ブックタイトルメカトロニクス9月号2017年

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概要

メカトロニクス9月号2017年

14 MECHATRONICS 2017.9500号記念 特別500号記念 特別 現在建設中の新社屋について お聞かせ下さいゲッテゲンス : 現在の本社事務所は2階建てで、それほど不便を感じていませんでしたが、売り上げも順調に伸びて社員が増えるにつれ、スペース的に厳しくなっていました。そのため、5 年程前から立地条件の良い場所を探しており、2 年前に横浜市営地下鉄のセンター北駅から徒歩約7 分の物件を見つけてその土地を購入し、現在新社屋(1500m2、4 階建て)を建設中です(写真1)。 この新社屋は、本社事務所、倉庫、吸着テスト専用ルームなどのスペースを備え、建物の構造は、環境への配慮と従業員の快適性のバランスが優れた設計になっています。近い将来、日本で一般的になるであろう持続可能な建物を目指しています。 ここで、新社屋の特徴をいくつか紹介したいと思います。まずこの新社屋は、建物の外壁を断熱材で覆う外断熱システムを採用しており、室内の温度を一定に、かつ快適に保つことができます。次に、窓ガラスには真空ガラスを採用しており、2 枚のガラスの間に真空層を設けることで、快適な室温を逃しにくくするとともに外気温や騒音などの影響を受けにくい構造になっています。 それから、空調は2つのシステムを導入しました。1つは、湿度と温度別々に制御し、快適な温度を保つシステムです。通常のエアコンは温度と湿度を一緒に制御しているので、不快な温度や寒さなどが生じやすかったのですが、このシステムによりそれが解消されます。もう1つは、エアコンの風が直接当たることによる不快感を解消するために、空調機とは別に空気の誘引システムを設置しました。これにより、快適な温度に調整された空気が、風として感じることなく、オフィスの隅々に広がります。 真空吸着機器メーカーとして飛躍を続けるシュマルツ株式会社。今回は、現在建設中である新社屋の概要と同社の製品開発、主力の新製品について、日本法人の代表取締役社長 ゲッテゲンス・アーネ 氏にお話を伺った。シュマルツ株式会社代表取締役社長ゲッテゲンス・アーネ 氏所在地:U R L:事業内容:横浜市都筑区http://www.schmalz.co.jp搬送用ロボットや装置に使用される真空吸着機器や固定用真空吸着機器の販売。シュマルツ株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人と環境に配慮した新社屋を建設~近未来の持続可能な建物を目指す~ そして屋上には太陽光パネルを、またエントランス付近の来客用駐車場に太陽光モジュールが組み込まれた庇を設置し、太陽光発電を行います。これらの設備によって発電された電力は社内で使用する電力に充てられます。発電された電力量などは、エントランスに設置されるモニタに表示され、わかりやすく確認できるシステムとなっています。さらに駐車場には、電気自動車用急速充電器を設置しており、短い打ち合わせでも終わるころには充電をほぼ満タンにすることが可能です。 また、壁面や屋上に緑化を施す事によって、CO2の吸収、遮熱、外壁の劣化防止などの効果が期待されています。壁面の緑化植物は、将来的には、高さ2m 程度に成長する予定です。 このように、人と環境に配慮した設備を数多く設置しており、本年9月13日の落成式に向け準備を進めている状況です。 御社の製品開発と 現在の主力製品について お聞かせ下さいゲッテゲンス : 当社の製品開発は、品質管理の関係で基本的にはすべてドイツにある本社で行っています。ただしカスタマイズに関しては、日本国内でも行うことができます。製品開発の流れとしては、各国の支社においてその国ごとに必要とされるニーズをドイツ本社にフィードバックし、その情報を基に製品開発を行うか判断しています。 日本では、まず業界ごとの問題をリサーチし、そこから製品開発のヒントを見つけてドイツ本社にフィードバックしています。特に日本と中国は、製品開発に向けたフィードバックの比率が最近増えており、製品開発に活かせた実績も数多くあります。今回は、その中から新製品をいくつか紹介します。 まずは、マグネットグリッパー『SGM』です(写真2)。この製品は、穴の開いた薄鋼板や複雑な形状の鋼板など真空パッドでの吸着が難しい磁性ワークの搬送に適しています。真空吸着メーカーである当社が、ユーザーの最終目的に着目し、吸着パットではなくマグネットを選択して開発した製品になります。主な特徴としては、①穴や??間があり、真空吸着が使用できないワークの保持が可能、②永久磁石のため、電気配線が不要、③停電時にも保持/解放の切り替えが起きず、ワークの落下を防止、などが挙げられます。今年はさらに保持力の上がった『SGM-HP』と、ホットスタンピングなど高温ワークの搬送に対応した耐高温モデル『SGMHT-HP』が新しく発売されました。 次に、吸着パッドの中から吸着径3mmのベローズパッド『FG-3シリーズ』を紹介します(写真3)。この製品は、基板や実装部品などの細かな部品の吸着に適しています。主な特徴としては、①パッド本体やニップルがコンパクトなため、ハンドの高さを抑えられる、②ベローズ形状のため、ワークへの追従性が高く、バッファとしても有効、③吸着跡を軽減するシリコンフリーのマークレスゴムをはじめとする5種類の材質をラインアップし、様々なワークに対応、などが挙げられます。 最後に、NFC(近距離無線通信)およびIO-Linkに対応した圧力スイッチ『VSiシリーズ』を紹介します(写真4)。この製品は、最近注目されているIoTに対応することができます。主な特徴としては、①あらゆるフィールドネットワークシステムに乗り入れ可能なIO-Linkに対応し、離れた場所にあるコントローラでのデータの可視化や設定、管理が可能②エア漏れ量を把握でき、大きな不具合が起こる前にメンテナンス(予知保全)が可能、③複数台のセットアップの時間や手間を削減できる、などが挙げられます。 日本支社の今後の展開について お聞かせ下さいゲッテゲンス : シュマルツは、業界ニーズに沿った真空搬送製品の開発、そしてそれらを活用した工場内物流システム設計に実績があります。これからは、ここ日本でも、物流にかつてない自動化、省力化ソリューションを提案していきたいと思っています。 実は本社移転の理由の1つに、この事業を展開することも含まれています。それは、実際に搬送試験を行うロボットを設置するスペースが必要になるためです。現状の社屋では、スペースがないため1台のみの設置ですが、移転後は徐々に台数を増やしていきたいと考えています。シュマルツの今後にご期待下さい。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真1 新社屋のモデル写真写真3 ベローズパッド『FG-3シリーズ』写真2 マグネットグリッパー『SGM-HP/HT-HP』写真4 圧力スイッチ『VSiシリーズ』