ブックタイトルメカトロニクス10月号2017年

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概要

メカトロニクス10月号2017年

MECHATRONICS 2017.10 45る諸問題に関する現状について、日本への期待を語っている。注3)アヒム・シュタイナー(Mr. Achim Steiner):Administrator、United Nations Development Programme( UNDP、総裁)。同氏は、国連環境計画(UNEP)事務局長(2006年から2016年まで)、国連ナイロビ事務局長(2009年から2011年まで)、国際自然保護連合(IUCN)事務局長(2001年から2006年まで)等を歴任し、2017年6月より現職。注4)国連開発計画(UNDP)は、国連システム最大の開発機関であり、高い専門的知識と豊富な経験、グローバルなネットワークを有し、持続可能な開発目標(SDGs)の策定にも主導的な役割を果たした。UNDPは、アフリカ開発会議(TICAD)を共催する等、開発アジェンダの推進において日本にとって重要なパートナー。ジェンダー平等、気候変動対策支援、人間の安全保障推進等の地球規模課題解決に向け、日本はUNDPと共に取り組んでいる。(1)安部総理大臣との面談 安倍総理大臣から、シュタイナー氏のUNDP 新総裁就任への祝意を伝達し、就任後初となる訪日に歓迎の意を表した上で、日本は、安倍総理大臣自身が本部長を務める推進本部を設置し、SDGsの実施を重視している旨を述べた。また、日本が主導する「人間の安全保障」の理念の下、アフリカ開発、保健、防災、女性の活躍といった分野でUNDPとの連携を強化していきたい旨述べた。 これに対し、シュタイナー総裁から、日本のSDGs推進に係る取組と安倍総理大臣のリーダーシップを高く評価し、日本のこれまでのUNDP 及び国連開発機関に対する貢献に対し謝意を表するとともに、安倍総理大臣から指摘された優先分野において日本とUNDPのパートナーシップをより一層拡大し、目に見える成果を上げていきたい旨を述べた。 安倍総理大臣より、アフリカ開発会議(TICAD)の共催者として、2019 年のTICAD7の成功に向けて引き続きUNDPと協力したい、また国際協力機構(JICA)や日本のNGO、企業との連携強化等に期待している旨を述べた。   これに対し、シュタイナーUNDP総裁から、TICADの開放性に言及の上、日本のアフリカ開発に係る取組を賞賛するとともに、2019 年のTICAD7に是非参加したく、その成功に向け協力していきたい、日本のNGO、企業との連携を含め、日本とUNDPのパートナーシップは、地域の安定や繁栄に貢献しており、地政的、戦略的、人道的にも大きな価値を有する、そうした価値を内外で強調し、更なる協力・連携につなげていきたい旨を述べた。(2)新聞取材に答えて シュタイナー総裁は、人工知能(AI)やデジタル技術などの活用も「環境保護や人間の健康といった目標を達成するために欠かせない」と説明。企業などが地球環境の持続可能性を考えて投資することも重要だとし、「日本には、SDGs が日本自身の将来の発展にもつながることを示してほしい」と述べた。(2017年8月15日記)<参考資料>1)環境省編:「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2017.6)全文は以下のウェブサイトに掲載されている。http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/index.html2)United Nations:「Transforming our world:the 2030Agenda for Sustainable Development」(General AssemblySeventieth session,A/70/L.1)【(国連文書A/70/L.1を基に外務省が作成した仮訳)「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2015年9月25日第70回国連総会で採択】3)外務省:「(報道発表)シュタイナー国連開発計画総裁の訪日」(2017年8月8日)4)清宮涼:「SDGs“日本が好例に”、国連開発計画総裁が期待」朝日新聞(2017年8月13 日朝刊号)(10)ゴール10(不平等の是正)・ターゲットの件数:10 件・副題:各国内及び各国間の不平等を是正する・世界の現状:(省略)(11)ゴール11(安全な都市)・ターゲットの件数:10 件・副題:包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市及び人間居住を実現する・世界の現状:(省略)(12)ゴール12(持続可能な生産・消費)・ターゲットの件数:11 件・副題:持続可能な生産消費形態を確保する・世界の現状:(省略)(13)ゴール13(気候変動)・ターゲットの件数:5 件・副題:気候変動 及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる・世界の現状:SDGsの「ゴール13(気候変動)」では、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じることを目指している。地球は太陽からのエネルギーで暖められ、暖められた地表面から熱が放射される。エネルギーを生み出すために化石燃料を燃焼させた時など、CO2が排出されるが、このCO2を始め、メタン、亜酸化窒素等の温室効果ガスは、地表面から放射された熱を吸収することで、大気を暖め、地球温暖化を引き起こす。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によると、気候システムの温暖化には疑う余地がなく、1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例がないものであるとされている。1986~2005年の平均と比較すると、陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、1880 年~2012 年の間に0.85℃上昇し、世界年平均海面水位は1901年~2010年の間に0.19m上昇している。 また、20世紀半ば以降、観測された温暖化は人間活動による影響が支配的な要因である可能性が極めて高い(95%以上)と結論付けている。 さらに、人為起源影響と自然起源影響のみの経年比較シミュレーションを行った結果、人為起源の影響を加えないと、観測値のような気温上昇は起こらないことが明らかになっているこうした科学的知見を踏まえ、パリ協定に基づいて各国が気候変動に対処するための取組を進めている。(14)ゴール14(海洋)・ターゲットの件数:10 件・副題:持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用する・世界の現状:SDGs の「ゴール14(海洋)」では、持続可能な開発のために海洋資源を保全し、持続的に利用することを目指している。水産資源は重要な食料資源であり、世界の食料安全保障や経済に大きく貢献している。しかし、世界の人口増加に伴い、世界の漁業・養殖業を合わせた生産量は増加し続けている。 FAO によると、2014 年の世界の漁業・養殖業生産量は1億9580万トンで、前年と比べ2%増加した。このうち、漁船漁業生産量は9466 万トン(前年比1%増)、養殖業生産量は1 億114万トン(前年比4%増)となり、初めて1 億トンを上回った。 漁船漁業生産量は1980年代後半以降頭打ち傾向が続いているのに対し、養殖業生産量は著しい伸びが続いている。また、1974 年から2011年までの生物学的に持続可能でない過剰漁獲の状態にある資源(海域別魚種)の割合は約30%となっている。過剰漁獲の状態にある、あるいは漁獲を拡大する余地のない資源については、適切な資源管理措置により、資源の回復・維持を図る必要があるが、海洋は広大であり、国際社会が協調して取り組むことが重要である。 一方、不適切な廃棄物処理等により、世界の海洋汚染も深刻化している。海洋汚染の原因の1 つである海洋プラスチックごみには、漁具、食品・飲料の容器及び包装、たばこのライタやフィルタ等が含まれている。2010年に海岸地域から発生したプラスチックごみの量の推計値は9950 万トンで、そのうち3190万トンが不適切に廃棄され、480 万~ 1270万トンが海洋に流出したと考えられている。 この国際的な問題に対処するため、2016 年5 月の「G7 伊勢志摩サミット」では、首脳宣言の「資源効率性及び3R」の項において、陸域を発生源とする海洋ごみ、特にマイクロプラスチックの発生抑制及び削減に寄与することも認識しつつ、海洋ごみに対処することが再確認された。 同じく5月に開催された「G7 富山環境大臣会合」では、前年の「G7エルマウ・サミット」で合意された首脳宣言附属書の「海洋ごみ問題に対処するためのG7 行動計画」及びその効率的な実施の重要性について再確認するとともに、G7 として、各国の状況に応じ、優先的施策の実施に貢献することが約束された。(15)ゴール15(生態系・森林)・ターゲットの件数:12 件・副題:陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・防止及び生物多様性の損失の阻止を促進する・世界の現状:世界の森林面積は約40億haで、世界の陸上面積の3 割が森林で占められている。森林は、陸域の生物種の約8割の生息・生育場所を提供するとともに、温室効果ガスの1 つであるCO2 の吸収・貯蔵に主要な貢献を果たすなど、生物多様性の保全や気候変動の緩和等の環境サービスを提供する。また、食料、木質エネルギー等の供給を通じ、世界の約16億人以上の人々がその生計を森林に依存しているほか、林産物の供給や林業及び伐採業における雇用の創出等にも重要な役割を果たしている。 2005年以降の10年間の世界の森林面積の減少速度は森林面積に対する森林減少面積の割合で見ると年間0.08 %で、1990 年代の0.18%と比較すると半分以下に低下したものの、依然として減少傾向にある。 森林減少の大部分は、南米、アフリカ、アジアの低所得国で起こっており、特にブラジル、インドネシア、ミャンマー等でその減少が大きくなっている。(以下略)(16)ゴール16(法の支配等)・ターゲットの件数:12 件・副題:持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進、全ての人々への司法へのアクセス提供及びあらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度の構築を図る・世界の現状:(省略)(17)ゴール17(パートナーシップ)・ターゲットの件数:19 件・副題:持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する・世界の現状:(省略)【関連ニュースの補足】■国連開発計画総裁の表敬訪日 国際連合としてSDGsに関する事業を推進する組織は国連開発計画注3)であるが、同組織の総裁であるアヒム・シュタイナー氏は注4)、このほど来日し、8 月10 日に安倍晋三内閣総理大臣への表敬訪問を行った。また、同時に新聞社の取材に応じ、SDGs をめぐ