ブックタイトルメカトロニクス12月号2015年

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メカトロニクス12月号2015年

42 MECHATRONICS 2015.12日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力国際連合の特別行事(1)~地球環境保護を訴える地球規模のメッセージ~【第165回】■国際連合が定めた特別行事 国際連合は、一年間を通じて特定のテーマを設定し、国際社会の関心を喚起し取り組みを促すために、「国際年」を定め、国際連合総会やさまざまな国連専門機関によって宣言文が発表されている。他に、毎年特定の月に定める「国際週間」、毎年特定の月と日を定める「国際デー」がある。また、さらに長期間取り組む必要がある場合には「国際の10 年」として10年間の長期にわたり活動を継続するテーマを設定している1、2)。(1)国際年(国連年) 国際社会が1 年間を通じて一つの共通した問題に取り組むために国際年が定められている。国際年の制定は通常、国際連合総会の場で決定され、各国政府は官民合同の国内委員会を設立し、行動計画を作成するよう要請される。 そのテーマについては、国際連合が本来目指すところの平和的、経済的、社会的発展、人権の促進などに関し、とりわけ開発途上国において早急な改善をはかるべく国際協力の推進を必要とする問題であるとガイドラインで定められている。 国連で最初に設定された「国際年」は、1957 年の「国際地球観測年」(International Geophysical Year)であり、各国においてその年の中心的行事として脚光を浴びるようになったのは、「国際婦人年」(1975 年)あたりからであると言われている。 国際年(International Year)は、国連年(UnitedNations Year)とも呼ばれており、これまでの59年間(2015 年10 月まで)に76 件のテーマで実施されている(同じ年に複数のテーマが取り上げられたことがあり、国際年の総数は年度の数より多い)。(2)国際の10 年(国連の10 年) 国際年のテーマによってはその活動期間が1 年間では短すぎ、さらに時間をかけて取り組む必要がある場合には、10年間の期間を設定する。それは、「国際の10 年」(International Decade)あるいは「国連の10年」(United Nations Decade)と呼ばれている。「国際の10年」は、1961年-1970年の「(第1次)国連開発の10 年」を第1 回目として2015 年10 月までに40 件が設定されてきた。(3)国際週間 毎年一定の月の1 週間に、同じテーマでキャンペーン活動を行う場合があり「国際週間」(International Week)と呼ばれている。国際週間は現在(2015 年10 月)までに全8件が登録されているが、その中に地球環境問題に関係する行事はまだ設定されていない。(4)国際デー 国際連合が定めた指定記念日で、毎年定められた日に、特定の事項に対して特に重点的に問題の解決をはかるために国連が宣言して全世界の国、団体、個人に取組みを要請している。「国際デー」(International Day)は「国連デー」(UnitedNations Day)とも呼ばれ、その日には、世界各地でそのテーマに関する記念行事が行われる。■地球環境問題に関係する「国際年」 地球環境関連の問題が取り上げられた国際年は、現在(2015 年10 月)までに設定された総数76 件のうち以下の8 件である。(1)1985 年:国際森林年(International Year of the Forest) 森林は、人間を含めたあらゆる動植物に対して環境や防災などさまざまな面で恩恵を与えてくれている。森林には多様な生態系があり、光合成によって地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)を酸素に変える。また、木々の根は山崩れなどの災害を防止する。しかし、開発途上国をはじめとする世界各地で森林の面積が減少・劣化している。主な原因は、過剰な伐採や農地化、森林火災、林業にかかわる人材不足などとされている。森林の減少や劣化に歯止めをかけるには、森林を守り育てる「持続可能な森林経営」に向けた取り組みを世界全体で行う必要がある。第1回の「国際森林年」は1985 年に、また第2回は2011 年に設定された(後述の“(5)2011 年:国際森林年”をご参照下さい)。(2)2003 年:国際淡水年(UN International Year of Freshwater) 国連総会における国際年決定の際には以下のような問題点の指摘で「国際淡水年」が宣言された。・世界人口のおよそ6分の1に当たる11億人が安全な水を利用できず、また、十分な衛生サービスを受けられない人々も24億人と、世界人口の40%に達している。・毎日、約6,000 人の子どもたちが、安全でない水や劣悪な衛生状態に関連する病気で命を失っている。・先進国のトイレを1回流すだけで、開発途上地域の平均的な人が1日に洗濯、飲み水、掃除および料理に使うのと同じ量の水が使われる。・開発途上国では、未処理で排出される下水が全体の90 %に上っている。・20 世紀には、水の使用量が人口の2 倍の速さで増えた。中東、北アフリカおよび南アジアは慢性的な水不足に悩まされている。・飲料水と灌漑を目的とした地下水の過剰な汲み上げにより、多くの地域では地下水面が数十メートルも低下し、人々が質の悪い水を飲み水に利用せざるを得なくなっている。(3)2006 年:砂漠と砂漠化に関する国際年(International Year of Deserts andDesertifi cation, 2006)<図表1> 本国際年は、深刻な干ばつや砂漠化に苦しむ国、特にアフリカにおける砂漠化によって被害を受けてい 前回と前々回では、国際連合が設定した国際デー「国際生物多様性の日」にちなんだトピックスとして“里地里山について”シリーズの第8~9回を紹介した。国際デーの中でも地球環境問題で代表的なテーマとしては成層圏のオゾン層破壊の問題があり、本シリーズでも、オゾン層保護対策の取組については繰り返しその国際的な運動と成果を紹介してきた。 国際連合が定めた行事の中の環境問題のテーマは、長期にわたって対策の成果をチェックする必要があるものである。 今回は、国際連合が定めた各種行事の中で特に地球環境問題に関わりの深いものについてのトピックスを、その設定の経緯について紹介する。<図表1>「砂漠と砂漠化に関する国際年(2006)」のロゴマーク<図表2>「国際生物多様性年(2010)」のロゴマーク<図表3>「国際森林年(2011)」のロゴマーク