ブックタイトルメカトロニクス1月号2018年

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概要

メカトロニクス1月号2018年

MECHATRONICS 2018.1 9プラントの設備保全を支援する樹脂めっきにおける前処理と下地層形成を真空下で行えるAR(拡張現実)技術を活用したコミュニケーション支援サービスを開発環境負荷を抑えた新技術を開発 横河電機(株)は、モバイル端末を活用し、遠隔地から現場をサポートする、プラントのコミュニケーション支援サービス『SensPlus Buddy(センスプラス バディ)』を開発した。 同製品は、クラウドサービスであり、Webブラウザで動作するアプリケーションのため、専用機器の導入やネットワーク工事が不要。専用のアプリケーションをインストールすることなく、汎用のモバイル端末やPC端末をそのまま活用できる。ユーザーは、高いセキュリティを確保したユーザー認証システムによって管理され、決められたグループ内でのみデータ通信が可能。ビデオ通話、動画やドキュメントのスナップショット、手書きでの書きこみなどの各種機能を有し、モバイル端末で直感的に操作できる。また、遠隔地にいる熟練技術者やメーカーのサポートセン (株)島津製作所は、ABSなどの樹脂基材に金属膜を形成する樹脂めっき工程において、高速スパッタリング装置を用い、基材表面の前処理や下地層の形成を真空下で行う環境負荷を抑えた新技術を開発した。 従来の樹脂めっき工程では、六価クロムを含むクロム酸で基材表面をエッチングした後に、高価な金属触媒を用いて銅とニッケルで構成された下地層を形成していた。これに対し新技術は、高速スパッタリング装置の真空チャンバ内で、プラズマによる前処理後にスパッタリングによる銅下地層の形成を行う。前処理とスパッタリングの最適化によって実現した本工程では、六価クロムや金属触媒は必要とせず、廃液も発生しないため、環境負荷の低減やランニングコスト削減が期待できる。また、これまで検討されていた多くの代替手段では下地層の密着性を確保するこターが現場の作業員と、ビデオ通話により、映像と音声をリアルタイムに共有できる。さらに、AR技術を応用したことで、現場で撮影した画像に手書きで指示を書き込むことができ、遠隔地からでも的確でわかりやすい作業指示を行うことができる。 プラントでは、プラント設備の高機能化やブラックボックス化、および複数の生産設備が連携して稼働することによるシステムの複合化が進展している。その結果、生産効率が向上する一方で、設備の故障や不具合が起きた場合の要因の特定が困難になるなど、保全作業が複雑化している。さらに、熟練技術者の引退により、保全員や保全員を育成する指導者の育成と確保が急務となっている。 同社では、2017 年11 月10日より販売を開始しており、2018 年度100ライセンス(国内外)の販売を目標にとが課題であったが、同社による評価において、新技術は従来手法と同等の密着性を確認している。加えて、射出成形機と高速スパッタリング装置を連携させ、樹脂成形から下地層の形成までを自動化することも可能であり、防湿や防汚による歩留まりの改善にも貢献する。 近年、軽量化やコストダウンなどを目的に、自動車をはじめとする様々な工業製品が、金属からめっき処理された樹脂に置き換わってきている。一方で、めっき工程に使用される六価クロムが環境面で課題となっている。「持続可能な開発に関する世界首脳会議」で2002 年に定められた実施計画では、「2020 年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指すこと」とされており、有害な化学物質を使用しない、もしくは使用を最小限に留めるための技術開発が進んでいる。 同社では、樹脂めっきの使用を拡大している自動車内外装部品メーカーや家電メーカーに新技術の提案を開始し、2020 年までに従来法に代わる技術として本格展開を目指している。2018.1している。請求番号A5004請求番号A5003請求番号A0008 請求番号A0009