ブックタイトルメカトロニクス3月号2018年

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概要

メカトロニクス3月号2018年

44 MECHATRONICS 2018.3 今月号では、ブループラネット賞の年度毎の受賞紹介は、3回シリーズの最終回であり、第23回表彰(2014年度)から第26回表彰(2017年度)までの授賞業績を紹介する(連載の過去2回の目次は<図表2>の通り1))。また、旭硝子財団のホームページには、授賞業績の内容を有効に検索するコンテンツが補充されつつあるので、2年前から掲載されはじめたそのコンテンツを補足的に紹介する(そのコンテンツの名称は“ブループラネット賞ものがたり”1))。日本産業洗浄協議会 名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力旭硝子財団(The Asahi Glass Foundation)、ブループラネット賞(Blue Planet Prize)環境問題の重要性を示すブループラネット賞~(その3)受賞業績(続3)、受賞内容の検索~【第192回】■歴代受賞者とその業績等(前号に続く)(47)2015年度(第24 回a)・パーサ・ダスグプタ教授(Prof. Sir Partha Dasgupta、英国、1942~)・ケンブリッジ大学経済学部フランク・ラムゼイ名誉教授・ダスグプタ教授の先駆的な功績は、世代間の公平性と持続可能な開発の二つの概念が同等であることを示し、福祉経済学および環境経済学を統合したことである。 また、環境資源基盤が劣化していく状況にある、発展途上国の農村部の貧困を対象とした研究の草分け的存在でもある。こうして、過去にはまったく異なる分野であった開発経済学と環境経済学という分野が統合された。 人類の幸福から自然環境までを扱った幅広い内容の著書では、経済的発展の評価にあたり、GDP や現在広く用いられている場当たり的な幸福の指標ではなく、包括的な国の富(ストック)でもって行うことが適切であることを示した。こうした研究をもとに、国家の経済的会計の理想的なシステムが作り出され、今やインドや他の数か国において導入され成果を上げている。 教授は、ライフワークとして自然のシームレスな経済的意味付を行い新しい経済理論を形成し、現代の経済思想に多大な影響を与えてきた。(48)2015 年度 (第24 回 b)・ジェフリー・D・サックス教授(Prof. Jeff rey D. Sachs、米国、1954~)・コロンビア大学地球研究所所長 ・サックス教授は開発途上各国の経済再建に、経済危機を乗り越えて持続可能な発展を実現する輝かしい実績を残してきた。 学際的かつ革新的な「臨床経済学」を適用することで人類の平等を押し進め、ガバナンス、貧困、公衆衛生、教育、環境における諸問題を解決するために、小規模農業、社会事業、経済発展を促進して極度の貧困の克服に貢献してきた。学者、実践者、政府や国連の上級顧問として、これまで世界に多大な影響を与えてきた。(49)2016年度(第25 回a)・パバン・シュクデフ氏(Mr. Pavan Sukhdev、インド、1960 ~)・国連環境計画(UNEP)親善大使、GIST(GreenIndian States Trust)創設者・理事、GISTアドバイザリー 設立者・CEO、エール大学ダヴェンポートカレッジ アソシエートフェロー・シュクデフ氏は、包括的グリーン経済に移行するための経済的合理性を有する実用的な測定基準を開発した先駆者である。この移行には企業こそが決定的な役割を果たすことを示し注目を集めた。 さらに氏は、公共政策と経済活動に、生態系サービスの価値を如何に組み込むかを示し、持続可能性に貢献する会計基準を企業、地方、国家の各レベルで開発し、包括的グリーン経済の発展を加速させた。(50)2016年度(第25 回b)・マルクス・ボルナー教授(Prof. Markus Borner、スイス、1945~)・グラスゴー大学名誉教授、フランクフルト動物協会アフリカプログラム前ダイレクター、ネルソンマンデラアフリカ工科大学(タンザニア)助教授・ボルナー教授は、過去40 年間、アフリカにおける絶滅寸前の野生生物保護や保護区内生態系の保全・管理活動の最前線に立ってきた。 教授は、個々の種の保全には、生態系全域での総合的保全が必要であり、セレンゲティ国立公園の場合はタンザニア国民が生態系の保全に対してコミットし、貢献することが必要であることを看破した先駆者の一人である。 活動の指針として、我々が住む惑星を健全に生存させるには、手つかずの自然、種の多様性、自然美が絶対的に不可欠であるという原則を掲げている。(51)2017年度(第26 回a)・ハンス・J・シェルンフーバー教授(Prof. Hans J.Schellnhuber、ドイツ、1950 ~)・ポツダム気候影響研究所(PIK)設立者・所長・自身が設立したポツダム気候影響研究所を率い、数学的モデルを駆使して学際的な情報を統合する「地球システム解析」という全地球的な視野を持つ新しい科学領域の開拓に寄与した。 更に、地球温暖化対策の新しい潮流を創りだし、2015 年COP21 における190ヵ国以上による2℃未満目標合意とその扶植に貢献した。 このように教授とPIKはこの分野において長年にわたり主導的な役割を果たしてきた。(52)2017年度(第26 回b)・グレッチェン ・C・デイリー 教授(Prof. GretchenC. Daily、米国、1964 ~)・スタンフォード大学生物学部環境科学科ビング教授、保全生物学センター所長、ウッズ環境研究所シニアフェロー、「自然資本プロジェクト」共同創設者、ファカルティダイレクター・長年の実地調査を基に人間の営みが生物圏へ及ぼす影響を研究し、自然と調和して繁栄していく持続可能な社会の実現に尽力した。 特に農業による土地利用の観点から「カントリーサイド生物地理学」を提唱し、人間の影響により変化する生物多様性と生態系サービスを定量的に理解し将来を予測する実践的かつ学際的な分野を開拓した。 その成果を環境政策や投融資判断に結びつける新たな道筋を築き、世界中の多くの地域に適用が広がっている。■ブループラネット賞の検索と内容の分類 ブループラネット賞の表彰内容についての各種データについては、旭硝子財団のURLに詳細な資料が紹介されており、各種のコンテンツが工夫されている。そのデータの一例には、以下のような内容のものがある。(1)表彰の概要 ブループラネット賞の表彰は、1992 年より、毎年<図表2>前々号・前号の目次ものづくりと地球環境(第190~191回)環境問題の重要性を示すブループラネット賞~(その1)ブループラネット賞表彰制度と受賞業績~■ブループラネット賞について(1)設立の趣旨(2)対象分野■受賞者の選考■歴代受賞者とその業績等(1)1992年度(第1回学術賞):真鍋淑郎博士(2)1992年度(第1回推進賞):国際環境開発研究所  ( IIED)(3)1993年度(第2回学術賞):チャールズ・D・キーリング博士(4)1993年度(第2回推進賞):国際自然保護連合(IUCN)(5)1994年度(第3回学術賞):オイゲン・サイボルト博士(6)1994年度(第3回推進賞):レスター・R・ブラウン氏(7)1995年度 (第4回学術賞):バート・ボリン博士(8)1995年度(第4回推進賞):モーリス・F・ストロング氏(9)1996年度(第5回a):ウォーレス・S・ブロッカー博士(10)1996年度(第5回b):M.S.スワミナサン研究財団(11)1997年度(第6回a):ジェームス・E・ラブロック博士(12)1997年度(第6回b):コンサベーション・インターナショナル(CI)(13)1998年度(第7回a):ミファイル・I・ブディコ博士(14)1998年度(第7回b):デイビッド・R・ブラウワー氏(15)1999年度(第8回a):ポール・R・エーリック博士(16)1999年度(第8回b):曲格平(チュ・グェピン)教授(17)2000年度(第9回a):ティオ・コルボーン博士(18)2000年度(第9回b):カールヘンリク・ロベール博士(19)2001年度(第10回a):ロバート・メイ卿(20)2001年度(第10回b):ノーマン・マイアーズ博士(21)2002年度(第11回a):ハロルド・A・ムーニー教授(22)2002年度(第11回b):J・ガスターヴ・スペス教授(23)2003年度(第12回a):ジーン・E・ライケンズ博士及び・F・ハーバート・ボーマン博士(24)2003年度(第12回b):ヴォー・クイー博士(25)2004年度(第13回a):スーザン・ソロモン博士(26)2004年度(第13回b):グロ・ハルレム・ブルントラント博士(27)2005年度(第14回a):ニコラス・シャックルトン教授(28)2005年度(第14回b):ゴードン・ヒサシ・サトウ博士(29)2006年度(第15回a):宮脇 昭博士(30)2006年度(第15回b):エミル・サリム博士(31)2007年度(第16回a):ジョセフ・L・サックス教授(32)2007年度(第16回b):エイモリ・B・ロビンス博士(33)2008年度(第17回a):クロード・ロリウス博士(34)2008年度(第17回b):ジョゼ・ゴールデンベルク教授(35)2009年度(第18回a):宇沢 弘文教授(36)2009年度(第18回b):ニコラス・スターン卿(37)2010年度(第19回a):ジェームス・ハンセン博士(38)2010年度(第19回b):ロバート・ワトソン博士(39)2011年度(第20回a):ジェーン・ルブチェンコ博士(40)2011年度(第20回b):ペアフット・カレッジ(41)2012年度(第21回a):ウィリアム・E・リース教授、及びマティス・ワケナゲル博士(42)2012年度(第21回b):トーマス・E・ラブジョイ博士(43)2013年度(第22回a):松野 太郎博士(44)2013年度(第22回b):ダニエル・スパーリング教授(45)2014年度(第23回a):ハーマン・デイリー教授(46)2014年度(第23回b):ダニエル・H・ジャンゼン教授、及びコスタリカ生物多様性研究所キーワード