ブックタイトルメカトロニクス4月号2017年

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メカトロニクス4月号2017年

44 MECHATRONICS 2017.4日本産業洗浄協議会名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「エコアクション21ガイドライン2017年版(案)」について~過去の経緯と改訂版のパブリックコメント~【第181回】■環境マネジメントシステムに関する用語 環境マネジメントに関連する用語は、環境マネジメントを主要職務とする場合以外には、なじみの薄いものが多いので、その関連用語を各種文献から抽出し、簡単な解説を付す2~7)。(1)環境管理全般・環境マネジメント:(環境管理、EnvironmentalManagement)。事業者が自主的に環境保全に関する取組を進めるに当たり、環境に関する方針や目標等自ら設定し、これらの達成に向けて取り組むことをいう。・環境マネジメントシステム:(環境管理システム、Environmental Management System、EMS)。環境マネジメントを行うための工場や事業所内の体制・手段等の仕組みをいう。EMSが誕生した背景には、さまざまな環境問題を規制だけで解決することが難しいため、企業などの組織が自主的に環境改善を行うことが必要であるとの認識が世界的に高まったことがある。 ・PDCA サイクル:(PDCA Cycle、Plan-Do-Check-Act Model)。環境マネジメントを実施するにあたり、環境改善を進める場合の仕組みの順序として行う以下の①から④までの手順である。①P(計画、Plan)②D(実施および運用、Do)③C(点検、Check)④A(改善、Act) 環境マネジメントシステムの根底にあるアプローチの基礎は、Plan-Do-Check-Act(計画-実施-点検-改善)という概念に基づいている。(2)認証実施の制度・機関・環境認証制度:省エネや廃棄物の削減計画等、企業の環境問題を組織的に管理・推進できる体制が整備されていることを第三者機関が評価・認定する仕組みをいう。・エコアクション21:環境省は、中小企業者においても容易に環境配慮の取組を進めることができるよう、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価および環境報告をひとつに統合した環境配慮のツールを1996年に「環境活動評価プログラム」として発表した(「中小企業向けEMS」参照)。 同プログラムは、幅広い事業者に対して環境への取組を効果的・効率的に行うシステムを構築するとともに、環境への取組に関する目標を持ち、行動し、結果を取りまとめ、評価し、報告するための方法を提供している。 同プログラムは、内容を見直して1999年9月に「環境活動評価プログラム - エコアクション21-」と名称を変更した。 今回、「エコアクション21ガイドライン2017年版(案)」を取りまとめ、その内容について、意見募集(パブリックコメント)をおこなっている(更に詳細は後述)。・中小企業向けEMS:国際規格であるISO 14001認証に代わる第三者認証のあるEMSには、国内の代表的中小企業向けEMSとして各種の組織が紹介されている。 エコアクション21は、環境マネジメントシステムにおける認証制度の代表的な一例である。また、ISO審査登録機関には各種の認定範囲があり、「環境(EMS)」の他に、「品質(QMS)」、「航空宇宙(AS)」、「医療機器(MD)」、「情報通信(TL)」、「食品安全(FSMS)」、「情報セキュリティ(ISMS)」、「エネルギー(EnMS)」などがある。(3)ISOの組織と規格・国際標準化機構:(International Organization forStandardization、ISOと略)。国際的な非政府組織(民間機間)で、製品およびサービスの国際貿易を容易にし、知的・科学的・技術的・経済的活動分野における国際間の協力を助長するために、世界的な標準化とその関連活動の発展開発を図ることを目的としている。・ISO 14001:国際標準化機構(ISO)が定めた環境マネジメントシステム(EMS)の仕様を定めた規格で、最初の版は1996年9月に発行されたが、その背景には、1992年の地球サミットで採択された「アジェンダ21」が、持続可能な開発のために民間企業などの参加を求めたことがある。その後、2004年5月、2015年9月に改訂版が発表された。この規格の表題は、 “ISO 14001:2015 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引(Environmentalmanagement systems - Requirements withguidance for use”とされており、「ISO 14001:2015」と表記される。 最新版で改訂されたポイントは以下の項目である6、7)。①マネジメントシステム規格の共通化②戦略的なマネジメントシステム③組織の状況の把握④リスク及び機会の決定⑤トップマネジメントのリーダーシップ⑥持続可能な発展、CSR観点の重視⑦環境パフォーマンスの重視⑧法令遵守の徹底⑨ライフサイクルの視点導入⑩文書類の電子化・ISO 14000ファミリー:環境マネジメントシステムに関係するISO規格は、ISO 14001を中心として広範囲の規格がISOシリーズ(あるいはISOファミリー)として紹介されている(その一部の規格名を以下に表示)。・ISO 14001:環境マネジメントシステム - 要求事項及び利用の手引き・ISO 14004:環境マネジメントシステム - 原則、システム及び支援技法の一般指針・ISO 14005:環境マネジメントシステム - 環境パフォーマンス評価の利用を含む、環境マネジメントシステムの段階的実施の指針・ISO 14006:環境マネジメントシステム - エコデザインの導入のための指針・ISO 14015:環境マネジメント - 用地及び組織の環境アセスメント・ISO 14020:環境ラベル及び宣言 - 一般原則の他、タイプⅠ、タイプⅡ、タイプⅢの原則及び手順を規定・ISO 14030 シリーズ:環境マネジメント - 環境パフォーマンス評価 - 指針・ISO 14040 シリーズ:環境マネジメント - ライフサイクルアセスメント - 原則及び枠組み、要求事項及び指針、製品システムの環境効率評価 - 原則、要求事項及び指針など・ISO 14050:環境マネジメント - 用語・ISO 14060 シリーズ:14064-1温室効果ガス- 第1部:組織における温室効果ガスの排出量及び吸収量の定量化及び報告のための仕様並びに手引き。14064-2、14064-3、14064-5など・ISO 26000:組織の社会的責任・ISO 31000:リスクマネジメント・ISO 50001:エネルギーマネジメントシステム■今回のパブリックコメントの背景 以下に、今回の「エコアクション21ガイドライン(2017年版(案)」に関するパブリックコメントの背景を紹介する1)。(1)「同2017年版(案)」の作成 環境省では、事業者の環境経営を支援し、環境と経済の好循環を推進することを目的に、環境マネジメントシステムとして「エコアクション21ガイドライン」を1996年に策定し、2016年12月末現在、全国約8千の事業者が本ガイドラインに基づき、認証登録をしているとのことである。 パリ協定に象徴されるよう、環境取組と事業経営の関係が密接となる中で、EMSには環境経営の有効性をPDCAサイクルで担保するツールとして、社会から 環境省は、2017年1月23日付けで“「エコアクション21ガイドライン2017年版(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)”について以下の報道発表を行った。 “環境省では、事業者の環境経営を支援し、もって環境と経済の好循環を推進することを目的に、環境マネジメントシステム(EMS)「エコアクション21ガイドライン」を策定し、現在、全国約8千の事業者が本ガイドラインに基づき、認証登録をしている。 パリ協定に象徴されるように、環境取組と事業経営の関係が密接となる中で、EMSには環境経営の有効性をPDCAサイクルで担保するツールとして、社会からの期待が高まっている。そしてこの期待は、業種、業態、事業規模にかかわらず全ての事業者へと広がっている。 中小事業者にも取り組みやすいEMSとして策定されたエコアクション21も、その策定趣旨は堅持しつつも、これからの環境経営に期待される重要な要素を取り込み、もってエコアクション21に取り組む事業者と地域社会の持続可能な成長を一層支援することが求められている。 そこで環境省では、エコアクション21ガイドラインの改訂に関する検討を2015年度から行い、この度、「エコアクション21ガイドライン2017年版(案)」を取りまとめた。これについて、広く国民の皆様から意見をいただくため、パブリックコメントを実施する1)。” 今回は、環境省の行うEMS「エコアクション21」の改訂を機会に、EMSの関連情報を整理して紹介する。