ブックタイトルメカトロニクス4月2018年

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概要

メカトロニクス4月2018年

MECHATRONICS 2018.4 45期間の削減量の5倍(CO2換算)と推計されてきた(図表9)。5-5.グリーン経済とGDP・より環境にやさしい代替物質・エネルギー効率などの効率の向上・より環境にやさしいグロ-バル・バリューチェーン・資金メカニズムによる支援:35 億ドル・農業、漁業、人体への影響を回避することによるGDPの維持5-6.こうした成果の背景に何があるのか?【モントリオール議定書が上手く機能している理由は?:議定書に盛り込まれた多くの特徴ある機能】・政策・意思決定の基盤としての健全な科学(評価パネル)・小さく開始し強化する・資金メカニズム・非遵守に関するレジーム・公正原則とその他特徴的な機能(図表10)。5-7.評価パネルが十分な情報を得た上での意思決定の基盤を提供する・モントリオール議定書の強化に関する締約国の決定は、科学面、環境面、技術面、経済面からの最新情報に関する定期的な評価(最低でも4年に1 度)に基づいている。・TEAP(技術・経済評価パネルは、ODSを使用する特定工業セクターに関する5 つの技術選択委員会(TOC)から構成されている。①フォーム(発泡)、②ハロン(消火)、③医療、化学品(溶剤)、④臭化メチル、⑤冷凍・冷蔵・TEAP とTOC は、4年に1度の評価のほか、締約国の毎年の求めに応じて様々な追加的作業を実施する。・本システムは、世界トップの科学者と専門家による、中立的で権威のある、コンセンサス方式の評価システムとしてモントリオール議定書の実施と強化を支えてきている。(以下、次号に継続)(2018年2月20日記)<参考資料>1)環境省編:「モントリオール議定書採択30 周年及びHFC 改正採択記念シンポジウム『地球のために、フロン対策』配布資料」環境省(2017.6)3-2.国際的な交渉、更なる研究と国家政策の協調・1975 年:UNEP管理委員会(UNEP GC)は、UNEPが提案した、オゾン層に対するリスクに関するプログラムを承認。・1976年:UNEP GCは、UNEPに対して、オゾン層問題に対処するための国際会議の実施を要請。・1981 年:UNEP GC が、UNEPに対して世界的な枠組み条約に関する交渉を開始するように要請。・1977 年:世界行動計画(World Plan of Action)が採択され、オゾン層調整委員会が設立された。・1981 年:オゾン層の保護のためのウィーン条約を採択。3-3.オゾンホールの発見・1984 年:忠鉢繁(ちゅうばち・しげる)が南極でのオゾン層破壊に関する研究報告を発表。1980 年代初期の9 月から10 月の時期に、南極上空にオゾン濃度の非常に少ない個所が観測されたことを発表。・1985 年:イギリスの南極探検隊(ファーマン、シャンクリン)が、“少なくとも1981 年以降、春になると南極上空のオゾン層が激減していた”との論文を発表(図表5)。3-4.オゾンホールができるまで・1986 年:スーザン・ソロモンは、極成層圏雲上の氷晶上の化学反応が、大量の発生塩素の増加をもたらすことを発表。・南極上空に形成された極渦が非常に狭く、周囲から隔絶されており、結果としてオゾンホールが形成される。・この仮説は、正しい事が示されている(図表6)。4. モントリオール議定書・正式名称:オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書。・採択日:1987 年9 月16 日・目的:CFC やハロンなどのオゾン層破壊物質(ODS)の段階的削減により、太陽が発する有害な紫外線から地球を守ってい るオゾン層を保護する。・存在の意義: 最も成果の高い多国間環境協定(MEA)として広く認識されている。          4-1.モントリオール議定書の主な成果・批准:すべての国連加盟国による批准が実現。・ODS の段階的削減:ODS の99%が段階的削減を達成。・CFCの使用廃止:2016年に定量噴霧式吸入器(MDL)へのCFCの必須使用が廃止されたことによって、すべての利用形態での世界的なCFC 使用廃止が実現。・オゾン層回復の見込み: 今世紀半ば。・気候変動:同議定書は気候変動緩和に大きく貢献してきた(1990 年~ 2010年の間に、CO2換算で1350億トンの温室効果ガスの排出を抑制)。・最新の改正:6 年間に及ぶ討議と1 年間の正式な交渉を経て、“キガリ改正”注2)が採択された。注2)キガリ改正:2016 年に、「モントリオール議定書第28回締約国会合」は、キガリ(ルワンダ共和国)で10 月に開催され、議定書改正を決定した。4-2.ウィーン条約、モントリオール議定書、同議定書改正の批准の状況・ウィーン条約とモントリオール議定書とは、2009年9 月16 日に、議定書改正を含めた国連史上すべての国連加盟国による批准を達成した条約となった(図表7)。4-3.管理対象となるすべてのODS の段階的削減の進捗・ODSの製造と消費は、世界的に過去の水準と比較して99 %の段階的削減を達成した(図表8)。4-4.オゾンホールの回復5. オゾン層破壊がもたらす被害の回避5-1.被害の回避・有害な紫外線の増加による以下の悪影響が回避された:人々の健康、陸域生態系、海域河川生態系、生物地球化学的循環大気物質。5-2.人々の健康・数百万件の癌・白内障の発症が回避された。・2030年までに、世界で毎年200万件の皮膚癌の発症を予防することができる。・米国における推計:2100年までに2 億8300 万件の皮膚癌(830 万件の悪性黒色腫を含む)を予防、160万件の皮膚癌による死亡を予防、4600 万件の白内障を予防。5-3.オゾン層保護活動の経済効果・オゾン層保護活動によって農業、漁業、物質に対する被害が回避され、2060 年までに4600 億ドル以上の経済効果がもたらされると期待される。5-4.モントリオール議定書による気候の保護・ODS は、同時に強力な温室効果ガスである。・モントリオール議定書によってもたらされる副次的便宜(気候変動緩和効果)は、京都議定書第一約束<図表5>オゾンホールの発見<図表7>ウィーン条約、モントリオール議定書、同議定書改正の批准状況<図表8>管理対象となるすべてのODSの段階的削減の進捗<図表9>モントリオール議定書による気候の保護<図表10>モントリオール議定書による優れた機能<図表6>オゾンホールができるまで