ブックタイトルメカトロニクス6月号2014年

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概要

メカトロニクス6月号2014年

MECHATRONICS 2014.6 47②ある程度取組を進めている企業向け ある程度取組を進めている企業にとって必要な情報は、自らが取り組む上で参考となる取組事例や健康障害等を中心とした役に立つ内容。地方経済産業局が中心となり、自治体等と連携して、出張セミナーや事例集の作成・配布により、ベストプラクティスを共有する。(2)事業者の周辺向け①作業者向け VOCを取り扱うのは、企業で作業する作業者ひとりひとりが普段から出来ること(密閉化等)を行うことを徹底するため、出張セミナーの活用や事例集の作成・配布により情報共有を行う。②発注者向け 低VOC製品や水性塗料などの使用は、発注者の意向に左右されることが明らかとなったことから、発注者に低VOC製品等の採用の意義を理解してもらうことで、低VOC製品等の採用を拡大していく。③消費者等向け 消費者団体等と連携し、これまでの産業界の取組を知ってもらい、産業界の取組を適切に評価してもらうとともに、製品購入等の際に低VOC製品等を選択してもらうため、セミナーの開催やリーフレットの作成・配布を行う。2.社会全体のVOC排出抑制・管理に関する  認知向上に資する取組①サプライチェーンを活用した業界団体内での説明会 下請け企業等へVOC排出抑制・管理の取組を拡大していくため、例えば、業界団体等に協力を依頼し、会員企業等向けの説明会を開催する。②低VOC製品や水性塗料などの採用拡大に向けた検討 発注者に対し、低VOC製品等の採用の意義を理解してもらうためのセミナーを開催する。調達条件(グリーン購入法等)の見直しも含めた低VOC製品等の採用拡大に向けた検討を行う。③消費者向けの情報提供、マークの付与 製品等の購入にあたって、低VOC製品等を選択してもらうためには、低VOC製品等の選択の意義を理解してもらうとともに、製品購入等の際に参考となるような仕組み(マークの付与等)を検討する。④取組が評価される仕組み VOC排出抑制・管理に取り組んでいる企業の努力が報われるためにも、取組が評価される仕組みが必要。例えば、表彰制度など。(以下略)(2014.4.16記)<参考資料>1)小田切 力:「ものづくりと地球環境(第142回)VOC 排出抑制の自主的取組の成果と課題(1)」メカトロニクス、Vol.39,No.1,p46-47(2014年1月号)2)小田切 力:「ものづくりと地球環境(第143回)VOC 排出抑制の自主的取組の成果と課題(2)」メカトロニクス、Vol.39,No.2,p46-47(2014年2月号)3)経済産業省:「産業構造審議会 産業技術環境分科会 産業環境対策小委員会(第2回)配布資料(2014年4月11日)(3a)「国内におけるVOCの現状と抑制の取組について」(3b)「VOC排出抑制に関する2014 年度以降の取組について(案)」(3c)「VOC排出抑制に係る自主的取組のフォローアップについて:2012年度実績(概要版)(3d)「自主的取組促進に資するリーフレット(経済産業省産業技術環境局環境指導室、2013年度作成)4)環境省:光化学オキシダント調査検討会 報告書(2011年度)」5)環境省:「2012年度VOC排出インベントリ検討会報告書」6)環境省:「2012年光化学オキシダントデータ解析報告書」他地域と比較してオキシダント濃度上昇が顕著であることなどから、越境汚染の影響が現れていることが示唆6)。■VOC排出抑制に係る自主的取組の フォローアップ(2012年度実績) 同小委員会では、VOC排出抑制に係る自主的取組のフォローアップについて2012年度の実績のまとめが紹介された。このフォローアップの実績は、各団体が傘下の企業から提出されたデータをまとめて経済産業省(産業技術環境局環境指導室)に提出する「VOC自主的取組(状況報告)」を環境指導室がまとめたもので、2005年度より実施され、今回は8回目となる。その概要を以下に紹介する3b)。(1)参加団体等 参加団体は、41の業界団体で、昨年度と同数であった。参加企業数7,921社で、ピーク時の10.217 社(2006年度)、目標年度(2010年度)の9,365社、前年度(2011年度)の8,257社と比較して頭打ちとなっている。(2)自主的取組における全国のVOC排出量 自主的取組における全国の2012年度VOC排出量は20万トン弱となり、2000年度排出量からの削減量は31万トンで、削減率は約61.2%と、2011年度の削減率(59.5%)をさらに上回った(図3)。(3)業種別のVOC排出量 図4を参照。(4)地域別のVOC排出量  (略)(5)物質別のVOC排出量 図5を参照。(6)排出抑制に係る対策、その効果、コスト等各団体が提出した報告書で記載した“排出抑制に係る対策、その効果、コスト等”の事例は、①作業方法の改善等、②転換・削減、③設備導入・改良等に分類されているが、その主要なものを以下に紹介する。・アルカリ脱脂への切り替え・こまめなヒーター・オフと蓋の励行・VOC除去装置の設置・エタノールの高温酸化白金触媒方式の採用・めっき品質の向上による補修材の使用量削減・塗布率の向上(補修材をスプレー缶から刷け塗りタイプに変更)・洗浄用溶剤の一部回収・回収・除去装置の設置・作業方法の改善による使用量削減・固定屋根式タンクの内部浮き屋根化・塗装設備、塗装条件の見直し・VOCを使用しない粉体塗装の採用・ロボット塗装による塗着効率向上・溶剤型接着剤を水溶性、無溶剤型、高固形分型接着剤へ置き換え・燃焼式処理の採用・塗装工程(下塗り、中塗り、上塗り)の工程削減・不良率を下げて再塗装を削減・溶剤使用時の工程、保管時の蓋、密閉化・溶剤・洗浄剤の切り替え(7)自己評価 排出抑制に貢献する対策等について、自己評価を記入する欄がある。その記入内容のいくつかを以下に紹介する。①電機・電子4団体・業界の自主的取組により、着実な削減対策が推進されている。・取扱量が減少し、排出削減も推進され、排出量の削減率は、2010年度実績比(55.9%)から3.5ポイント改善された。・成果は限定的であるが、2012年度さらに費用投入のもと、回収処理設備の設置を図った。②日本自動車部品工業会 2012 年度は、自動車部品の生産額は前年度比3.8%増となった。目標である、2010年度実績におけるVOC排出量の非悪化は達成された。塗装工程、洗浄工程におけるVOC排出削減対策は継続的に実施しており、VOC排出量の大幅削減に貢献したと考えられる。■VOC排出抑制に関する2014年度以降の取組 VOC排出抑制に関する2014年度以降の取組については、当面は、固定発生源からの排出抑制・管理のため、自主的取組参加企業拡充等につながる取組を経済産業省と地方経済産業局が行うとして、以下のような経済産業省の案が提示され、討議がおこなわれた3c)。1.VOC排出抑制対策普及セミナーや  出張セミナーに実施、リーフレット等の作成・配布 昨年度に引き続き普及セミナーや出張セミナーを開催する。その際、ターゲットと目的を明確化するとともに、固定発生源の排出量の多い自治体を中心に開催するなど、開催エリアの重点化を検討する。想定されるターゲットと目的は以下のとおり。(1)事業者向け①自主的取組の状況報告の枠組みに未参加企業等向け 自主的取組の認知度は4割。自主的取組の状況報告の枠組みに未参加の企業等に対し、取組を知ってもらうためのセミナーの開催やリーフレットの作成・配布により、自主的取組に参加する企業のすそ野拡大に努める。昨年度も自主的取組の状況報告の枠組みに未参加企業等を念頭にセミナーを開催したものの、セミナーに参加したのは、ある程度、取組を進めている企業が大半であったことから、関心が薄い層の巻き込みが課題。そこで、関心が薄い層、特に中小企業者の参加を増やすため、自治体、中小企業団体等との連携<図4>業種別のVOC排出量の推移3c) を図る。