ブックタイトルメカトロニクス1月号2018年

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概要

メカトロニクス1月号2018年

44 MECHATRONICS 2018.1 ブループラネット賞(Blue Planet Prize)は、公益財団法人 旭硝子財団(The Asahi Glass Foundation)が創設した顕彰制度である。その贈賞対象は、環境問題の解決に多大な貢献をした個人や団体で、国内外約1,300人の有識者から推薦状を募り原則として毎年2組を受賞者に選定している。1992年に第1回の表彰が行われ、今年(2017年)は26回目を迎えた。その間、52件(個人として49名、団体として6組織)が受賞の対象となっている。 ブループラネット賞は現在、「環境分野のノーベル賞」と呼ばれるほどの権威ある内容と知名度を得るようになった。本号から数回に分けてブループラネット賞の内容と旭硝子財団の環境問題に関わる活動を紹介する1)。日本産業洗浄協議会 名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力環境問題の重要性を示すブループラネット賞~(その1)ブループラネット賞表彰制度と受賞業績~【第190回】■ブループラネット賞について 旭硝子財団は、ブループラネット賞の顕彰制度について、以下のように説明している。(1)設立の趣旨 “人類が解決を求められているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全である。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の経済活動や生活が大自然に影響を及ぼした結果である。 旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992 年(平成4 年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を創設した。 賞の名称である『ブループラネット』は人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉“地球は青かった”にちなんで名付けられた。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるように、との祈りがこめられている。”(2)対象分野 地球環境問題全般の解決に向けて、地球環境の保全・再生のための観測、解明、予測、評価、あるいは対策や実践活動に大きな貢献をし、持続可能な社会の実現に確かな展望をあたえる業績。■受賞者の選考 受賞者の選考は、一例を2016 年度(第25 回)にとると、財団事務局より以下のように発表されている。①旭硝子財団データベース登録のノミネーターによる推薦 2015年8 月から10 月にかけて、旭硝子財団データベース登録の国内外のノミネーター(海外700 名、国内680 名)に推薦を依頼する。②推薦された受賞候補者数:109件(候補者の分野は、多い順に生態系26件、環境経済・政策22件、気候・地球科学17 件、複合領域12 件)③候補者の国別分布:33 ヶ国④途上国からの候補者:29 件⑤選考経過: ・選考委員会による募集方針の決定→ ・受賞候補者の推薦募集→ ・選考委員による個別評価→ ・選考委員会による候補者の選定→ ・顕彰委員会の審査→ ・理事会(26 名)及び評議委員会(13 名)による受賞者の決定(原則として2件)6 月に受賞者を発表し、秋には東京で受賞者を迎えて表彰式典を挙行し、その翌日に記念講演会を開催した(2016 年11 月17 日、国際連合大学 ウ・タント国際会議場)。■歴代受賞者とその業績等 ブループラネット賞の歴代の受賞者について、旭硝子財団の資料に基づき、以下の4項目について紹介する(<図表1 >を参照)。 同財団の資料により、その説明に異なる表現がある場合には、可能な限り併記した。①表彰年度: 1992 年度が第1回となり、2017 年度までの26 回を記載。各回に2 件(個人または組織)が表彰される。第4 回までは、学術賞と推進賞と銘うった受賞が各1件であったが、第5回より両者の区別をつけずに各年度とも2件の受賞が決定されている。②受賞者: 個人の場合は国籍、生年、没年等を付す。組織の場合は設立年、本部所在地、代表者等を付す。③受賞者の所属・役職等: 個人の所属・役職等は受賞当時のものを付す。④受賞業績: 旭硝子財団による複数の資料をまとめて簡潔に紹介する。(1)1992年度(第1 回学術賞)・真鍋淑郎博士(Dr. Shukuro Manabe、米国、1931 ~)・米国海洋大気庁 上級管理職/米国地球流体力学研究所・数値気候モデルによる気候変動予測の先駆的研究で、温室効果ガスの役割を定量的に解明。(2)1992年度(第1 回推進賞)・国際環境開発研究所(IIED)(International Institutefor Environmant and Development(IIED、英国国際環境NGO)、英国、1971 ~)・農業、エネルギー、都市計画等、広い領域における持続可能な開発の実現に向けた科学的調査研究と実践活動を通じ、多くのブレークスルーを達成してきたパイオニアワーク。(3)1993年度(第2 回学術賞)・チャールズ・D・キーリング博士 (Dr. Charles D.Keeling、米国、1928 ~ 2005)・米国カリフォルニア大学スクリップス海洋研究所海洋学教授・長年にわたる大気・海洋中の二酸化炭素濃度の精密測定により、地球温暖化の根拠となるデータを集積・解析。(4)1993年度(第2 回推進賞)・国際自然保護連合(IUCN)(The World ConservationUnion(IUCN)、本部:スイス、1948~)・40年以上にわたる自然資産や生物の多様性の保全戦略立案、推進に果たしてきた国際的貢献。(5)1994年度(第3 回学術賞)・オイゲン・サイボルト博士(Prof. Dr. Eugen Seibold、ドイツ、1918~2013)・ドイツ・キール大学名誉教授・海洋地質学を核としたヘドロの沈積予測、大気・海洋間の二酸化炭素の交換、地域の乾燥化予測等地球環境問題への先駆的取組み。(6)1994年度(第3 回推進賞)・レスター・R・ブラウン氏(Mr. Lester R. Brown、米国、1934 ~)・ワールドウォッチ研究所所長・地球環境問題を科学的に解析し、環境革命の必要性、自然エネルギーへの転換、食糧危機等を国際的に提言。(7)1995年度(第4 回学術賞)・バート・ボリン博士(Dr. Bert Bolin、スウェーデン、1925 ~ 2007)・ストックホルム大学名誉教授/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長・海洋、大気、生物圏にまたがる炭素循環に関する先駆的研究および地球温暖化の解決に向けた政策形成に対する貢献。(8)1995年度(第4 回推進賞)・モーリス・F・ストロング氏(Mr. Maurice F. Strong、カナダ、1929~2015)・オンタリオ・ハイドロ会長/アース・カウンシル議長・地球環境問題解決に向け実地調査と研究に基づいた持続可能な開発の指針の確立、地球規模での環境政策に対する先駆的貢献。(以下、次号に続く)(2017年11 月21 日記)<参考資料>1)「公益財団法人 旭硝子財団」および「ブループラネット賞」に関するURLhttp://www.af-info.or.jp/index.html2)公益財団法人 旭硝子財団:「2017年(第26回)ブループラネット賞受賞者記念講演会 配布資料」