ブックタイトルメカトロニクス10月号2016年

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概要

メカトロニクス10月号2016年

10 MECHATRONICS 2016.10 IoT 推進室を設置した経緯や 業務内容などについてお聞かせ下さい境野:当社は、元々このIoT 推進室が設置される前から各営業本部や各サービス部などにおいて、M2Mという形で産業向けの通信サービス、それからアプリケーションサービスなどの提供を行っていました。その中で、最近“IoT”という言葉に注目が集まり、色々なお客様から問い合わせも増えてくるようになりましたが、それらはそれぞれの部署で対応する形を取っていました。 しかし、ウエアラブルコンピュータや自動車関連など様々な市場が急速に発達してきたことにより、それに対応するIoTサービスを開発していくため、2015 年8月にIoT推進室という部署を設立するに至りました。この部署は、今まで各営業本部や各サービス部にあったM2MやIoTに関する案件がすべて集められ、全社的に動かせるようにするための統括的な役割を担っており、それらの案件に携わった各部署の社員などを集めて組織されています。 また、この部署でのミッションは、当社の保有するネットワークサービス、クラウドサービス、セキュリティサービスといったものを組み合わせたサービスを提供していくことと、将来的に必要になると考えられる機能やサービスの要素を開発し、パートナー企業と一緒にその仕組みをつくって世に出していくようなサービス提供の企画を行っていくことを目的にしています。お客様に最適なサービスを提供していくために、お客様に関する情報を文献などで調べるだけでなく、実際に営業と同行してお客様の所でヒヤリングを行ったりするマーケティング活動も行っています。さらに、その業界の団体に入って業界内で起こっていることを認識し、業界団体が行っ IoT市場が急速に進む中、IoTに関する専門部署を設置したNTTコミュニケーションズ株式会社。今回は、同部署を設置した経緯と現在進められている事業内容などについて、技術開発部IoTクラウド戦略ユニット/経営企画部IoT推進室 兼務 IoT・エバンジェリスト 担当部長 境野 哲 氏、経営企画部IoT推進室 主査 堀越 崇 氏のお二人にお話を伺った。NTTコミュニケーションズ株式会社技術開発部IoTクラウド戦略ユニット/経営企画部IoT推進室 兼務IoT・エバンジェリスト 担当部長境野 哲 氏経営企画部IoT 推進室 主査堀越 崇 氏IoTに関する幅広いニーズに対応するためIoT推進室を設置~セキュアでグローバルなIoTサービスを提供~ている実証実験にも参加して、お客様のニーズの仮説を検証するといった取り組みも行っています。 最近では、製造業などの工場といった現場で装置を取り扱われている方々からのIoTに関する引き合いが増えており、それには従来行っていたプロダクトごとの対応ではなかなか難しいこともあり、製造業のお客様が必要とする要素/サービスをすべてまとめて提供できるようなものを開発しています。 開発された製造業向けの サービスについてお聞かせ下さい堀越:先程もお話しましたが、当社の取り組みとして各営業本部や各サービス部などで個別にM2MやIoTに関する案件に取り組んでいましたが、その中の1つに技術開発部で3年程前からIoTの実験を行っていました。そこでは、IoTを行っていく上で必要になるクラウドやネットワークなどの要件を洗い出したり、あとはネットワークサービス部の方で必要なネットワークとかエリア展開するためのグローバルな要件、それからネットワークデバイスはどのようなものが必要になるかなどの検討を行っていました。それらの知見は、昨年のIoT推進室が設立した時に担当者が集まり、知見を合わせてIoT のトライアルを行う上で必要なパッケージを開発したことが、この部署の最初の取り組みになります。 このトライアルとはどういうものかというと、IoTをやりましょうといった時に、「突然では大きな投資ができない」ということをお客様とのヒヤリングなどからよく耳にします。これは、例えば工場をスマート化するとか自動車をスマート化するといった時に、億単位の設備投資が必要になるケースが多いためで、いきなりそんなスタートはできないということをいわれます。まずはスモールスタートで、トライアルで効果が出るようなら投資を増やしていきたいと考えられているお客様が多かったので、これまでの各部署の取り組みを集めて3つのトライアルパックを開発しました。 今回開発した3つの『IoTトライアルパック』の概要としては、1つ目は『Connected Factory』という工場設備との接続向けのもので、スマートファクトリーのためのパッケージになっています(図1)。2つ目は、『Connected Product』という各種製品との接続向けのもので、例えば冷凍冷蔵庫や冷暖房の室外機などを遠隔から監視するためのパッケージになります。3つ目は、『Connected Vehicle』という各種車両との接続向けのもので、特に営業車をフォーカスしており、営業車の燃費向上や故障予知をするためのパッケージになっています。 この3つのIoTトライアルパックをお客様に使って頂くことにより、お客様自身も次の段階の投資に向けて色々と研究することができますし、当社もこのトライアルを行う過程で色々とお客様の意見を吸い上げて、当社のサービスとしてもさらに良いものがつくれるというメリットがあります。 ここで、今回の3つの『IoTトライアルパック』を使った事例がそれぞれありますので、紹介させて頂きます。 まず1つ目は、『Connected Factory』の事例で「機器の予防保全・リモートメンテナンス」に関する内容になります。これは、工場に納品しているような例えば冷凍冷蔵庫やプレス機、成形機などの単体で故障すると操業に影響が出るような装置を遠隔化するケースで使って頂いています。エンドユーザーに装置メーカーが装置を納品する時に、当社のネットワークやクラウドも一緒に装置に組み込んで納品し、納品後も装置メーカーが遠隔で監視するモデルになっています。使って頂いている装置メーカーからは、一定の効果が出ているという評価を頂いており、トライアルパックから次の段階に進んでいる状況です。 2つ目は、『Connected Product』の事例で「農地の遠隔監視による作業負担軽減」に関する内容になります。これは、農地においてブランドものの高価な果物などをつくっている農家に使って頂いている、生産物を遠隔で監視するモデルになっています。元々農場には、果物などが今どういう状態になっているか分かる装置が設置されているようですが、その装置をさらに遠隔から監視するものになります。これにより、果物などが被害を受ける前に様々な対策が行えたり、外部のアドバイザに今自分の農場がどういう状態でどういうアドバイスがほしいのかということを依頼しやすくしたという効果が得られています。 3つ目は、『Connected Vehicle』の事例で「運転傾向診断による交通事故削減」に関する内容になります。これは、地方にある会社で車を使った営業が主力のため営業車が数多くあり、それぞれ営業マンが毎日図1 『IoTトライアルパック』の概要図2 『IoT Platform』の概要