ブックタイトルメカトロニクス3月号2015年

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概要

メカトロニクス3月号2015年

42 MECHATRONICS 2015.3<写真1>IPCC第5次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約2)日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力気候変動に関する政府間パネル(IPCC)~(4)完成した第5次評価報告書:統合報告書SPM~【第156回】■IPCC第40回総会:第5次評価報告書の完成 IPCC の第40回総会は、2014 年10 月27 日~31 日、コペンハーゲン(デンマーク)において開催され、IPCC 第5次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表されるとともに、統合報告書の本体が採択された。 IPCC 第5 次評価報告書は、三つの作業部会報告書と今回の統合報告書から構成されており、昨年(2013 年)9 月に公表された第1 作業部会報告書(自然科学的根拠)、本年(2014 年)3 月に公表された第2 作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)、4 月に公表された第3 作業部会報告書(気候変動の緩和)及び関連する特別報告書の内容を分野横断的に取りまとめた統合報告書では、人為的な温室効果ガスの排出による気候変動の現状及び今後の見通しについての最新の知見が参加国のコンセンサスで取りまとめられた。 統合報告書を含む一連のIPCC 第5次評価報告書は今後、UNFCCC をはじめとする、地球温暖化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料となる。(1)IPCC第40 回総会の概要・開催月日:2014年10月27日(月)から31日(金)までの5日間・開催場所:チボリコングレスセンター(コペンハーゲン、デンマーク)・ 出席者:約120ヵ国の代表、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関等から計約600名が出席。・日本の参加:文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省などから計17 名が出席。 わが国は、第5次評価報告書の取りまとめにあたり、省庁連携によるIPCC国内連絡会を組織し活動支援を行ってきた。また、わが国の多くの研究者の論文が引用されるとともに、報告書の原稿執筆や最終取りまとめにおいて積極的な貢献を行ってきた。(2)第5 次統合報告書の主な結論第5次統合報告書では、①観測された変化及びその要因②将来の気候変動、リスク、影響③適応、緩和、持続可能な開発に向けた将来経路④適応及び緩和の4 つの主題のもとに、第1 ~第3 作業部会の内容を横断的にとりまとめている。同報告書では、各作業部会報告書の政策決定者向け要約及び本文と関連する特別報告書をもとに、第5次評価報告書の流れをとりまとめている。(3)同報告書SPM の主な結論 第5 次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要は、環境省より速報版として以下のように発表された。SPM 1. 観測された変化及びその要因 気候システムに対する人間の影響は明瞭であり、近年の人為起源の温室効果ガスの排出量は史上最高となっている。近年の気候変動は、人間及び自然システムに対し広範囲にわたる影響を及ぼしてきた。{1}SPM 1.1 気候システムの観測された変化 気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また1950 年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。大気と海洋は温暖化し、雪氷の量は減少し、海面水位は上昇している。{1.1}SPM 1.2 気候変動の原因 人為起源の温室効果ガスの排出は、工業化以前の時代以降増加しており、これは主に経済成長や人口増加からもたらされている。そして、今やその排出量は史上最高となった。この排出は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気中濃度を、少なくとも過去80万年で前例のない水準まで増加させた。それらの効果は、他の人為的要因と併せ、気候システムの全要素において検出されており、 20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い。{1. 2、1. 3.1}SPM 1.3 気候変動の影響 ここ数十年、気候変動は、全ての大陸と海洋にわたり、自然及び人間システムに影響を与えている。影響は観測された気候変動によるものであり、その原因とは関わりなく、変化する気候への自然及び人間システムの感受性を示している。{1.3.2}SPM 1.4 極端現象 1950 年頃以降、多くの極端な気象及び気候現象の変化が観測されてきた。これらの変化の中には人為的影響と関連づけられるものもあり、極端な低温の減少、極端な高温の増加、極端に高い潮位の増加、及び多くの地域における強い降水現象の回数の増加といった変化が含まれる。{1.4}SPM 2. 将来の気候変動、リスク、及び影響 温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と気候システムの全ての要素に長期にわたる変化をもたらし、それにより、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響を生じる可能性が高まる。気候変動を抑制する場合には、温室効果ガスの排出を大幅かつ持続的に削減する必要があり、排出削減と適応を合わせて実施することによって、気候変動のリスクが抑制されることとなるだろう。{2}SPM 2.1 将来の気候の主要な駆動要因 二酸化炭素の累積排出量によって、21 世紀後半及びその後の世界平均の地表面の温暖化の大部分が決定づけられる。温室効果ガス排出量の予測は、社会経済的発展と気候政策に依存し、広範にわたる。{2.1}SPM 2.2 気候システムにおいて予測される変化 地上気温は、評価された全ての排出シナリオにおいて21 世紀にわたって上昇すると予測される。多くの地域で、熱波はより頻繁に発生しまたより長く続き、極端な降水がより強くまたより頻繁となる可能性が非常に高い。海洋では温暖化と酸性化、世界平均海面水位の上昇が続くだろう。{2.2}SPM 2.3 変化する気候に起因する将来のリスクと影響 気候変動は、既存のリスクを増幅し、自然システム及び人間システムにとっての新たなリスクを引き起こすだろう。リスクは偏在しており、どのような開発水準にある国々においても、一般的に、恵まれない境遇にある人々やコミュニティがより大きなリスクを抱える。{2.3}SPM 2.4 2100 年以降の気候変動、不可逆性、及び急激な変化 気候変動の多くの特徴及び関連する影響は、たと 本シリーズの第141回、第154回および第155回の継続として、今回はIPCC第40回総会が採択したIPCC第5次評価報告書について紹介する(写真1)。紙面の都合で図表を割愛せざるを得ず、是非参考資料を参照されたい1、2)。また、前号までの目次の概略は表1に示す。 さらに、このIPCC評価報告書に基づいて議論が進められたCOP20(国連気候変動枠組条約第20 回締約国会議)およびCMP10(京都議定書第10 回締約国会合)が2014 年12 月にリマ(ペルー)で開催されたので、簡単にその会議の様子を紹介する。<表1>前回までの目次<第141回>(1)IPCCとその第5次評価報告書■設立の目的と組織■第5次評価報告書の作成予定■IPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書 (自然科学的根拠)の概要<第154回>(2)完成した第5次評価報告書:第2作業部会報告書■IPCC第5次評価報告書の発表に至る経緯■第5次評価報告書における可能性と確信度の 表現について■IPCCメンバーによるシンポジウム■IPCC第36回総会:第1作業部会報告書 (自然科学的根拠)の公表■IPCC第38回総会:第2作業部会報告書 (影響・適応・脆弱性)の公表<第155回>(3)完成した第5次評価報告書:第3作業部会報告書■IPCC第39回総会:第3作業部会報告書 (気候変動の緩和)の公表■前回報告書からの主な変化■IPCC第39回総会及び第3作業部会■第3作業部会報告書の主な結論