ブックタイトルメカトロニクス1月号2015年

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概要

メカトロニクス1月号2015年

42 MECHATRONICS 2015.1<写真1>IPCC第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)の表紙2)日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力気候変動に関する政府間パネル(IPCC)~(2)完成した第5次評価報告書:第2作業部会報告書~【第154回】■ IPCC 第5次評価報告書の発表に至る経緯 IPCCの評価報告書の発表は今回で5回目となり、以下のように行われてきた。 ・1990年:第1次評価報告書(FAR) ・1992年:第1次評価報告書補遺 ・1995年:第2次評価報告書(SAR) ・2001年:第3次評価報告書(TAR) ・2007年:第4次評価報告書(AR4) ・2013-14年:第5次評価報告書(AR5)注2)注2)FAR:The First Assessment Report of IPCCSAR:The Second Assessment Report of IPCCTAR:The Third Assessment Report of IPCCAR4:The 4th Assessment Report of IPCC 今回のIPCC第5次評価報告書については、昨年(2013年)9月の「第1作業部会報告書」の公表に始まって、3つの作業部会報告書の公表を経て、IPCCの第40回総会(2014年10月)において、「IPCC第5次評価報告書統合報告書の政策決定者のための要約(SPM)注3)」が承認・公表されるとともに、統合報告書本体が採択された。その詳細は、日本では文部科学省・経済産業省・気象庁・環境省の連名により11月2日付けで報道発表が行われた5)。注3)SPM:Summary for Policy-makers、政策決定者のための要約。 第1作業部会報告書については、昨年9月の発表の時点で、IPCCの評価報告書発表の経緯と共に、本シリーズの第141回において紹介したので参照されたい(表1)1)。 本シリーズの第141回の継続として、今回から3回に分けて第2作業部会報告書、第3作業部会報告書および第5次評価報告書の統合報告書を紹介する。■第5次評価報告書における可能性と確信度の表現について IPCCでは、評価結果の「可能性」と「確信度」を表す用語を、一貫した基準に基づいて使用している。以下は、第5次評価報告書で用いられている用語である。・「可能性」:はっきり定義できる事象が起こった、あるいは将来起こることについての確率的評価である。・「確信度」:モデル、解析あるいはある意見の正しさに関する不確実性の程度を表す用語であり、証拠(例えばメカニズムの理解、理論、データ、モデル、専門家の判断)の種類や量、品質及び整合性と、特定の知見に関する文献間の競合の程度等に基づく見解の一致度に基づいて定性的に表現される(表2)3)。■ IPCC メンバーによるシンポジウム IPCCより、3つの作業部会報告書と統合報告書(SYR)から成る第5次評価報告書(AR5)が公表されたことを踏まえ、環境省はシンポジウム「気候変動の科学とわたしたちの未来」を2014 年12月から2015年3月にかけて計8回、全国各地で開催することを発表した6)。その一部は、この記事が公表されるまでに開催されるが、参考までにその全体計画を以下に紹介する。(1)開催の趣旨 AR5に示されている気候変動に関する最新の科学的知見を、同報告書の作成をリードした議長団(IPCC全体の議長と副議長、各作業部会の共同議長と副議長から成る)のメンバーやAR5執筆者等の専門家からの要点をおさえた説明により、一般市民にわかりやすく説明する。(2)日程等①2014年12月18日(木)神戸基調講演者:David Wratt(デイビッド・ラット)第1作業部会副議長(ニュージーランド)(予定)②2014年12月25日(木)東京基調講演者:Fredolin Tangang(フレドリン・タンガン)第1作業部会副議長(マレーシア)(予定)③2014年12月27日(土)松山基調講演者:Fredolin Tangang(フレドリン・タンガン)第1作業部会副議長(マレーシア)(予定)④2015年1月23日(金)長崎Nirivololona Raholijao(ニリヴォロローナ・ラホリジャオ) 第2作業部会副議長(マダガスカル)(予定)⑤2015年1月29日(木)東京基調講演者:Thomas Stocker(トーマス・ストッカー)第1作業部会共同議長(スイス)(予定)、ChrisField(クリス・フィールド)第2作業部会共同議長(米国)(予定)⑥2015年1月31日(土)福島基調講演者:Sergey Semenov(セルゲイ・セメノフ)第2作業部会副議長(ロシア)(予定)⑦2015年3月2日(月) 札幌基調講演者:Eduardo Calvo Buendia(エドアルド・ブエンディア)第2作業部会副議長(ペルー)(予定)、Jim Skea(ジム・スキー)第3作業部会副議長(英国)(予定)⑧2015年3月13日(金)岐阜基調講演者:Jan-Pascal van Ypersele(ジャン-パスカル・ヴァン イペルセル副議長(ベルギー)(予定)■ IPCC 第36 回総会:第1作業部会報告書 (自然科学的根拠)の公表 IPCC第36回総会が2013年9月26日、スウェーデン・ストックホルムにおいて開催され、総会に先んじて開催された第1作業部会第12回会合(2013年9月23日~26日)において審議されたIPCC第5次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表されるとともに、第1作業部会報告書の本体が受諾された3)。 本報告書は、2007年の第4次評価報告書以来6年ぶりとなるもので、この間に出された新たな研究成果に基づく、地球温暖化に関する自然科学的根拠の最新の知見がとりまとめられている。今後本報告書は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」注4)をはじめとする、地球温暖化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料となるとされている。注4)気候変動枠組条約:(気候変動に関する国際連合枠組条約、United Nations Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)。地球温暖化対策に関する取組を国際的に協調して行っていくため1992年5月に採択され、1994年3月に発効した。同報告書には我が国の多くの研究者の論文が採用されたほか、報告書の原稿執筆や最終取りまとめにおいて我が国は積極的な貢献を行ってきた。(1)IPCC第36回総会及び第1作業部会  第12回会合の概要・ 開催月日:2013年9月23日(月)~26日(木)・ 開催場所:ブルワリー会議場(ストックホルム、スウェーデン )・ 出席者:100ヵ国以上の代表、世界気象機関(WMO)、国連環境計画(UNEP)等の国際機関等から300名以上が出席。 我が国からは、文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省などから計17名が出席。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)注1)の第5次評価報告書については、第1作業部会報告書(自然科学的根拠)が発表された段階で、本シリーズの第141回において紹介した1)。 その時に、最終の第3作業部会の報告書が2014年に公表された後に、3つの作業部会報告書を統合した評価報告書が2014年10月に発表される予定であると紹介したが、その発表が予定通り行われた。 今回はその間の経緯と各報告書の概要を紹介するが、本件の理解を深めて頂くために、過去に解説したIPCCに関するトピックスも再掲する。注1)気候変動に関する政府間パネル:IPPC、Intergovernmental Panel on Climate Change。<表1>前回の目次1)<第141回>気候変動に関する政府間パネル(IPCC)~(1)IPCCとその第5次評価報告書~■設立の目的と組織(1)IPCC設立の背景(2)IPCC設立の目的(3)気候変動枠組条約とIPCCの関係(4)参加者と組織(5)ノーベル平和賞■第5次評価報告書の作成予定(1)第1作業部会報告書(自然科学的根拠)(2)第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)(3)第3作業部会報告書(気候変動の緩和策)(4)IPCC第5次評価報告書の作成スケジュール■IPCC第5次評価報告書 第1作業部会 報告書(自然科学的根拠)の概要(1)観測事実(2)温暖化の要因(3)将来予測