ブックタイトルメカトロニクス3月号2016年

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概要

メカトロニクス3月号2016年

44 MECHATRONICS 2016.3図3-25 真空押圧熱転写加工に関する特許文献(その1)3-17)表3-6 樹脂成形加工装置の進展 3-16)《第83回》3 製造をみてみよう(その9)1.導光板の放出素子の敷設(6)押圧加工(その2) 導光板を製造するに当たって射出成形加工方法の能率/効率の無さに感じ始めた作業企業の中には、導光板の製造仕事から次第に遠ざかり、遂には作業従業員を解雇する場面にすら当面するようになった。1990年代ころの出来事であった。このような時期に救世主のごとく登場してきたのが、加熱押圧加工方法である(既出図3-24)。 射出成形加工方法が安価なペレット(粒状樹脂)を原料とする利点がありながらも導光板の板状製品を形成してゆく過程で、重量感のあるピストンを大量のエネルギーで加熱しながら運動させる装置の挙動は、いかにも効率が悪い。ならば原材料に透明板を当初から設定すれば、工程能率が向上するに違いないとの判断から、加熱押圧加工法が着想された。しかし、原板表面を加熱して版型(スタンパ)を押圧してみると、間隙に迷い込んでいた気泡により邪魔されて押圧模様が正確に転写されない。そこで気泡の混入を追い出すために、原板を加熱している時間内で、押圧機構全体を真空状態に保全する装置が開発された(既出図3‐23)。 しばらくこの装置を活用していたのであるが、押圧工程を繰り返すごとに、嵩張る押圧機構全体を真空状態に保つのはたいそうな工程状態だ。最も重要な金型付近にだけに注目して、狭い空間個所だけを真空保全すべきだとの改良案が発展してきた(表3-6)。この発明者は従来から光ディスクの押圧成形加工に秀でていたようで、金型構造に巧妙な調整を付加したり、加工工程の能率化に努力を注いでいた(図3-25)。 この紹介図面において①~⑦は光ディスクの製造加工方法に関連する発明であり、後半の⑧~⑪事例は導光板の製造に関係する着想である。当面に生産する部材が光ディスクから導光板に変更されてゆく時代の流れであろうとも、変わらぬ熱意を絶やさずに注ぐ態度が見受けられる。 当面する課題には同一のものは二つとない。未知の世界を独歩する心境に、果敢に挑戦を続けるべきだ。当面の課題がなくなり変更されたとしても、思考を止めれば次なる課題においても成功は約束されない。たとえ過ぎ去ろうとした課題にも暖かく結論を贈呈して整理しておこう。次なる機会には一層の助力で後押ししてくれる。こうして、教訓は教訓を生む事例を教えられた。信濃道は 今の墾り道 刈り葉根に 足踏ましむな沓(靴)はけ わが背(夫) =万葉集東歌(あづまうた)= さらに、真空保全工程は本当に必要であるのか、真空工程を必要としない進歩してゆく押圧成形加工法について、次回に論及する。【参考文献】3-16)小嶋久司「型内真空技術によるキャビティ高転写成形と型内メンテナンスフリー」プラスチック工業技術研究会第1156回講演会(2006年)  小嶋久司「次世代DVDの新量産技術」プラスチック工業技術研究会第1173回講演会  3-17)特許情報プラットフォームJ-PlatPat3 製造を見てみよう(その10)