ブックタイトルメカトロニクス10月号2017年

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概要

メカトロニクス10月号2017年

44 MECHATRONICS 2017.10 前号では、「2017年版環境白書」の中で大きく取り上げられている2大トピックスの1つ「持続可能な開発目標(SDGs)」に焦点をあてて、その概要を紹介した。その内容は、<図表1>に示すように同白書のSDGsに関する中のごく一部であり、まだ触れていないトピックスのほうが分量がはるかに多い。 今回は、白書の目次構成から“第2節 SDGsの各ゴールの関係と世界の現状 2.SDGsの各ゴールに関する世界の現状”を取り上げ、環境問題に関係の深いトピックスを選んで紹介する。(また、ホットニュースとして国連開発計画総裁が行った表敬訪日について、文末に紹介する。)日本産業洗浄協議会名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「2017年版環境白書」のトピックス~持続可能な開発目標(SDGs)(2)~【第187回】■ 2030 アジェンダの構成 「2030 アジェンダ」に記載されている“持続可能な開発のための目標”は、ゴール(goal)と称され、17項目のゴールがリストアップされて、“(1)”から“(17)”までの番号が付されている。このゴールには、簡潔な“表題”と、表題の内容を補足説明する“副題”が付されている(“ゴール”は“目標”と記される場合もある)。それぞれのゴールには、複数のターゲット(target)が明記されており、全17件のゴールに記載されているターゲットの数は、全部で169件である。 以下には、「2017年版環境白書」に記載されている17件の各ゴール別の“SDGs のゴールに関する世界の現状”注1)の内容から、環境に関係する項目を選んで紹介することとする(紙面の都合で環境問題に関係するゴールについてのみ「環境白書」から説明文を転載し、それ以外は「(省略)」と付記して“世界の現状”の説明は省いた)。注1)“SDGsのゴールに関する世界の現状”の掲載場所は、“第1部 総合的な施策等に関する報告”“第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)”“第2節 SDGsの各ゴールの関係と世界の現状”“2.SDGsの各ゴールに関する世界の現状”(11~22ページ)。■環境問題に関係の深いゴール(1)ゴール1(貧困)・ターゲットの件数:7 件・副題:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる・世界の現状:(省略)(2)ゴール2(飢餓)・ターゲットの件数:8 件・副題:飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、福祉を実現する・世界の現状:(省略)(3)ゴール3(健康な生活)・ターゲットの件数:13 件・副題:あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。・世界の現状:「2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる」ことを目指している。化学物質は、近代的な日常生活と工業生産に不可欠なものであるが、その不適切な管理や利用は、環境汚染のみならず人類への健康被害も引き起こす。世界には1 億100万以上の有機、無機の化学物質が存在している。そのうち20 万以上の化学物質が商業的に流通しており、毎年1,000 種類以上の新しい化学物質が市場に現れる。化学物質は経済成長と社会の発展に大きく貢献しているが、環境と人間の健康に悪影響を及ぼす可能性もある。 世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年約20万人が、重金属、農薬、溶融剤、塗料、薬剤等の化学物質へのばく露が原因で死亡していると推定されている。また、世界の死亡要因の第1 位である虚血性心疾患の35 %、死亡要因の第2 位の脳卒中の42 %については、大気汚染、室内空気汚染、受動喫煙等に起因する化学物質へのばく露を減らすことで防ぐことができたとも言われている。(4)ゴール4(教育)・ターゲットの件数:10 件・副題:全ての人々への包摂的注2)かつ公平な質の高い教育を提供し、生涯教育の機会を促進する注2)包摂的:原文では、“inclusive”という単語が随所に使用されており、外務省の仮日本語訳では“包摂的”と訳されている。・世界の現状:(省略)(5)ゴール5(ジェンダー平等)・ターゲットの件数:9 件・副題:ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女子のエンパワーメントを行う・世界の現状:(省略)(6)ゴール6(水)・ターゲットの件数:8 件・副題:全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する・世界の現状:地球環境の重要な要素である水資源は地球上に偏在している。水資源の95%が海洋に、1%が氷河等の氷の状態で存在しており、淡水の状態で存在しているのは1%程度に過ぎない。そのため、人々が淡水資源にいかにアクセスできるかが持続可能な開発の重要な視点になる。 2015 年には、世界人口の91%に当たる66億人が、外部からの汚染、特に人や動物の排せつ物から十分に保護される構造を備えている水源・給水設備(以下「改善された水源」という。)を使用している。しかし、今も残りの全世界人口の約9%、約6億6千万人の人々が、改善された水源を利用することができない。 特に、アフリカのサハラ砂漠以南のサブサハラ地域やアジア地域において、改善された水源を使用できない人口が多くなっており、世界で地域間格差が見られる。また、世界的には、都市の人口の96%が改善された水源を使えるようになった一方、地方では84%にとどまる。(7)ゴール7(エネルギー)・ターゲットの件数:5 件・副題:全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な現代的エネルギーへのアクセスを確保する。・世界の現状:世界で電源を利用できる人の割合は、2000 年の79%から2012 年の85%へと着実に増加しているが、それでもなお、11 億人が電気を利用することができていない。特に、サハラ砂漠以南のサブサハラ地域では、人口の65%が電気を利用せずに生活している。 液体・固体バイオ燃料、風力、太陽光、バイオガス、地熱、海洋エネルギー等の再生可能エネルギーは、2014 年では世界の最終エネルギー消費量の18.4%を占めている。2014 年までの5年間で、全世界の発電量は年平均3.4%増加しているのに対し、再生可能エネルギー発電量は、全発電量の約2倍である年平均6.4%で急速に増加している。 我が国でも、再生可能エネルギーの導入量は着実に増加している。我が国における再生可能エネルギーの導入量は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT制度)の導入以来、特に太陽光発電を中心に急速に拡大しており、2014 年に発電量に占める割合は約13%に達している。(8)ゴール8(雇用)・ターゲットの件数:12 件・副題:包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用とディーセント・ワーク(適切な雇用)を促進する・世界の現状:(省略)(9)ゴール9(インフラ)・ターゲットの件数:8 件・副題:レジリエントなインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの拡大を図る・世界の現状:(省略)<図表1>本年度「環境白書」におけるSDGsを取り上げた部分の目次構成①【前号で触れた部分】②【前号で触れなかった部分】第1部 総合的な施策等に関する報告はじめに第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標第1節 持続可能な開発を目指した国際的合意-SDGsを中核とする2030アジェンダ- 1.持続可能な開発の歩み 2.持続可能な開発目標(SDGs)の内容 (1)SDGsに至る道のり  (a)ミレニアム開発目標(MDGs)からの流れ  (b)「リオ+20」からの流れ (2)SDGsの内容  (a)SDGs が中核をなす2030アジェンダ    の基本的な考え方  (b)SDGsの概要及び特徴  (c)SDGsの環境との関わり第2節 SDGsの各ゴールの関係と世界の現状 1.SDGsの各ゴールの関係 (1)~(2) 2.SDGsの各ゴールに関する世界の現状 (1)~(17) 3.SDGsへの取組に対する我が国の現状と評価第3節 SDGsを通じた地球環境課題の解決 1.SDGsの達成に向けた国際社会の取組 (1)~(3) 2.SDGsの達成に向けた我が国の取組 (1)~(3)