ブックタイトルメカトロニクス2月号2015年

ページ
43/52

このページは メカトロニクス2月号2015年 の電子ブックに掲載されている43ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

メカトロニクス2月号2015年

MECHATRONICS 2015.2 43●産業部門におけるGHG排出量の大半を占めるのがCO2である。しかしCO2以外のガスについても大きな緩和機会がある(証拠:確実、見解一致度:高い)。●企業間・部門間の体系的な取組や協調行動は、エネルギーと物資消費の両方を削減することを通してGHG排出も削減しうる(証拠:確実、見解一致度:高い)。大規模なエネルギー集約産業と中小企業の両方で、部門横断的技術(例:効率的なモーター)や手段(例:空気や蒸気の漏れを減らす)は、プロセスのパフォーマンスと工場の効率をコスト効率的に改善させうる。SPM.4.2.4 農林業・土地利用(AFOLU)● AFOLUは食料安全保障と持続可能な発展において中心的な役割を負う。最もコスト効率の高い緩和策は、林業では新規植林、持続可能な森林経営、及び森林減少の抑制が挙げられ、その相対的重要性は地域によって大きく異なる。農業では農地・牧草地管理等が挙げられる(証拠:中程度、見解一致度:高い)。●バイオエネルギーは、緩和において重要な役割を果たしうるが、取り組みの持続可能性やバイオエネルギーシステムの効率性等を考慮する必要がある(証拠:確実、見解一致度:高い)。SPM.4.2.5 人間居住、インフラ、空間計画●人間居住における最大の緩和機会は、都市形態及びインフラがロックインされていない急速に都市化が進行している地域に存在するが、そのような地域ではガバナンス、技術、財政、制度面での能力が限定されていることが多い(証拠:確実、見解一致度:高い)。SPM.5 緩和政策及び制度SPM.5.1 部門別政策、国家政策●AR4以降、複数の政策目標を統合し、コベネフィットを増大させ、副作用を減少するように設計された政策への注目が増大している(確信度:高い)。●第4次評価報告書(AR4)以降、GHGのキャップ・アンド・トレード制度を始めた国や地域の数は増えている。キャップが緩い又は義務的でなかったため、短期的な環境効果は限定されている(証拠:限定的、見解一致度:中程度)。原則として、キャップ・アンド・トレード制度は、コスト効率の良い形で緩和を実現しうるが、その履行は各国の事情に依拠する。●炭素税を実施しているいくつかの国では炭素税が技術や他の政策と組み合わさり、GDPと炭素排出の相関を弱めることに寄与してきた(確信度:高い)。多くの国において、燃料税は(必ずしも緩和目的で設計されたものではないにしても)部門別炭素税として機能している。●さまざまな分野におけるGHG関連活動への補助金削減は、社会経済的背景次第で、排出削減を達成することができる(確信度:高い)。●技術政策は他の緩和政策を補完する(確信度:高い)。技術支援政策は、重要なイノベーションと新技術の普及を促進してきた。SPM.5.2 国際協力●京都議定書は、特に、参加、実施、柔軟性メカニズム、環境に対する効果という点で国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC)の究極目標の達成に向けた教訓を与えている(証拠:中程度、見解一致度:低い)。●地域、各国、国以外の関係者の気候変動政策の間の政策の連携は潜在的な緩和及び適応の便益を提供する(証拠:中程度、見解一致度:中程度)。(2014.11.16記)<参考資料>1)環境省:「(報道発表資料)IPCC第5次評価報告書第3作業部会報告書(気候変動の緩和策)の公表について」(2014年4月13日)2)IPCCのホームページ:http://www.ipcc.ch/は、エネルギーシステムと潜在的な土地利用を大規模に変化させることを通して、今世紀半ばまでに人為起源GHG排出を大幅に削減することを前提としている(確信度:高い)。同濃度に達するシナリオは、2010年と比べて2050 年の世界のGHG 排出量は40~70%低い水準であり、2100年にはほぼゼロ又はマイナスに至る。2100年に約450ppm に達する大半のシナリオで特徴的なことは、エネルギー効率がより急速に改善され、再生可能エネルギー、原子力エネルギー、並びに二酸化炭素回収・貯留(CCS)を伴う化石エネルギーまたはCCS付きバイオエネルギー(BECCS)を採用したゼロカーボン及び低炭素エネルギーの供給比率が2050年までに2010年の3倍から4倍近くになっていることである。より高い濃度に至るシナリオも同様の変化を伴うが、より緩やかな時間軸である。一方、より低い濃度に至るシナリオはより速い時間軸での変化を必要とする。● 2100年に大気中のGHG濃度をCO2換算で約450ppm に達するシナリオの典型は、500ppmから550ppmに達する多くのシナリオと同様に、一時的に「オーバーシュート」する。「オーバーシュート」の程度にもよるが、「オーバーシュート」シナリオの典型は今世紀後半におけるBECCS及び植林の利用と広範な普及に依拠している。BECCS、植林その他の二酸化炭素除去技術・手段の利用可能性や規模は確かではなく、多かれ少なかれ、課題やリスクを抱えている。(確信度:高い)●カンクン合意注7)こちらも同程度(33 ~66%)(2100 年のCO2 換算濃度が約450ppm から500ppm)となるコスト効率的な長期緩和経路と整合していないが、同目標を達成する選択肢を排除してはいない(確信度:高い)。注7)カンクン合意:COP16(2010年12月、カンクン、メキシコ)で採択された合意書。京都議定書を離脱した米国、温室効果ガスの削減義務を負わない中国やインドなどの新興国にも排出削減を求めている。●2030年まで緩和の取り組みを遅延させると、長期的な低排出レベルへの移行が相当困難になり、産業革命前から気温上昇を2℃未満に抑え続けるための選択肢の幅が狭まる(確信度:高い)。●緩和に係る総経済コストの推定値には大きな幅があり、モデルの構造と前提、及び導入される技術の性質や緩和のタイミングといったシナリオの想定に大きく依拠する (確信度:高い)。ある想定では、2100年までにCO2 換算濃度450ppm程度を達成する緩和シナリオでは、緩和対策を行わないベースラインシナリオ(今世紀中に300~900%以上に消費が拡大することを前提)と比べ、2030年で1~4%(中央値:1.7%)、2050年で2~6%(中央値:3.4%)、2100年で3~11%(中央値:4.8%)の損失が世界の消費に生じることになる。これは緩和による気候変動の削減や緩和の「コベネフィット」「副作用」を考慮していない。これらの数値は、ベースラインにおける年間1.6~3%の消費の拡大と比べて、今世紀中に0.04~0.14%ポイント消費拡大が減少することに相当する。技術が利用できなかったり、利用に制限があると、想定する技術次第では緩和コストが大幅に増加しうる。(表SPM.2 オレンジの部分)追加的な緩和の遅れは、中長期的な緩和コストを増大させる。SPM. 4.2 部門別緩和経路及び部門横断型緩和経路並びにその対策SPM. 4.2.1 部門横断型緩和経路と対策●ベースラインシナリオにおいて、GHG排出量は、農林業・土地利用部門(AFOLU)のCO2の純排出量を除き、全ての部門で増加する。(証拠:確実、見解一致度:中程度)エネルギー供給部門はGHGの主要な排出源であり続け、最終的には建物と産業部門の電力使用による間接排出の大幅な増大が予想される。●社会をGHG強度の大きい排出経路に固定化(「ロックイン」)するインフラ開発並びに長寿命製品を変えることは、困難あるいは非常に高いコストを伴う可能性があり、このことは、野心的な緩和に向けた早期の行動の重要性を強める(証拠:確実、見解一致度:高い)。●2100年にCO2換算で約450ppmまたは500ppmの大気中濃度に達するシナリオにおいて、持続可能な開発を阻害せずにベースラインシナリオと比べてエネルギー需要を削減するために効率性を向上させ行動様式を変化させることは、鍵となる緩和戦略である(証拠:確実、確信度:高い)。SPM.4.2.2 エネルギー供給●第5次評価報告書(AR5)で採用されたベースラインシナリオでは、エネルギー供給部門からのCO2直接排出量は、過去のエネルギー強度の改善速度を大きく超えない限り、2050年に2010年の水準(14.4Gt/年の排出)の約2倍から3倍になると評価している。(証拠:中程度、見解一致度:中程度)●第4評価報告書(AR4)以降、再生可能エネルギー技術は性能向上及びコスト低減の面で大いに進展した。また大規模な普及が可能な成熟度に達した再生可能エネルギー技術の数も増えている(証拠:確実、見解一致度:高い)。●原子力エネルギーは成熟した低GHG排出のベースロード電源だが、世界における発電シェアは1993年以降低下している。低炭素エネルギー供給への原子力の貢献は増しうるが、各種の障壁とリスクが存在する(証拠:確実、見解一致度:高い)。●エネルギー供給によるGHG排出は、天然ガスが利用可能で、掘削と供給に伴うGHG漏出が小さい、もしくは緩和されれば、既存の標準的な石炭火力発電を最新の高効率天然ガス複合発電や熱電併給発電に置き換えることによって、大幅に減らすことができる(証拠:確実、見解一致度:高い)。2100年までにCO2換算で約450ppmに達する緩和シナリオでは、CCSを伴わない天然ガス発電は「つなぎ」の技術として用いられ、その普及は、2050年までに増加した後ピークに達して現在の水準以下に低下し、さらに今世紀後半に減少する(証拠:確実、見解一致度:高い)。SPM.4.2.3 エネルギー最終消費部門<輸送部門>●世界的に増え続けている旅客輸送と貨物輸送によってCO2排出量が急速に増え続けており、今後の緩和策による効果を一部、相殺してしまう可能性がある(確信度:高い)。●全ての交通様式を対象とする技術的及び行動的な緩和策と、新たなインフラと都市再開発への投資により、2050年の最終エネルギー消費はベースライン比で約40%減る可能性があり、緩和ポテンシャルはAR4で示したポテンシャルよりも高いと評価される(証拠:確実、見解一致度:中程度)。<建築部門>●近年における技術、ノウハウ、政策の進展により、今世紀中頃までに世界の建築部門におけるエネルギー利用を安定化又は削減する機会を提供することができる(証拠:確実、見解一致度:高い)。●エネルギー効率政策のポートフォリオの立案・実施はAR4以降大きく進展した。建築基準と電気製品の省エネ基準が、正しく設計・実施されるならば、排出削減の最も効果的な手段であることが実証されている(証拠:確実、見解一致度:高い)。<産業部門>●産業部門のエネルギー原単位は、特に利用可能な最高の技術を使用していない国々やエネルギー集約型ではない産業における広範な改修・更新・利用可能な最高の技術の展開により、現行水準と比べておよそ25%低減しうる(証拠:確実、見解一致度:高い)。エネルギー効率向上を促進する代表的な施策は、情報プログラムを筆頭に、経済的な支援策、規制措置、そして自主行動などがある。