ブックタイトルメカトロニクス5月号2018年

ページ
10/52

このページは メカトロニクス5月号2018年 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

メカトロニクス5月号2018年

10 MECHATRONICS 2018.5 御社の概要などについてお聞かせ下さい山本 : 当社は1949年5月に設立した会社で、元々は株式会社日立製作所の下請けとしてポンプの製造を行っていました。ただ、現在の会長の父親である創業者の辻   氏は、創業時の大きな夢としてオリジナル製品の開発を思い描いていたようです。 そのため、品質管理の思想が一般的でなかった当時の時代に、ねじの締め付け管理の重要性に着目し、国内初とされるトルクレンチの開発をスタートさせ、1951年に国産第1号となるトルクレンチを開発しました。しかし、当時の自動車メーカーではインパクトレンチを用いるのが主流で、トルクレンチの参入には非常に苦労したようです。 そのような中、辻   氏が大手自動車メーカーに売り込みにいった時の帰り際、たまたま階段ですれ違った工場の方に声を掛けられ、トルクレンチを見せた所「このような製品を探していたんだ」といって頂き、すぐに使いたいと大口の注文を受注したそうです。それがきっかけとなり、当社の技術力が認められ、トルクレンチでの事業がスタートしていきました。 1968年11月には、エアモータを用いたトルクツール『ユニトルク』を開発し、海外特許の申請も行い、ニューマチックツール分野に進出を果たしました。この製品は、締め付け作業を手動式から動力式に変えることにより、様々な分野の作業効率を飛躍的に向上させ、1970年2月に財団法人発明協会より発明賞を受賞しています。 そして、1971年11月にはオーストリアのヒューバー社に当社として初めて製品を輸出し、その後 トルク機器の製造メーカーとして事業を展開する株式会社 東日製作所。今回は、ユーザーの様々な要望を活かしたオリジナリティ溢れる製品を提供する同社の概要と、昨年の「東京モーターショー」で参考出品した次世代のデジタルトルクレンチなどについて、技術本部長 山本 康弘 氏にお話を伺った。株式会社 東日製作所技術本部長山本 康弘 氏様々なユーザーニーズを活かしながら進化を遂げるトルクレンチ~製品とソフトウエアをセットにしたシステムで提供~も海外の代理店網を拡大していきました。また、1980年代には海外子会社として、東日ヨーロッパ、東日アメリカを設立し、欧米の産業界に進出を果たしています。 創立50周年にあたる1999年には、本社となるトルクセンタービルを東京都大田区に建設し、顧客サービスとサポートの充実に努めていきました。さらに、「東京モーターショー」や「ケルンメッセ」などの国際的な展示会への出展をスタートさせ、トルク機器についての知識と情報を広く公開しています。2000年代に入ってからは、国内外の生産/販売拠点の拡充を推進し、グローバルネットワークの強化を図っています。 そして、現在はトルク機器の製造メーカーとして、手動/動力式トルク機器、機械/電子式トルク計測機器、ソフトウエア/システムの事業を柱に幅広い分野で展開しています。 御社の主力となるトルク機器についてお 聞かせ下さい山本 : まずは、無線式データ伝送単能型トルクレンチ『FD/FDD』を紹介します(写真1)。この製品は、当社従来製品のように「カチン」といった締め付けの作業感で、締め付けた本数ではなく、クリック時のトルクデータが自動的に無線で転送されるため、今まで当社製品を使用されているお客様からも非常に好評を頂いています。 主な特徴としては、送信エラーや締め付けトルクの異常が、手元の大型LEDにより一目で分かるようになっています(写真2)。電池寿命は、連続使用時間が当社従来製品『FHD』の5時間から24時間に大幅向上し、電池交換なしで約1日使用できるため、電池コストの低減だけでなく電池交換の手間も省けます。送信機については、『FHD』と比べて小型化しているため、作業性に優れています。さらに、本体設定はPCから簡単に行え、専用のソフトウエアは日本語、英語、中国語、ドイツ語に対応しています。 また、『FDD』のみの特徴として、2度締め検出機能を搭載しています。この機能は、ジャイロセンサを搭載することで角度を監視し、同じボルトの2度締め防止が可能になります。締め付け角度が小さい時点で、トルク値が急に上昇した場合はすでに締め付け完了していると判断し、データの送信は行わず、合否判定する大型LEDが赤く点灯する仕組みになっています。この機能により、締め付け回数管理だけのポカヨケや、単なる締め付けトルクデータ管理より信頼性の高いトルク管理が実現できます。 次に、有線式データ伝送単能型トルクレンチ『CSPLD』シリーズを紹介します(写真3)。この製品は、無線が使えない作業エリアや無線機器の使えない工場などをターゲットに開発しており、今年の1月に発売されたばかりの新製品です。主な特徴としては、『FD/FDD』と同様に締め付け合否判定を本体のLEDで表示し、作業者の手元でも容易に確認することができます。また、当社従来製品の『CSPD』シリーズからトルク値出力部を60%ダウンした小型化を実現しています。さらに、トルク値出力部からのコードにはカールコードを採用し、作業性を向上させるとともに、カールコード根元部への負担を軽減させています。 この他にも、時代のニーズにマッチする様々な製品をラインアップしていますが、最近では特にこのデータ伝送できる2 機種に力を入れている状況です。 昨年の「東京モーターショー」に出展さ れた時、次世代のデジタルトルクレンチ を参考出品されていましたが、開発され た経緯や特徴などをお聞かせ下さい写真1 無線式データ伝送単能型トルクレンチ『FD/FDD』写真2 大型LEDの合否判定トルク判定OK トルク判定NGおよび2 度締め検出時