱業であり、大戦後に始まった不況は、1923 年の関東大震災の影響もあり、1927 年の“ 金融恐慌”、1929 年の“ 世界恐慌”を経て、1930 年の金解禁に伴う“ 昭和恐慌” へと事態が深刻化した。 主として後半に発展したのが化学工業、金属工業、機械器具工業、そして、紡績業、電力・電気鉄道については主に第一次大戦後に新設拡張した。 また、1931 年に制定された“ 重要産業統制法”によって、日本製鉄や大王子製紙などが成立し、企業合併が進んだ。大企業の支配力は高まったが、一方で政府の企業活動への規制がもたらされた。 1937 年の日中戦争の勃発以降、政府は経済統制を強め、1938 年“国家総動員法”を導入し、こうした経済統制へと進展したことで、1939 年には第二次世界大戦へと突入し1943年“軍需会社法”が制定された。 1945 年に終戦を迎えるまで悲惨な状態が続いた。 以上、明治時代から第二次世界大戦までの時代の動きについて紹介した。<参考資料>1.年次経済報告「新しい世の中が始まる <明治以来の日  本経済>」 経済企画庁資料(2000年7月)2.“電気の歴史” 電気事業連合会http://www.fepc.or.jp/enterprise/rekishi/meiji/index.html日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第2回 <明治時代以降の変遷>写真1 高炉(1901年) 表1 電気・電力関連の50年間の歩み年 度 電気・電力関連の歩み1878年  虎ノ門の工部大学校で、初めて電灯「アーク灯」が点灯。「 電気記念日(3月25日)」の由来1882 年  東京・銀座にアーク灯が灯され、市民が初めて電灯を見る1885 年  日本初の白熱電灯が東京銀行集会所開業式で点灯される1886 年 初めての電気事業者として東京電灯会社(現・東京電力の前身)が開業 初の自家発電の電灯が大阪の紡績工場で点灯される1887 年 名古屋電灯、神戸電灯、京都電灯、大阪電灯が相次いで設立 東京電灯が第二電灯局を建設、日本初の火力発電所が誕生(出力25kW)。 家庭配電(210V 直流)を開始1888 年  初めての自家用水力発電所が宮城紡績所に誕生1889 年  アメリカから交流発電機を輸入し、大阪電灯が交流式配電を開始1890年 品川電灯開業 第3回内国勧業博覧会で日本初の電車を運転 警視庁が東京電灯に電柱広告を許可(電柱広告のはじまり) 深川電灯開業 東京-横浜で電話局が開設 東京電灯が浅草凌雲閣でエレベーターを運転。初の動力用電力を供給1891年 帝国電灯開業。 電気営業取締規則が制定される1892 年 東京電灯が電灯1万灯祝典を挙行(開設当時の電灯数130 余灯が5年あまりで1万灯を越える) 日本初の営業用水力発電所、京都市営蹴上発電所完成 (当時の出力160kW、現存する最古の水力発電所で現在も4500kWで稼働中)1893 年  前橋電灯設立。 日光電力開業。 桐生電灯設立1895年 八王子電灯設立 東京電灯・浅草発電所操業開始 (このとき使用したドイツのAEG製の発電機が50ヘルツであったのが、東日本標準50ヘルツとなる)1896 年 東京電灯・浅草発電所で国産初の発電機を使用 電気事業者の監督行政が全国統一化 (この頃の電気事業者は火力発電23 ヵ所、水力発電7ヵ所、水・火力併用3ヵ所、電灯数12 万 )1897年 熱海電灯設立 大阪電灯がアメリカ、GE 製の発電機を増設 (この発電機が60 ヘルツであったので、西日本標準60ヘルツとなる)1899年 猪苗代湖安積疎水を利用した郡山絹糸紡績の沼上水力発電所が運転開始(出力300kW、送電電圧 1万1000V、送電距離22.5km、長距離送電のはじまり) 。 甲府電力設立1900 年  電灯照明が20 万灯に1901 年  東京電灯が国産変圧器の使用開始。 京浜電気鉄道が電灯・電力供給事業を開始1902 年  宇都宮電灯設立。 農業の電化が始まる1904年 鉄道の電化が始まる1905 年  茨城電気設立1906 年 電灯照明が50 万灯に。 東京電灯・千住火力発電所で初の蒸気タービン発電機の運転開始 鬼怒川水力電気、宇治川電気、東京電力など設立される1907年 東京市の電気局が電灯・電力供給事業を開始 東京電灯・駒橋水力発電所が一部竣工、東京へ送電開始 (初の送電電圧5 万5000V、送電距離75km、特別高圧遠距離送電のはじまり) 千葉電灯開業 電力需要が激増し、電気事業者が増加(電気事業者数146 ヵ所、 火力発電7万6000kW、水力発電3万8600kW、電灯数78万2000)1908 年  常磐電気設立1909 年  逓信省に電気局開設1910 年  逓信省に臨時発電水力調査局開設1911 年 電気事業法交付。 猪苗代水力電気設立 日本電灯設立(1913 年開業、下谷・浅草方面に地中式配電開始)1912年 東京市内に電灯がほぼ完全普及する 水力発電の出力(23 万3000kW)が火力発電の出力(22 万9000kW)を超える 日本初の鉄道の電化が国鉄によって横川・軽井沢間で実施1914 年 第1 次世界大戦勃発。日本も日英同盟を口実にドイツに対し宣戦 家庭用電熱器の供給制度が始まる 猪苗代水力発電所完成。翌年、東京まで228km の長距離送電を開始。 当時世界第3 位の規模を誇る1920年 過剰電力処理のため、電気化学工業がおこる1923年 京浜電力の竜島発電所と神奈川県戸塚間(200km)で送電開始(日本初の15万4000V送電)1924 年  東京電灯、大同電力間に電力融通契約成立。東西大送電網完成に向かう1925 年  電力供給量が280 万kW に1927 年  電灯普及率が87% に1929年 全国総発電出力の50% が5 大電力会社に集中。 工場の電化率が69% に1934年 初の揚水発電、北陸電力・小口川第三発電所、東北電力・池尻川発電所が運転開始