ブックタイトルメカトロニクス12月号2017年

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概要

メカトロニクス12月号2017年

44 MECHATRONICS 2017.12 今回(第189回)は、「2017年版環境白書」1)のトピックスの連載としては第5回目となり、前回(第188号)からの続報としては、その内容が副題の“環境・経済・社会の諸課題の同時解決”を取り上げている。 その主たる内容は、「2030アジェンダ」(SDGs)の中核となるもので、副題に関係する“環境”、“経済”及び“社会”の入り組んだ課題を同時に解決する取組事例の報告(全16件)の後半である。それらに加えて、白書の本文中から“国立公園ステップアッププログラム”と、それらの取組事例説明を補足する“コラム”5件を取り入れて、全22件のトピックスを(今回は前回残された15件を)紹介することとする。前回(第188回)の目次構成は<図表1>の通りである。日本産業洗浄協議会 名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「2017年版環境白書」のトピックス(5)~環境・経済・社会の諸課題の同時解決(その2)~【第189回】■“環境・経済・社会の諸課題の同時解決に 向けた取組事例”の内容(続)(8)【事例⑥】地域におけるリユースの推進(福井県鯖江市) 福井県鯖江市では、ヤフー(株)が提供するオークションサービス「ヤフオク」と提携し、市民の遊休資産となっている古家具や工芸品、市役所内で使われなくなったじゅう器等を市がまとめて競売にかけ、その収益で環境教育を推進する「サバオク」が2016年9月に開催された。普段インターネットオークションと接点のなかった市民の遊休資産を自治体が一括して出品することで、市民にとっては価値が低いと思われていた古家具等に価値を見いだす人たちとつながることができたという声も聞かれた。  市民からの出品数は395点、落札総額は約46万円となり、公有財産売却と併せて53 万円の収益があった。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-2)資源生産性の向上に向けた3Rの推進 ②2R推進型ビジネスモデルの多様化”(p78)・本件に関連するキーワード:3R(リデュース、リユース、リサイクル)、2R推進型ビジネスモデル、リペア、リファービッシュ、リマニュファクチャリング、フリマアプリ、シェアリングビジネス、サバオク(9)【事例⑦】リマニュファクチュアリング(リコー(株)) 重機や自動車、OA機器といった製品は多くの部品から構成されており、部品によって消耗年数も異なる。そこで、廃棄段階となった商品を完全に分解し、再生利用可能な部品に再生処理を施して新品と同様若しくは必要程度の品質まで回復させて再出荷することを「リマニュファクチュアリング」と言う。リコー(株)は、1997 年に初の再生複写機を発売し、2009年には初のデジタルフルカラー再生機を発売するなど、リマニュファクチュアリングに積極的に取り組んできた。 最新の再生機においては、質量比で平均80%のリユース部品を使用することで、製造工程の環境負荷を新造機と比べて79 %削減している。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“ (3-2)資源生産性の向上に向けた3Rの推進 ②2R推進型ビジネスモデルの多様化”(p78)・本件に関連するキーワード:小型家電リサイクル制度、都市鉱山、レガシー、レアメタル、リマニュファクチャリング(10)【コラム③】2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメダルを都市鉱山から 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、都市鉱山を活用してメダルをつくるプロジェクトが進められている。2017年2月には、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が、入賞メダルを使用済携帯電話やパソコン等の小型家電から取り出したリサイクル金属で作成することを発表した。 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会では、合計約5,000 枚程度のメダルが作成されるが、そのために必要な金属は、製造過程において発生する材料ロスも考慮すると、金約40kg、銀約4900kg、銅約3000kgと試算されている。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“ (3-2)資源生産性の向上に向けた3Rの推進 ③都市鉱山”(p79)・本件に関連するキーワード:都市鉱山、希少金属(レアメタル)、レアアース(希土類金属)(11)【事例⑧】公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり(富山県富山市) 2016 年5 月にG7 環境大臣会合が開催された富山県富山市では、鉄軌道を始めとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化等の都市機能を集積させる、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりの取組を全国に先駆けて進めており、その都市構造を「お団子と串」に例えて市民へPRしている。 富山市のコンパクトなまちづくりのリーディングプロジェクトとして整備され、2006年に開業した富山ライトレールは、旧JR富山港線の鉄道施設を活用し、我が国初の本格的LRT(次世代型路面電車システム)として再生した取組である。バス車両や自動車に比べてCO2排出量が少ない路面電車の特徴をいかし、振動の少ない軌道形式の採用やバリアフリー化だけでなく、運行間隔の短縮や新駅の設置など利便性を向上させることにより、利用者数は開業前に比べて平日で約2倍、休日で約3.5倍と大きく増加している。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“ (3-3)持続可能なまちづくり ②スマートコミュニティの構築”(p82)・本件に関連するキーワード:G7富山環境大臣会合、次世代型路面電車システム(LRT)、バリアフリー化(12)【事例⑨】Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(神奈川県藤沢市) 神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」は、パナソニックグループの工場跡地に、戸建て住宅約600 戸、集合住宅約400 戸の計1,000世帯のスマートタウンを整備する官民共同プロジェクトである。全ての戸建住宅には、太陽光発電、蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギーマネジメントシステム)が標準装備され、CO2排出量70%削減、生活排水30%削減、再生可能エネルギー利用率30%、非常時の3日間のライフラインの確保を目標に掲げている。 また、インフラ整備にとどまらず、「くらし起点」のスマートタウンとして、街に関わる人々がスマートライフを育み、新たなサービス・技術を取り入れることで、100年先も続くまちづくりを目指している。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“ (3-3)持続可能なまちづくり ②スマートコミュニティの構築”(p82)・本件に関連するキーワード:スマートコミュニティ、スマートグリッド、くらし起点、ホーム・エネルギーマネジメントシステム(HMS)(13)【事例⑩】田町スマエネパーク(東京都港区) 田町スマエネパークは、東京都港区が策定した街づくりビジョンの下、田町駅東口北地区(約8ha)における街区全体の1990 年比45 %のCO2削減目標を掲げて整備が進められている。このうち、整備が先行する公共街区では、エネルギーの需要側である港区及び愛育病院と供給側である第1スマートエネルギーセンター(東京ガスグループ)で構成され、需要側と供給側の官民が連携し、「低炭素で災害に強いまちづくり」をコンセプトに、2014 年11月より供用が開始されている。 当地区では、高効率ガスコージェネレーションシステム(CGS)を核に、太陽光・熱等の再生可能エネルギーや地下トンネル水の未利用エネルギーを最大限活用し、街区全体を熱、電気、情報のネットワークでつなぐ「スマートエネルギーネットワーク」の構築を始め、需要側・供給側双方で様々な低炭素化技術が採用されている。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“ (3-3)持続可能なまちづくり②スマートコミュニティの構築”(p83)・本件に関連するキーワード:スマエネパーク、スマート・エネルギー、コージェネレーションシステム(CGS)(14)【事例⑪】京都市内における「雨庭」づくり(京都府京都市) 京都市内では、伝統的な日本庭園の知恵をいかした雨庭(アメニワ)づくりが進められている。京都学園大学京都太秦キャンパスでは、2015 年にキャンパスの中庭に枯山水をモチーフにした雨庭を設置しており、時間当たり100mm の豪雨でも1 ~2 日かけてゆっくり排水できる設計になっている。植栽には、イロハモミジやツツジ類等の地域の在来種に加<図表1>前号(第188回)の目次構成■“環境・経済・社会の諸課題の同時解決に向けた 取組事例”について【第3章目次】第3章 我が国における環境・経済・社会の諸課題の同時解決■第3章の“まえがき”■“環境・経済・社会の諸課題”に関する資料(1)「アジェンダ21」(1992年)(2)「環境基本計画(第3次)」(2006年)(3)「2012年版環境白書」(2012年)■“環境・経済・社会の諸課題の同時解決に向けた 取組事例”の内容 A.“取組事例”の取り上げ方:第3章の目次(1)【コラム①】ドイツシュタトベルケに学ぶ地域  エネルギーによる地域経済循環(2)【事例①】エネルギー供給から総合的なインフラ  サービスへ(福岡県みやま市)(3)【事例②】エネルギーの地産地消による  スマート防災エコタウン(宮城県東松島市)(4)【事例③】信用金庫による先進的なグリーン投資の  取組み(長野県飯田市)(5)【事例④】木質バイオマス資源の総合的な活用  ( 岡山県真庭市)(6)【コラム②】100年前に再生可能エネルギーの活用  を訴えた内村鑑三(7)【事例⑤】食品廃棄物等の地域内循環の取組  ( NPO法人循環生活研究所)