ブックタイトルメカトロニクス7月号2016年

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概要

メカトロニクス7月号2016年

MECHATRONICS 2016.7 411. はじめに 2016 年2 月号に引き続き、和歌山アイコムの取り組みを、同社有田工場の事例写真とともをご紹介する。2. 段取り替えの効率化② 工程内の作業状況については、時刻を記した計画表が掲示されており(写真1)、段取り替えについても記されている。その中では、段取り替えの時間を紫色で表しており、それを見れば、たとえば「次は18 時30 分に、『○○main/A』という部品が100 台、段取り替えがくる」ということがひと目でわかるようになっている。 段取り替えは、あらかじめ用意された部品表に基づいて行われる。ロータリマウンタの場合は、共通して使用できる部品は共通で置いておいて、新たに必要なものを集めて用意し、不要なものを載せ替えていく、やり方をとっている。 同社ではこのやり方でなれていることから、モジュラマウンタについても適用している。 段取り替えのタイミングについては、各担当者が把握していることはもちろんであるが、その直前にはオペレータがそれを知らせるための行燈(写真2)を点灯させるようになっている。 これについても、段取り替えの作業者が装置の前で待機する時間を極力削減するために、ぎりぎりの、30~45 秒前に点けるように周知徹底されている。そしてもちろん、段取り替え自体にも「2 分33 秒で完了させる」「リール交換は2 秒で行う」というように作業の目標時間が設定されている。 なお、計画表の色分けについては、黄色は現在、部品を出庫中であること、青色は実装中であること、緑色は出庫が完了していることなどを示している。これも、当該作業が完了すると色を塗ってリアルタイムでアップすることになっている。●ロータリマウンタの段取り替え 写真3は、ロータリマウンタの段取り替えの様子である。この写真では写っていないのだが、所要時間を示す時計が設置されており、そのスタートしてからカウントが始まる。 このアイデアについては、管理責任者が問題を感じてつけたというわけではなく、作業者の側から出てきたアイデアであるという。「目標時間内にできたかどうかを知る喜びが欲しい」という声が上がったそうである。このような、ちょっとしたゲーム感覚の要素も、作業者のモチベーションを保つものとなっているだろう。 段取り替えの際に生産効率を落とさないために、バッファコンベアが用意されている。段取り替えの前にあらかじめ刷り溜めをしておき、この装置が自動的に搬送している間に、前の機械を段取り替えする。全停止して段取り替えをするのではなく、前の機械から順番に段取り替えをしている。 段取り替えは、装置のパトランプの緑のランプが消えたらスタートとなる。人員は4 人一組のチームで、実質、3人で替えて、もう1人がバーコードを読みこむ。組み込みが終わったら全員でバーコードの読み込みにあたる。誰がどこからどこまでを担当するのか、ということについても決められている。この時の所要時間は2 分10 秒で、目標の時間(2 分33 秒)内に無事に完了した。●モジュラマウンタの段取り替え モジュラマウンタの段取り替えは、基本的にはプログラムを替えるだけとなる(写真4)。こちらについても、あらかじめ刷り溜めしておき、オペレータが前から順番に変えていく方法が採用されている。 ロータリマウンタの段取り替えが、どちらかといえば体力を要するものであるのに対して、モジュラマウンタの段取り替えについてはプログラムを1つずつ変えていくため、頭を使う必要がある、という。3. バーコードによる管理の徹底 段取り替えの前準備は部品出庫者が行っており、次の部品を段取りしている。ここでも予定表が全部見えるようになっており、終わると情報を更新する。 湿度を嫌う部品については除湿保管庫に入れ、10 %以下の環境で管理している。これも各ラインに用意されているため、QFPなどについては、前準備の段階でこの中に入れておくことができるようになっている。 また、間違いなどのミスを防止するために、管理はすべてバーコードで行っている。これによって、品名のバーコードと、部品に対してのシリアルもすべて紐づけ管理しているため、「どのシリアルの部品を使ったか」ということがわかるようになっている。また、ポカヨケとして、シリアルは1リールに1つ用意されている。そのため、おなじシリアルのバーコードを2 回通したらNGが出る、という管理をしている(写真5)。 パーツフィーダについても、同社独自の番号を打っている。たとえば、「ナンバー2261 のパーツフィーダにどの部品がついたか」という履歴も残しておくことができるため、不良が出たときに辿れる仕組みが確立されている(写真6)。 また、フィーダの本体自体にも工夫が施されている。通常であれば、片手でリール、片手でフィーダを持たなければいけないが(写真7)、メーカーに依頼して本体にフックを作ってもらうことによって、リールを引っ掛けられるようにしており、片手で持てるようにしている(写真8)。これも作業者の声、すなわち、「改善提案システム」によって生まれた工夫である。 このように、「考えられることを徹底して考える」という姿勢が隅々まで行き届いている。独自の生産ラインを構築し、高い生産性と高品質な製品づくりを実現する、和歌山アイコムの取り組み(その④)写真2 段取り替えを示す行燈写真4 モジュラマウンタの段取り替えの様子写真8 片手で持てる工夫が施されたフィーダ写真1 工程の作業のタイムテーブル 写真3 ロータリマウンタの段取り替えの様子 写真7 フィーダを普通に持った場合写真6 パーツフィーダに記されたシリアル写真5 リールに記されたシリアル工場レポート見えにくいが、装置の上部のカウンタが作動している