ブックタイトルメカトロニクス3月号2017年

ページ
11/52

このページは メカトロニクス3月号2017年 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

メカトロニクス3月号2017年

MECHATRONICS 2017.3 11所在地:U R L:事業内容:横浜市磯子区http://www.dymco.co.jpスチールベルト(金属ベルト)およびその応用機器(スチールベルト減速機やスチールベルトコンベヤなど)の設計/製作/販売、精密機械部品の設計/製作/販売、極薄肉メタルスリーブの製作/販売、パミス研磨材(シリカ系)の販売。株式会社 ディムコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リーブとして使用するまったく新しい発想となる製品開発への取り組みです。こちらはまだ開発中で、ようやく試作品が完成した段階です。 さらに、これら部品単体だけでなく、これらの製品を応用し、お客様の要求に応じた装置の開発も行っており、どちらかというと最近ではこちらの方がメインの事業になっています。業界としては、半導体/食品/医療/自動車/エネルギーなど幅広い分野に使用されており、特に最近ではフィルムの搬送に使用したいといった問い合わせが多く寄せられ、当社としても新たなビジネスチャンスと捉えています。 では、現在御社の主力としている 製品についてお聞かせ下さい大月 : まずは、加熱/加圧をメインに行う『ダブルスチールベルトヒートプレスコンベア』を紹介します(写真1)。この装置の構造としては、上下2段のコンベアとその中にはそれぞれ加熱するためのヒータを用意しており、上下のコンベアの間にものを通すことで加熱/加圧ができるような仕組みになっています(図1)。これにより、樹脂フィルムの加熱/加圧/圧延/含浸成形、シートのラミネート/積層化、接着剤や樹脂の加熱/硬化/貼り付け、などの用途に使用できます。 そして当社は、どちらかというと小型の装置を得意としており、スチールベルトについても板厚の薄いものがメインになっているので、その分装置自体を小型化することが可能でした。大型の装置はなかなか導入しづらいですが、ちょっと試しに使ってみたいという時などは小型の装置の方が受け入れられやすく、実験室レベルで使用するサイズに設計製作できることから問い合わせも多く頂いています。増子 : 次は、ものを吸い付けることをメインにした『吸引/吸着スチールベルト搬送コンベア』を紹介します(写真2)。この装置の構造としては、スチールベルトに細かい穴あけ加工がされており、スチールベルトの下には吸引ボックスといった空気を吸えるチャンバを用意し、ブロワなども用意することで空気を引いてスチールベルト表面のものを吸い付けることができるような仕組みになっています(写真3)。用途としては、紙やフィルムを吸い付けて搬送したい時などに多く使われており、このような柔らかくて姿勢が制御しづらいものを平面に吸着させることで、印刷する場合や検査する場合などできれいに精度を出せるといったメリットがあります。また、軽いものを搬送する場合などは、搬送スピードが速いとものが飛ばされてしまう時もありますが、吸着されていると搬送スピードが速くてもものが保持されるといったメリットもあります(図2)。 使い方としては、通常のコンベアと同じようなケースがベースになりますが、中には傾斜でものを運ぶ時に使用したり、逆さづりにして上面からだけなく下面からも何か仕事をされる時など、吸着しているのでそういった特殊な使い方にも効果を発揮します。さらに、サイズについては受注生産体制をとっているので、お客様のニーズにあったサイズで設計製作が可能であるといったメリットもあります。竹村 : 最後にまだ開発中ではありますが、これから力を入れていきたいと考えている『低慣性ロール』の紹介をします(写真4)。こちらは、先程少し説明しましたスチールベルトを搬送のベルトとして使用するのではなく、スリーブとして使用するまったく新しい発想の製品になります。最近では、プラスチックのフィルムがどんどん薄型になってきており、そのフィルムを慣性のあるロールで搬送すると、回っているスピードが微妙に変化する時にフィルムが滑ってしまい、傷をつける恐れが発生します。ただ、ロールが非常に軽く回ると追従していくことは分かっていたので、どのようにして軽く回していくかという研究開発を行っていました。 今回開発を進めている製品の構造は、ロールの周りに非常に薄いスリーブを巻いているような状態になっており、軸端部から空気を入れるとロールとスリーブの接触面に??間をつくるような形になり、ロール自体は回転せずにスリーブが空気浮上状態で回転機械抵抗が非常に小さく回る仕組みになっています(図3)。そのため、高速搬送による生産性の向上に貢献できるとともに、フィルムに傷を与える恐れも極めて少なくなります。現在は、試作品をあるお客様にテストを兼ねて実際に使用して頂いている状況です。 今紹介した3つの製品は、現在当社が新しいビジネスチャンスと捉えているフィルム業界に提案していくための柱となるもので、フィルム業界のお客様から頂いている川上から川下までのニーズを形にしています。 今後の展開についてお聞かせ下さい松田 : 当社は、どちらかというと標準製品というよりは一品一様の受注製品がほとんどで、今後もこの流れは続いていくと思われます。ただその中で、製品のさらなる高精度化や長寿命化といった課題は、常に目標にしているのでこれからも継続していきたいと考えています。また装置は、小型のものがメインとなっていますが、お客様からは徐々に大きな装置へのニーズも増えてきているので、そのようなニーズにも対応していきたいと考えています。 そして、このような取り組みを行うためのコアとなるのは、薄いスチールベルトの加工技術になりますので、これまでのノウハウを活かしていくのもそうですが、さらなる技術力の向上にもチャレンジしていきます。本日はお忙しい中ありがとうございました。スチールベルトに微細な穴(穴径0.5~1mm)を開けています。吸引時、この穴が微細なため吸引抵抗が生じ、ベルトが十分吸引されて平面をつくり、吸着の台座になります。ワークはその上で平坦に吸引されます。ベルト表面はステンレス面と、ステンレス面にフッ素樹脂をコーティングしたもの、つや消しコーティングしたものがあります。ステンレス面●洗浄、衛星フッ素樹脂(黒)コーティング●剥離性、滑り性、拭き取り性つや消しコーティング●検査、測定用写真3 スチールベルト表面の状態図3 低慣性ロールの構造図図2 吸引/吸着スチールベルト搬送コンベアの使用例写真4 低慣性ロール