ブックタイトルメカトロニクス11月号2017年

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概要

メカトロニクス11月号2017年

MECHATRONICS 2017.11 9所在地:U R L:事業内容:大阪市淀川区http://www.japan-certification.com製品認証申請代行および関連サービス、資格認証制度の運営、教育/コンサルティング。日本認証株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・計者や安全管理者だけでなく、現場作業者をはじめとした幅広い層を対象としており、防爆電気機器に対する正しい理解と知識を有し、防爆電気機器を使用する現場設備の「安全パトロールや点検」が行えるレベルが基準になっています。 なぜ、SA / SBA 資格というように、機械を設計する側と機械を運用する側の2種類を設けたのかというと、機械の製造者は設計/製造段階において、その機械のリスクアセスメントとそれに対する保護方策を実施し、危険情報(残留リスク)がある場合は使用者に提供する必要があります。また、現場の使用者はそれに基づいて保護方策を実施し機械を運用しなくてはいけませんが、そういった情報を無視して永年使用するケースや、その間に改造されるケースもあります。しかし、その改造が本当に正しい対応だったのかということは、機械の製造者(設計者)には情報が戻ってこないので知ることができません。 そこで、機械安全に関する知識と能力をもった人材が、機械を設計する側と機械を運用する側の両方にいれば、同じ言葉で機械の安全化についても相談することが可能になります。我々は、それを“リスクコミュニケーション”と呼んでおり、設計者と生産技術あるいは現場との方々が、同じ言葉で話せるような環境を目指していくために、2種類の資格制度を設けています(図1)。 これらの資格制度は、2014 年4月15日付けの厚生労働省通達「設計技術者、設計技術管理者に対する機械安全に係る教育について」および「設計技術者、生産技術管理者に対する機械安全に係る教育に関し留意すべき事項について」において、同通達による教育カリキュラムと同等の講習を受講し、「セーフティアセッサ資格」のそれぞれの資格を有する者は、設計技術者あるいは生産技術管理者に係る十分な知識を有する者とみなせること、また「セーフティベーシックアセッサ資格」を有する者は、機械ユーザーの職長、作業主任者、各種安全担当者の機械安全教育に有効であることが明記されています。 SA/SBA 資格制度の運営について、 具体的な活動内容と資格者の推移など お聞かせ下さい有山 : 当社では、SA / SBA資格を取得するための講習と試験に関する事業を行っています。また、取得する基本的な順序もあり、まずはSBAから始まり、SSA、SA、SLA の順で必要に応じて取得して頂くシステムになっています(図2)。SBA 資格は、機器を使用する側の資格ですが、機器を設計する側も使用する側の環境を理解していないと安全な設計はできないので、取得することを推奨しています。 SBA 資格を取得する場合は、講習と学科試験を受けて頂きますが、1日で取得できるシステムになっています(図3)。また、三段階あるSA 資格を取得する場合は、まずSSA 資格を受験して頂くことを推奨していますが、SA資格から受験することも可能です。 SSA 資格を取得する場合は、基本的に2日間の基本講習により、安全に対する知識とリスクアセスメントに対する実務能力を身に付けて頂くことを推奨しており、その上で、1日で行われる学科試験+ケーススタディ試験を受験して頂きます。 SA 資格を取得する場合は、基本講習に加え応用講習の1~4(各1日講習、計4日間)の受講を推奨しており、その上で1 次試験(学科試験+ケーススタディ試験)と2次試験(口述試験)を1日ずつ受験して頂きます。さらに、SLA 資格を取得する場合は、SA 資格を取得して実務経験が1年ないと受験できないシステムになっています。 それぞれの講習と試験の日程は、当社ホームページにおいて随時更新されており、申し込みについてもホームページで受付けしています(表1)。 また、資格取得者の推移については、SBAの機械運用安全分野およびSSA資格取得者が伸びており、2017年4月現在調べでSBAの国内4,892名、SSAの4,533名で、全体では国内外合わせて12,338名に上っています。資格者保有企業数については、国内外合わせて1,158 社に上っており、機械安全に対する取り組みを推進する企業が格段に増えているように感じられます。その事例として、ダイキン工業株式会社淀川製作所では、2008 年より機械安全への取り組み方針をステージ(1)~(3)の3段階「ステージ(1)安全な設備づくり、リスクアセスメントの定着/ステージ(2)リスクの抽出力、機械安全レベルアップ/ステージ(3)危険源同定力、機械安全レベルアップ」で進めていくことを計画し、そのためにSA 資格制度を活用した人材育成を採用され、3 年連続機械災害ゼロを継続するなどの成果を上げられ、生産性を向上させた実績も報告されています。 このように、機械安全に対する取り組みの中で、SA/SBA 資格制度を活用して頂くケースが増えている状況です。 今後の展開についてお聞かせ下さい佐川 : 資格制度の価値は、まず社会的認知度であると考えます。資格の認知度が向上すれば、その資格が一つの基準となり、社会的有用性、有効性につながっていきます。 まだまだ国内においても、SA / SBA 資格制度をご存知ない企業も数多くありますので、今後とも、SA /SBA資格の認知度を更に向上し、資格者の拡大を積極的に図っていきます。 また、一方、資格そのものの魅力度の向上も重要な要素です。日本企業の多くは、国内だけでなく海外展開が常態化しており、国際的に通用する資格とするため、国内での実績を踏まえ、アジアの一部地域ではすでに展開していますが、今ではさらにこの制度を国際標準化していく取り組みを進めています。 NECAでは、2014 年度から「機械安全に関する能力基準の定義に関する国際標準化事業」を行っています。これは、経済産業省などと連携し、SA / SBA 資格制度をベースとしたグローバルな機械安全資格制度の確立と発展に向けた取り組みで、2017 年度からは「機械安全に関する能力基準およびその認証手順の国際標準化事業」を継続して進めています。 そして、2014年度からの事業で検討した「機械安全に関する能力基準」を2017 年度にJIS 化する取り組みも行っています。ここでは、日本での知見を共通化した規格を作成し、将来的には、認証手順の基準に反映し活用して行く予定です。 このように、日本主体で推進していくことは、世界の基準に沿った資格を取得しているという誇りをもてるという意味もあり、今後の機械安全教育の発展のために大変有意義なことと考えています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。図3 セーフティアセッサ/セーフティベーシックアセッサ資格の取得方法表1 今後の講習と試験の日程