ブックタイトルメカトロニクス7月号2014年

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概要

メカトロニクス7月号2014年

44 MECHATRONICS 2014.7図2-218 直射型レンズを用いた直下照明方式(次回につづく)2-135)《第63回》2 設計から始めよう(その61)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(3)直射レンズによる直下型照明方式(つづき) 特許文献を調査する手段は、原典のその原典とも言うべき最も信頼のある資料であり、技術研究に不可欠な救世主でもある。最前線の関係者が創案した技術は理論的に、そして正確に記載されている。その技術に新規性が喪失している場合は、明確に無効査定される。後続する者達にとってこれほど信頼のある調査手段は、他にはない。 発表されてそれほど月日が経過していない原典の一部を引用( 子引き) して、得々と記述している書物を見受けることがある。その記述に惹かれたのであろうか。別人はさらに引用( 孫引き) して別方向の論旨へ展開している書物さえある。そしていつしかその本旨が歪曲されて読者の間に流布される。技術を発案した企業からの文献ですら、紹介している内容を精査するうちにその技術特許が既に拒絶査定されている事態もしばしば見かける。企業から発行される資料には宣伝効果を加味しているからだ。真摯な技術者は他書を参考にする場合に、かような事態に遭遇されないように、本質を把握する心がけ注意が必須である。 さて紙面の都合で今回取り上げた件数は少ないが、前回に続いて直射レンズによる照明方式について特許文献を調査してゆこう(図2-218)。 ところで、直射レンズを設計する手順は、まず光源光線の傾角θに付随している光度特性Iθを仮想球面(既出図2-211(b))によって確認し、搬送する光束φθを把握し(同図(c))、他方ではレンズから傾角Θを伴った放出光線により照射面に生じた照度分布EΘを設定する。そしてレンズ内面側に入射する光線の傾角θとレンズ外面側から射出する光線の傾角Θとの両者から、光線の偏角Θ-θに基づいてレンズ面の形状を設計してゆく。この設計手法には10 段階以上におよぶ工程を要する。独り善がりの設計数式を試行し錯誤していたが、偶然にも今回精査していた特許文献にその一部が披露されていたので、絶好の自信を獲得できた。レンズ放出光線が照射面の照度分布を発現する数値理論が特許事件⑫に記述されているのだ(図2-218 ⑫)。 「・・・光がレンズを通過することによって放射角度0°より大きな放射角度位置に配光ピークを示す配光特性を、レンズが持っていることが望ましい。特に被照射体を均一に照射するには、1 /(COS θ)3の配光特性をもつことが望ましい。この理由は以下の通りである。光軸と直交する照射面を仮想した場合、光軸からθだけ方向いた点では、光源から照射点までの距離は軸上点より1 /(COS θ)倍長いから均一に照射するのに(COS θ)2倍の光度が必要であり、またその照射面に光源からの光束がθだけ傾いて入射するから均一に照射するのにCOS θ倍の光度が必要である。従って、これらを全部掛け合わせると、θ傾いた点では軸上の点より(COS θ)3倍だけ暗くなるから、均一に照射するのに(COS θ)3倍の光度が必要となるからである。・・・」 記述の筋道にはやや飛躍があるように感じたが、思考の結論には賛成できた。図解で緻密に表現すれば合理性が納得できよう(図2-220(a))。 この特許文献⑫にはレンズ放出光線束の配光特性図(図2-219(d))が記載されているので、上述の換算数式を用いて照射面の照度分布を算出してみた( 同図(e))。だが照度分布は均等にはならない。この原因は、結像光学系で用いられる非球面曲線を皮相的に利用しようとしたところにある(同図(a)(b)(c))。順算法では、最後の段階(e)でいかなる照度分布が得られるかは保証されない。 照度に所望の分布を確約するには、段階(e)から(d)へさらに(b)へと逆算するのが好ましい。段階(b)に達すると、既成概念に拘泥されない自由な曲線をレンズ面に施すことができる。 まず光源とレンズとの組み合わせを光学系単位として、照度特性を設定する。そして隣接間隔を維持しな