ブックタイトルメカトロニクス6月号2017年

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概要

メカトロニクス6月号2017年

MECHATRONICS 2017.6 11所在地:U R L:事業内容:東京都品川区http://www.andor.jp組み込みシステム開発/製造および量産、計測制御システム開発製造、画像システム他電子機器開発製造、FAシステム・物流システムソフトウエア/ハードウエア開発製造、開発支援システム・組込み応用教育、など。アンドールシステムサポート株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 具体的に、BGA搭載基板の故障解析のためにJTAGテストを導入したお客様の事例で説明します。高密度実装基板に頻繁に用いられるBGA の接合保証は、プリント配線板の品質上で非常に重要となります。従来の実装検査は、自動外観検査、インサーキット検査、ファンクション検査が中心でしたが、BGA搭載基板の品質を十分に保証することはできませんでした。JTAGテストでは、BGAの不良個所をピンレベルで特定できるため、故障の種類を効率良く絞り込むことができます(写真1)。一例として、動作不良のある基板40 枚に対してJTAGテストを実施したケースでは、BGA部分の不良個所をすべて特定することに成功した実績もあります。このようなテスト結果をもとに、不良の起きやすい状況を自動で解析し、製造現場にフィードバックすることができ、それにより不良が起きないような改善を行えることがこのテストツールの大きな特徴であり、品質向上に繋げることができます。 JTAGテストを実施することで、約85 %の製品保証を実現しており、残りはJTAGテストの規格では検査できない個所になるので、従来の検査方法を実施することで100%の製品保証を実現できます(写真2)。検査方法の順番としては、まず実装方向などをチェックする外観検査を行い、次に電気抵抗などをチェックするインサーキット検査を行い、その次にJTAGテストで通電チェックを行い、そこでカバーできない部分をファンクション検査で補うような手順になります。ファンクション検査は、エンジニアの方がすべてプログラムを開発しないとテストできませんが、JTAGテストはテストパターンが自動生成されるため、準備工数が大幅に短縮できるというメリットもあります。 JTAGテストの規格が定められた当初は、コンピュータ関連で特にPCを中心に普及が始まり、次に画像処理のメモリやチップなどで検査しづらかった複合機や複写機で普及が加速し始めました。今後は、安全運転支援システムなどの車載関連製品で適用されることが期待されており、その場合テストツールとして使われるだけでなく、新たに書き込みツールとして使われるケースも想定されています。 当社では、少しでもJTAGテストを理解して頂けるように教本となる「JTAG技術レポート」を作成し、セミナーなども月に1回のペースで行っているため、すでに200 回以上開催している状況です(写真3、4)。今後も、このようなサポート体制を強化しながら、JTAGテストの普及に努めていきます。 次に、ピカリング インターフェース社の 「PXI 自動計測システム」について、概 要や特徴などについてお聞かせ下さい谷口:イギリスにあるピカリング インターフェース社の「PXI 自動計測システム」は、計測機能のテストや検証を行う製品で、適用されるマーケットとしては、車載関連/航空宇宙関連/民生機器など、非常に幅広い分野で使用されています。こちらの製品も、JTAGテストと同様に規格がベースになっており、「PXI」という規格をベースにしたモジュール型のテストツールになります。外観は、シャーシ状のボックス型になっており、お客様が使われるテスト用のPXIモジュールを色々と組み合わせて差し込むことで、計測システムを短期間で構築することができます(写真5)。 ピカリング インターフェース社は、スイッチを得意としたメーカーで、1998 年からPXIモジュールの開発/販売を開始しており、現状では1,000種類以上のPXIモジュールをラインアップし、お客様が検査する対象に合わせてPXIモジュールを選択して頂き、それを組み込む形で提供しています。また、お客様からの要求にも柔軟にカスタマイズ対応し、それをカスタマイズ品とせずに標準品として提供するため、ラインアップもどんどんと増え続けている状況です。 テストのイメージとしては、お客様の検査するターゲットに対して、例えば電源用のモジュールを繋げておいて充電池の代わりにシミュレーションさせることで、ターゲットがどのように動作するか評価したり、それからセンサの入力の代わりにプログラム抵抗モジュールを繋げて、センサの挙動をシミュレーションさせることで、ターゲットがどのように動作するか評価し、システム障害が起きた時にもシステムが安全に終了するかなどを評価することができます。 また、お客様が測定したいテストポイントにマトリックススイッチモジュールを繋げて、計測モジュールと好きなポイントで結び付けることが可能です。これは、すべてソフトウエアにより制御できるため、計測の自動化に貢献することができます。これらをすべて組み合わせると、お客様のターゲットとなる基板が実際のシステム内で運用しているような、疑似的なシミュレーション環境をつくり上げることができるので、そこでシステムの評価が行えることになります(図1)。 このPXI自動計測システムを導入することにより、計測時間/データ収集時間の削減、計測システムのコスト削減、計測システムの省スペース化、製品の信頼性向上などのメリットが期待できます。さらにPXI規格以外にも、ネットワーク対応のLXIや、ローコストシステムを構築できるPCI / GPIBに対応した自動計測システムも提供しています。 PXI自動計測システムは、JTAGテストと比べて当社としての取り扱いはまだ日が浅いですが、日本国内で唯一の総代理店として、JTAGテストと同様にセミナーや講習会を通じて普及に努めています。 今後の展開についてお聞かせ下さい古屋:今までは、JTAGテストとPXI自動計測システムを個々に提供していましたが、今後はこの2つのテストツールを合致させて提供していきたいと考えています。それにより、より高度なテスト環境を構築することが可能になります(写真6)。すでに、その環境で提供している事例もいくつかありますので、その辺りを強化して自動テストと検証の新しい形として事業を立ち上げていきたいと考えています。 また当社は、2002 年8 月からイギリスのARM 社が認定するトレーニングセンターとなっており、ARMアーキテクチャやARMプロセッサに関連したセミナーを開催して、ARM組み込みシステム開発者の育成を行っています。現在、日本国内では当社を含め3 社がARM社の認定を受けて、セミナーを開催していますが、今後はこの事業にも力を入れていきたいと考えています。具体的には、トレーニングの中にARM の開発だけでなく、検証/テストサービスまでをすべて盛り込んでサポートできればと思っています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真5 PXIシャーシとPXIモジュール写真4 セミナーの様子図1 PXI自動計測システムによる疑似的なシミュレーション環境写真6 PXIモジュールJTAGコントローラ