ブックタイトルメカトロニクス10月号2014年

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概要

メカトロニクス10月号2014年

42 MECHATRONICS 2014.10日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力資源循環に関する法制度と3Rの動向~経済産業省の【資源循環ハンドブック2013】より~【第151回】■同ハンドブックの構成 同ハンドブックは、その全体概要を“はじめに”で紹介した後、以下の5部から構成されている。・はじめに・第Ⅰ部:循環型社会の形成・第Ⅱ部:循環型社会形成のための法制度と3R政策・第Ⅲ部:リデュースの現状・第Ⅳ部:リユース、リサイクルの現状・第Ⅴ部:その他(1)“はじめに” 同ハンドブック発行の趣旨は、“はじめに”で、次のように説明されている。 “大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済活動を続け、大量の廃棄物を排出してきた結果、我が国では、最終処分場のひっ迫や不法投棄など、さまざまな環境問題が生じている。その一方、世界的な経済情勢の変化に伴い、石油や鉄などの資源価格が急騰するなど、将来的な資源・エネルギーの枯渇も懸念される。 こうした環境問題と資源問題を同時に克服し、今後も持続的な経済発展を続けていくためには、廃棄物の発生抑制(リデュース)、製品・部品の再使用(リユース)、再資源の利用(リサイクル)のいわゆる「3R(スリー・アール)」を推進し、循環型社会を構築していくことが重要となる注3)。注3)3Rに派生して、リカバーを追加した4R、あるいはレフューズとリペアを追加した5Rという表現もあり、それらの日本語訳にも若干の差異が以下のように存在する。・リデュース:Reduce。(廃棄物の)発生抑制。・リユース:Reuse。再使用。いったん使用された製 品や部品、容器等を再使用すること。・リサイクル:Recycle。再生利用。再資源化。廃棄物等を原料として再利用すること。・リカバー:Recover。回収。・レフューズ:ごみになるものを受け取らないこと。・リペア:Repair。修理・修繕。 現在、政府においては、この循環型社会の構築に向けて、循環型社会形成推進基本法をはじめとした関係法令(略)や各種ガイドラインの整備・見直しやレアメタルリサイクルの推進を進めているが、何よりも大切なのは、国民一人ひとりが日々の生活の中で「3R」を実践し、さまざまな経済活動や社会の取組に浸透させ、環境に配慮した経済活動がより高く評価される社会を作っていくことである。 経済産業省では、産業構造審議会において取りまとめられた報告書「循環経済ビジョン」注4)における提言を踏まえ、経済システムを大量生産・大量消費・大量廃棄型から循環型経済システムへと転換すべく、従来より「3R」政策を推進しており、この度、循環型社会形成に関する法制度の概要と個別分野の3Rの動向をとりまとめた。”注4)「循環経済ビジョン」:経済産業省は産業構造審議会において、循環型経済システムを構築するための基本的な考え方を検討し、1999年に報告書「循環型経済システムの構築に向けて」(循環経済ビジョン)をとりまとめた。 なお同ハンドブックには、文章を補足する図表は、全体で図99件、表18件が挿入されており、その他にも挿絵・写真が要所に追加されて、理解が容易になるよう工夫が加えられている。(2)“第Ⅰ部:循環型社会の形成、1.循環型社会形成の必要性 本節では、我が国では大量の廃棄物が毎年発生していることから、その削減の努力により循環型社会を形成することが緊急を要する課題であると指摘している。 その数字的な裏付けとして、年度毎に“我が国における物質フロー”が発表されているが、同ハンドブックでは、毎回環境省が作成している前年度のデータ(同年度の「環境白書」掲載のものが紹介されている。 ちなみに、この物質フロー図は「2003年版循環型社会白書」に2000年度のデータがはじめて紹介され、以後、毎年新しい年度のデータが紹介されている。また、「2009年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」からは、2000年度データが、3R活動の出発点となる参考データとして図1のように現状のデータとの比較として併載されている注5)。注5)「循環型社会白書」は、循環型社会基本法(2000年)の規定に基づき2001年版(2001年6月発行)より発表され、2007年版(2007年6月発行)より環境白書と合体して「環境白書・循環型社会白書」、2009年よりさらに生物多様性白書を加えて「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」として発表されている。(3)“第Ⅰ部:循環型社会の形成、2.我が国における廃棄物の現状1) 廃棄物の現状については、廃棄物の種類を一般廃棄物と産業廃棄物とに大別し、それぞれについてごみの総排出量の推移、ごみ処理の現状、リサイクルの現状について解説している。(4)“第Ⅱ部:循環型社会形成のための法制度と3R政策 経済産業省は「資源循環ハンドブック」を初めて2003年3月に2003年版として発表し、以後毎年最新版を公表している(発行元は経済産業省産業技術環境局リサイクル推進課)。 このハンドブックには、副題が“法制度と3Rの動向”と付されている。3Rの問題は、前回紹介した「2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」2)では、第2部第3章で、“循環型社会の構築”として取り上げられており、前回の中心テーマ“グリーン経済”注1)とも密接な関係を有している。注1)“グリーン経済:環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら、人間の質を改善し社会の不平等を解消するための経済のあり方。(同白書に付された用語の“語句説明”より) 今回は、経済産業省が過去11年間発行を続けている「資源循環ハンドブック」最新版(2013年版)を中心に3R問題を紹介し、あわせて関連情報の調査に役立つ資料を紹介する注2)。注2)同ハンドブックは、過去3年間は毎年6月に発表されているが、本年度版(2014年版)はまだ(8月17日現在)発表されていない。<図1>我が国における物質フロー ~2011年度と2000年度との対比~2)<写真1>「資源循環ハンドブック2013」の表紙1)