ブックタイトルメカトロニクス1月号2014年

ページ
11/56

このページは メカトロニクス1月号2014年 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

メカトロニクス1月号2014年

MECHATRONICS 2014.1 11所 在 地:U R L:事業内容:東京都稲城市http://www.morita-tech.co.jpEMC試験装置、RFインタフェース、電磁波シールドボックス、電子機器、各種試験装置の設計/製造/販売、など。森田テック株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ズも出るのでそれを検知するセンサ、そして最終的に動かすためのソフトウエアや動かした後の解析を行うビュアソフトウエアまですべて自社開発を行っています。当社は後発になりますが、競合他社と比べてもここまで幅広く自社で対応する企業は、私の知る限り他に類を見ないと思います。 これは、従来カスタムで一品ものをつくり続ける中でノウハウを積み重ねた成果であり、その後そのノウハウを活かしたオリジナル製品を開発し、またそのオリジナル製品についてもユーザーニーズにより、カスタムに対応できるというところが当社の強みになっており、ユーザーにも喜ばれる要因になっています。 私自身、大きく分類すると電気関係の出身なので、機構設計に関しては未知の領域でした。しかし、大手電子計測器メーカーとの取り引きがきっかけで、そういった分野にも手探りではありましたが事業を展開していき、それからも枝分かれのような感じで事業も拡大していきました。もし私が、何かに特化した技術を身につけていたら、ここまで幅広く行うことは出来なかったように思います。 高性能EMCノイズスキャナをはじめと する御社の主力製品についてお聞かせ 下さい森田:まず高性能EMCノイズスキャナ『WM7000シリーズ』は、同じく当社が開発した近磁界プローブを採用することで、全方向の磁束測定、測定周波数帯域:150kHz ~3GHz / 150kHz ~8GHz(CISPR22対応)、発生位置の特定が行える製品です。プリント基板には画像設定モードで簡単測定、微小部品には治具設定モードで精密測定、ケーブルや定型外の物はポイント設定モードなどを用意し、多彩な測定モードをもつことで測定対象物を選びません。測定範囲は、ハイビジョンカメラで撮影した画像上で、マウスを使って簡単に設定できます。レーザ式距離センサにより非接触で被測定物の形状を測定し、異なる高さの部品面に対して等距離の測定を行うことができ、より高感度で正確なノイズ測定が可能になります。 ラインアップとしては、A4 サイズまで測定できる『WM7400』と、A3 サイズまで測定できる『WM7300』(写真3)の2タイプを用意しています。『WM7300』は、測定台の奥側に遮蔽物のない“ 吹き抜け構造”を採用しており、ケーブルなどの長尺ものの対象物でも余裕で測定することができます。 また、『WM7000シリーズ』に使用する近磁界プローブは、コイルの形状、サイズ、V / Hなど、バリエーション豊富に取り揃えています(写真4)。測定内容によって使い分けすることにより、効率よく正確な測定を行うことが可能です。 そして次に、3DでEMCノイズを可視化する3 次元空間電磁界可視化システム『WM9500』を紹介します(写真5)。この製品は、手持ち式の座標センサにより空間内のXYZ位置を検出し、被測定物から放射されるノイズを3 次元で測定することを目的としたシステムです(写真6)。測定用撮像カメラと位置検出カメラを一体化し、撮影した画像をPCで見ながら測定エリアを決定できます。主な特徴としては、①ステレオカメラを採用し3次元でノイズ源を発見する画期的な手法、②手持ち操作による測定で狭所も余裕の測定を実現する優れた操作性、③既存の磁界センサ(アンテナ)やスペアナを流用できるなど組み合わせが自由自在、といったことが挙げられます。 それから最近では、医療分野のがん治療に使用するボーラス3次元形状自動測定装置『WM8800』を開発しています(写真7)。重粒子線や陽子線といった放射線を使用したがん治療では、がんの形状に合わせてポリエチレン製の樹脂を切削加工し、放射線の照射する深さを調整するボーラスという治療具を使用します。今回開発したこの製品は、レーザ変位計を採用することにより、非接触でボーラスの数千点の測定個所をすべて測定することができる装置です。従来は、接触式の装置でボーラスの数十点の測定個所を選択して測定していたため、ここまで正確な測定に対応することができませんでした。しかし、(独)放射線医学総合研究所の助言から開発に着手し、当社のレーザ変位計の技術を応用することで実現することができました。 このように最近では、高周波とはまったく関係のない分野にも事業の幅を広げている状況です。 今後の展開についてお聞かせ下さい森田:まずは、自動車分野の事業に関して強化を図っていきます。最近では、ハイブリッド車や電気自動車の普及が急速に進んでいますが、それらの車に搭載されているインバータや車の施錠/開錠を行うキーレスエントリーなど、無線を使用するものには高周波に関する問題が色々と出ているようです。 当社としては、先程紹介した製品を軸に問題解決のお手伝いを進めて行きたいと考えています。特に3 次元空間電磁界可視化システム『WM9500』については、すでに数社の自動車関連メーカーから引合いを頂いており、実際に使用しているユーザーからは色々と要望を頂きながら、カスタマイズを行っています。このように、色々な要望を頂けることが当社にとってプラスになり、技術力の向上にも繋がると考えています。 それからもう一つの取り組みとして、高精度/高感度な次世代製品の開発などを進めていきます。これは、川崎市が実施している「知的財産戦略推進プログラム・知的交流会」に出席したのがきっかけで、市のコーディネータの仲介で日本電気(株)(以下、NEC)の開放特許を使用できるライセンス契約を結んだことにより、自社製品の高度化を目指していく考えです。すでに、当社のプローブにNECの開放特許を導入し、従来のプローブの先端は電線を巻いたコイル状になっていますが、より電磁ノイズに与える影響が低減できる磁気光学結晶を使用した製品の開発を進めています。この磁気光学結晶を使用したプローブを開発することで、低い周波数の測定に特化したシステムの構築を目指していきたいと考えています。 ただ、このような取り組みを当社だけで行っていくのは少し無理があるので、産学連携などにより協力して頂けるところ探しながら今後も進めていきます。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 自社開発の近磁界プローブ写真5 3次元空間電磁界可視化システム『WM9500』写真3 高性能EMCノイズスキャナ『WM7300』写真7 ボーラス3次元形状自動測定装置『WM8800』写真6 『WM9500』のビューア画面(任意の断面でノイズ分布が可視化できる)