ブックタイトルメカトロニクス10月号2014年

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概要

メカトロニクス10月号2014年

44 MECHATRONICS 2014.10図2-228 照明光学の数式表現手段《第66回》2 設計から始めよう(その64)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(3)直射レンズによる直下型照明方式(つづき) 直射レンズを用いた直下照明方式に関する特許事件25 事例を出願日に沿って5 回にわたり精読してきた。こうした先人の研究の足跡を辿ってゆくうちに、照明光学用レンズの設計方法を私なりに確立できるようになった。 レンズと言えば一般に用いられているカメラ撮影レンズが思いつく。この結像光学用のレンズを設計するには、光学設計ソフトウエアを用いて 初期に概略形状を仮定し、多数の光線束を重ね描いて結像性能( 映像収差) を確認しながら試行錯誤の計算を繰り返して、徐々に形状を修正してゆく手法が採られている。自動設計と称されるが、この煩雑な手間を自動化したに過ぎない。納得する状態に収束するまでの経過は長すぎる。直下型照明用の光学素子もレンズであるからには、頼れる手段は光学設計ソフトウエアであろう、と多くの初心者は直感して利用するが、設計者に光学知識とセンスが無ければ、ソフトウエアは有効に機能しない。 光学ソフトウエアで求められるデータは“照射角度vs 照度分布”が普通である。留意すべきは、照射角度がそのまま照射面を代表しているわけではない。照射面は中心からの距離M を照射角度θの正弦関数tan θに換算して表す(図2-228(a))。照度分布はガウス関数の一種である確率密度関数に沿った釣鐘状曲線(ベルカーブ)になるという。本来は統計数学で標準正規分布の解析に用いられるこの関数を、そのままの形で流用するには大変に煩わしい。私は数式“半値半角Half Width at Half Maximun”を創案して、有効に活用している(図2-228(b))照度が均等になるように多数の発光素子を配列しているバックライトにおいて、多くの事例では、線状に配列した素子の隣接間隙で照度が平均化されれば事足りるとみなしている。本当にそれで満足してよいのだろうか。発光素子が単体の場合を0次元(点状)配列とし、一列に並べた状態を1 次元(線状)配列と呼び、その線列を交差して並べたときを2 次元(面状)配列と称して、照度分布を解析してみよう。 まず今回は0次元(点状)配列について、井上数式を活用しながら光度配向と照度分布について概観する(図2-229)。指数n ≒ 1 に設定すると照度分布は三角形状になる。n≒ 2 では釣鐘状曲線状分布になり、n > 2 で次第に四角形状曲線に変化してくる。そして拡散角θによる半値半幅σ= tan θを大きくすると、照度分布が十分に拡散する。 照度分布E Θを3 乗の余弦数で割ると光度配向I θが算出できる(図2-228(a))。光度配向I θから光束φθ =I θ・sin θ が得られるので、発光素子の光度配向I Θから得られる光束ΦΘ= I Θ・sin Θ に対応させると、レンズの形状が演出する光線束の所要偏角を求められる。 配向曲線をその形状からバットウィング( 蝙蝠の羽)と称している人もいる。配向角度を次第に縮小すると、 θ< 35°で蝙蝠羽は消失する。指数n = 2 の場合 θ< 30°になると、光度配向曲線は指数m つきの余弦関数I θ≒ cos mθ に近似してくる。やがて指数m は拡散角θの2 乗に半比例して急速に大きくなり、余弦曲線は細長い形状に変わる。 0次元(点状)配列は発光素子単体を活用した照明系には小型探照灯や街路灯などに適用例がある。光源の光線束を円形に拡散させて照明するときには円形のレンズでよいが、照明範囲に合わせて縦横比4 倍位の矩形レンズや楕円形レンズも商品化されている。2-139) 発光素子の1 次元((線状)配列や2 次元(面状)配列による照度分布については、次回に続けて解析する。【参考文献】2 - 1 3 9 ) L e d L i n k - O p t i c s / T a i w a n 「S T R E E T  LIGHTING」第4 回LED・有機EL 照明展2014 年で入手したカタログ2 設計からはじめよう(その65)