ブックタイトルメカトロニクス2月号2017年

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概要

メカトロニクス2月号2017年

MECHATRONICS 2017.2 45護運動」「熱帯林破壊」「砂漠化」「環境汚染」「水資源」「海洋汚染」「地球温暖化」「原発事故」「戦争」を拾い出し、いずれも、その現場に立ち会った私自身の体験を綴ったものだ。 こうした問題を抱える現場に住んでいる人々は、環境の悪化によって生命や健康や家族や職を失い、貧困や内戦に苦しめられ、さまざまな社会的矛盾、不条理、解決のさえ見えない難題にさらされている。こうしたニュースを追うことは、そうした人々の直面する現実と向き合うことでもあった。”(2)環境社会検定試験と森林問題  環境社会検定試験は、東京商工会議所が主催する環境に関する検定制度であり、通称「eco検定」と呼ばれている。この検定試験制度は、“環境に関する幅広い知識を礎とし環境問題に積極的に取り組む“人づくり”と、環境と経済を両立させた“持続可能な社会づくり”を目的とする”とされ、第1回試験は2006年10月15日に実施された。 ECO検定の公式テキストでは、森林問題のトピックスに関しては、以下のようなキーワードを取り上げている6)。・愛知目標、国際熱帯木材機関、国連砂漠化対処条約、国連砂漠化防止会議、国際自然保護連合、国際森林年、里地里山、酸性雨、シュバルツバルト、持続可能な森林経営、森林吸収源、森林原則声明、森林浴、生物多様性、都市緑地法、熱帯雨林、熱帯モンスーン林、熱帯林行動計画、保安林、保護林、緑の雇用、焼畑耕作、緑化対策、ワシントン条約(これは一例で、以上の語句を含むその他の用語が多数紹介されている)。(3)ショスタコーヴィチ作曲「オラトリオ・森の歌」 地球環境問題をクラシック音楽界で取り上げることは非常にまれなことであるが、ロシア(当時はソ連邦)の作曲家ショスタコーヴィチは、第二次世界大戦終結直後に、荒廃した大地を大植林計画で緑化することをテーマとしたオラトリオを1949年に発表した。この「オラトリオ・森の歌」は、最近の森林問題にも類似した地球環境の再生を目指すテーマであるとしてその内容が再評価され、以下の演奏会が予定されている。【地雷で傷ついたアフガニスタンの子供たちに車椅子を贈るベネフィット・コンサート(第16回)】・日時:2017年3月20日(祝日)13:30開演・会場:東京芸術劇場コンサートホール(池袋西口)・主催:認定NPO法人おんがくの共同作業場・曲目:ショスタコーヴィチ「森の歌」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」・管弦楽:新交響楽団(トーマス・ザンデルリンク指揮)・合唱:東京オラトリオ研究会etc・主催者の一言:“第二次世界大戦で荒廃した祖国の大地を復興させる植林計画を支える民衆のエネルギー(1949年:森の歌)、繰り返されるリズムと言葉から生まれる生物としての人間の根源的な力の新しい表現(1936年:カルミナ・ブラーナ)。20世紀を象徴する一時代が生んだ曲として、次世代へと継承してゆく意味のある合唱音楽における世界遺産と呼ぶべきものでしょう。”(認定NPO法人おんがくの共同作業場理事 岡田利英)(2016年12月12日記)<参考資料>1)遠藤秀紀「人体 失敗の進化史(光文社新書)」光文社(2006.6)2)(代表的に2012 年版日本語訳のみを記載)(日本語版)エコ・フォーラム21 世紀監修:「(ワールドウォッチ研究所編集)地球白書 2012-2013 特集:持続可能で豊かな社会経済を目指して」ワールドウォッチジャパン(2015.2)3)公益財団法人 旭硝子財団のウェブサイトhttp://www.af-info.or.jp4)石弘之:「地球破壊 七つの現場から(朝日選書405)」朝日新聞社(1990.7)5)石弘之:「私の地球遍歴~環境破壊の現場を求めて」講談社(2002.10)6)東京商工会議所編著:「環境社会検定試験 eco検定公式テキスト(改訂5 版)」日本能率協会マネジメントQuy):ベトナム国家大学ハノイ校 自然資源管理・環境研究センター教授【受賞業績】 戦争により破壊された森林を調査して、その修復および保全に尽力し、環境保護法の制定や生物種の保護にも貢献した功績【業績の内容】 同博士は、対米戦争の最中(1971~1974)、戦争が森林および自然環境に及ぼす影響について、広範囲で森林が枯葉剤の散布を受けて熱帯雨林と農地が破壊されている実態を調査し、国土を再緑化することの重要性を深く認識した。博士は、71年から85年までの間、「南ベトナムの環境および生活資源に対する枯葉剤の長期的影響調査」のリーダーとして活躍し、85年から90年にかけて、「枯葉剤の影響に関する委員会」の副議長を務めた。 85年には、博士は、環境問題に関するベトナム初めての研究および訓練機関である自然資源管理・環境研究センター(CRES)をハノイ大学に創設した。ここで博士は仲間の科学者達と共に、森林を国土の50%に蘇らせることを目標としてマスタープランを作成し、この内容は国家の環境戦略として政策に採用された。 国土の自然を保全し再緑化するために、住民が主体となって進める活動を率先して推進してきた博士は、「ベトナム環境保護活動の父」と呼ばれている。ベトナムにおける荒廃した自然環境の保全・修復に関する努力と成果は、同様の環境を持つ発展途上国にとっての良い見本となっている。(3)2005年度(第14回)表彰【受賞者】ゴードン・ヒサシ・サトウ博士(米国 1927 ~、Dr.Gordon Hisashi Sato):W.オルトン・ジョーンズ細胞科学センター名誉所長、A&G製薬取締役会長/マンザナール・プロジェクト代表【受賞業績】  エリトリアで斬新なマングローブ植林技術を開発し、最貧地域における持続可能な地域社会の構築の可能性を示し、先駆的な貢献をした業績【業績の内容】(省略)(4)2006年度(第15回)表彰【受賞者】宮脇 昭博士(日本 1928~、Dr. Akira Miyawaki):国際生態学センター研究所長【受賞業績】 「潜在自然植生」の概念に基づく森林回復・再生の理論を提唱・実践し、防災・環境保全林、熱帯雨林の再生に成功して、地球の緑を回復する手法の確立に貢献【業績の内容】 自然の立地条件に最も適した土地本来の植生を意味する「潜在自然植生」という概念に基づく森林回復・再生の理論を提唱する一方、日本全国の大学の植物生態学系研究室の協力を得て、日本中の植生を調べ上げ、日本における植生調査の集大成となる現存植生図および潜在自然植生図を合わせて本文6000ページにも及ぶ「日本植生誌」全10巻を編著した。 国内海外あわせて1500ヶ所以上で現地植生調査に基づき再生の理論を実践することにより、国内では20~30年で限りなく自然林に近い防災・環境保全林を再生すると共に、海外でも熱帯雨林の再生に成功するなど、具体的実績をもとに生態系の基盤である地球の緑環境回復の可能性と成果を提示した。(5)2012年度(第21回)表彰【受賞者】① ウィリアム・E・リース教授(カナダ 1943 ~、Professor William E. Rees):ブリティッシュ・コロンビア大学教授、FRSC(カナダ王立協会フェロー)②マティス・ワケナゲル博士(スイス 1962 ~、Dr.Mathis Wackernagel):グローバル・フットプリント・ネットワーク代表【受賞業績】 人間がどれだけ自然環境に依存しているかを表した指標“エコロジカルフットプリント”(ecologicalfootprint、EF)を提唱し、過剰消費のリスクの見直しに大きく貢献【業績の内容】 世界のほとんどの国は自国内にどのくらいの「自然」を保有しており、それをどのくらい消費しているのかを知らずにいる。それは燃料計の無い飛行機で飛ぶくらい、危険なことである。エコロジカルフットプリントの概念により、リース教授とワケナゲル博士は、世界各国および世界全体の自然資源(生態系サービス)の収支を計算した結果、ほとんどの国が自然資源を過剰消費していることが明らかになった。   現在、人類が1年間に使用する自然資源を地球が再生するには、1年6ヵ月かかる。エコロジカルフットプリントを使えば、誰でもが生態系が提供する「自然」の生産量に対する人間の消費量を比較することが可能となる。(6)2016年度(第25回)表彰【受賞者】マルクス・ボルナー教授(スイス 1945~、ProfessorMarkus Borner):グラスゴー大学名誉教授、フランクフルト動物協会アフリカプログラム前ダイレクター、ネルソンマンデラアフリカ工科大学(タンザニア)助教授【受賞業績】 アフリカで約40年間、野生動物保護に取り組み、種の保全には生態系全域の総合的保全が必要であることを示し、「経済成長」と「自然保護」を両立させるアプローチの開発に貢献【業績の内容】(省略)■森林問題に関連するその他のトピックス(1)ジャーナリストが現場取材で追求した森林問題 石弘之氏(元東京大学教授)は、新聞社に所属していた頃より、環境問題ジャーナリストとして地球環境問題に関する取材を精力的に行っていた。また国連環境計画上級顧問として環境問題の国際会議についても数多く報告書を執筆している。 森林問題については、著書「地球破壊 七つの現場から」の中で、現場取材を含めた調査をまとめている。以下は彼が同書で取り上げた森林問題の具体的な事例である4)。・1979~:中国各地における森林乱伐による土壌侵食、黄砂、砂漠化・1970年代~:中央アメリカ地峡における森林伐採のための砂漠化、パナマ運河の水位低下・1980年代:西ヨーロッパ各地での酸性雨によるシュワルツバルト(黒い森)の枯渇・1983~:ボルネオ島(インドネシア)の山火事・1987:大興安嶺山脈(中国)の山火事・1988:イエローストーン公園(米国)の山火事・1988~89:バングラデシュのデルタ地帯における河川氾濫、浸水・1988年:グアテマラにおける森林保護区44ヵ所の新設 同氏の他の著作では、その“まえがき”に以下のように記されている幅広いトピックスが森林問題とともに現地調査に基づいて報告されている5)。 “最初は沿岸の海洋汚染からはじまったが、野生生物、森林保全、産業公害、廃棄物、化学汚染、オゾン層破壊、地球温暖化と取材対象がひろがっていった。日本の公害を追っていたつもりが地球全域の環境問題に発展して、アマゾンや東南アジアの熱帯林、アフリカインドの砂漠化、ヒマラヤや南米の山岳地帯、中国や中東の水不足、極地や熱帯林の先住民・・・へと関心も行動範囲も広がっていった。 本書は、地球が抱える主要な環境問題から「環境保