ブックタイトルメカトロニクス11月号2017年

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概要

メカトロニクス11月号2017年

8 MECHATRONICS 2017.11 御社の沿革や事業展開などについて お聞かせ下さい佐川 : 当社は、一般社団法人日本電気制御機器工業会(以下、NECA)の会員有志企業21 社の出資により、NECAが3年かけて調査した顧客ニーズに応える目的で2003 年8月に設立しました。 当時はCEマーキングといった国際規格関連の認証取得に関して、「どのように手続きをしたらよいのか」といった声がよく聞かれ、それは専任の担当者を置けない中小企業だけでなく、大手企業においても問題となっていました。そこで、海外の第三者認証機関と連携して、製造業者に国際規格に基づく認証業務および認証試験に必要なサービスと仕組みを提供する会社を立ち上げようと動き出したことが、当社設立のきっかけになっています。 その後、この認証事業だけでなく事業の安定、拡大を図るため、NECAがスキームオーナーとして制度化した日本で初めての機械安全の設計に関する資格制度としての「セーフティアセッサ(以下、SA)資格認証制度」の運営を、2004 年よりスタートさせています。 当初SA 資格は、知名度もなく難易度の高い資格制度だったことや日本国内では機械安全が黎明期であったことなどから、2005年の受験者は東京と大阪でも200 名程度でしたが、徐々に国際安全規格に基づく機械安全に関する知識/能力を認定する制度として定着が進みました。さらに、技術系(機械の設計者)だけではなく非技術系(機械の運用に関わる現場含む)の職種も対象とする「セーフティベーシックアセッサ(以下、SBA)資格認証制度」の運営を2010 年よりスタートし、より幅広い分野での安全知識を有する人材の育成へと取り組み始めました。 また、防爆電気機器を使用する現場の方にも資格認証は必要と考えられ、爆発性雰囲気のなかでの機械運用に対して、防爆電気機器の安全分野である「セーフティベーシックアセッサ(以下、SBA-Ex)資格認証制度」も制度化され、2011 年より運営をスタートしています。 このように現在当社では、製品認証申請代行、SA / SBA 制御機器関連を始めとしたものづくり企業を対象に、認証申請代行および関連サービス、資格認証制度の運営、教育/コンサルティングの3本柱で事業展開する日本認証株式会社。今回は、その中で一般社団法人日本電気制御機器工業会が制度化し、日本認証が運営を行っている「機械安全に関する資格認証制度」にスポットを当て、代表取締役社長 佐川 浩二 氏、事業推進担当部長 有山 正彦 氏に、会社概要も含めてお話を伺った。日本認証株式会社代表取締役社長佐川 浩二 氏事業推進担当部長有山 正彦 氏機械安全に関する資格認証制度で安全/安心なものづくり環境に貢献~安全な機械設計と機械運用が行える人材育成を目指す~資格認証制度の運営、教育/コンサルティングの3本柱を中心に事業を展開しています。製品認証申請代行に関しては、現在では船級認証と呼ばれる船に搭載されている制御機器等の認証申請代行を主に行っています。 また、教育/コンサルティングに関しては、各事業に関連する個別講習会などを開催し、人材育成に向けた取り組みを行っています。 SA/SBA資格制度の概要について、 もう少し詳しくお聞かせ下さい有山 : 日本は欧州と比べて、機械安全に対する考え方がかなり遅れてスタートしています。特に欧州では、生産現場における安全対策として、労働安全ではなく機械安全の必要性が1970 年代頃から報告されるようになり、国ごとの法規制だけでなく製造者や使用者の自主的な対応が求められ、機械安全に対する取り組みが進められていきました。 日本においては、労働安全に対する取り組みが1970 年代頃から行われていましたが、機械安全の取り組みに関してはWTO / TBT 協定が結ばれた1990 年代後半で、実際に機械が海外へ輸出されて規制や規格の問題が生じるケースが増えてから必要性が認識されるようになりました。その結果、欧州と比べて10年以上の遅れが生じていました。また、対応についても「どのように機械安全に対して取り組めばよいのか」という状況でした。 そこで、まずは機械安全に関する国際規格を理解する人材の育成と資格認証を制度化する取り組みが行われました。この取り組みは、経済産業省基準認証事業としてNECAが中心となり、2001 年からスタートして2004 年にNECAが資格認証制度を制定/制度化し、実施できる目処がついたため、当社が運営を行うことになりました。 SA / SBA 資格は、機械安全に対応できる人材を第三者認証する民間資格制度です。SA資格は、機械を安全に設計する設計者のための資格で、セーフティサブアセッサ(以下、SSA)/ SA /セーフティリードアセッサ(以下、SLA)の3 段階に分かれており、4 年に1度の更新があります。それぞれの資格対象範囲としては、SSAは「安全性の妥当性確認に必要とされる基礎知識、能力を有する」が基準で、SAは「SSA のもつ基礎知識、能力に加え、安全性の妥当性判断の総合力を有する」が基準で、SLAは「SA のもつ安全性の妥当性判断力に加え、第三者として安全性の妥当性判断の総合力を有する」が基準になっています。 また、SBA資格は機械を安全に運用する使用者側の資格で、SBAの機械運用安全分野とSBA-Ex の防爆電気機器安全分野の2分野があります。機械運用安全分野の対象職種は、製造職/管理職/管理業務職/営業職など非技術系職種を含む幅広い分野であり、国際安全基準に基づく専門性を加味した基本的/基礎的な安全関連及び機械運用安全の知識を習得し、製造現場で「安全パトロール」を実施できるレベルが基準となっています。防爆電気機器安全分野については、設図1 設計者と使用者間のリスクコミュニケーションと各段階に対応した資格図2 セーフティアセッサ/セーフティベーシックアセッサ資格制度のシステム図