ブックタイトルメカトロニクス12月号2013年

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概要

メカトロニクス12月号2013年

MECHATRONICS 2013.12 51し続けている。また、北極の海氷面積及び北半球の春季の積雪面積は減少し続けている(高い確信度)。・19世紀中頃以降の海面水位の上昇率は、それ以前の2千年間の平均的な上昇率より大きかった(高い確信度)。(新見解)(2)温暖化の要因・人間活動が20世紀半ば以降に観測された温暖化の主な要因であった可能性がきわめて高い。・1750年以降の二酸化炭素の大気中濃度の増加は、地球のエネルギー収支の不均衡に最も大きく寄与している。太陽放射は20 世紀にわたるエネルギー収支の不均衡にほとんど寄与していない。・エーロゾルの排出や、エーロゾルと雲との相互作用による放射強制力は、地球のエネルギー収支の変化の見積もりやその解釈において、最も大きな不確実性をもたらしている。(3)将来予測・1986 ~ 2005年を基準とした、2016 ~ 2035年の世界平均地上気温の変化は、0.3~ 0.7℃の間である可能性が高い(確信度は中程度)。・1986 ~ 2005年を基準とした、2081 ~ 2100年における世界平均地上気温の変化は、RCP2.6 シナリオでは0.3 ~ 1.7℃、RCP4.5 シナリオでは1.1 ~ 2.6℃、RCP6.0 シナリオでは1.4 ~ 3.1℃、RCP8.5シナリオでは2.6~4.8℃の範囲に入る可能性が高い。・1986 ~ 2005年を基準とした、2081 ~ 2100年における世界平均海面水位の上昇は、RCP2.6 シナリオでは0.26 ~ 0.55m、RCP4.5シナリオでは0.32 ~ 0.63m、RCP6.0 シナリオでは0.33 ~0.63m、RCP8.5シナリオでは0.45 ~ 0.82m の範囲に入る可能性が高い(中程度の確信値)。・世界平均地上気温の上昇に伴って、ほとんどの陸上で極端な高温の頻度が増加することはほぼ確実である。中緯度の大陸のほとんどと湿潤な熱帯域において、今世紀末までに極端な降水がより強く、頻繁となる可能性が非常に高い。・二酸化炭素の累積排出量と世界平均地上気温の上昇量は、ほぼ比例関係にある。(新見解)・気候変動は陸地と海洋の炭素吸収を一部相殺してしまうことの確信度は高い。この結果、排出された二酸化炭素は、大気中により多く残ることになる。・海洋へのさらなる炭素蓄積の結果、海洋酸性化が進行するであろう。(20013.10.20記)<参考資料>1)経済産業省:「(報道発表)IPCC 第5 次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)が発表されました」(2013.9.27)2)IPCC のホームページ:http://www.ipcc.ch /い「雲とエアロゾル(第7 章)」・今後数十年間を対象とする「近未来気候変動:予測と予測可能性(第11 章)」・対策の必要性から正しい自然科学的知見に対する要請の大きい「海面水位の変化(第13 章)」・「気候の現象およびその将来の地域規模気候変動との関連性(第14 章)」(2)第2 作業部会報告書(影響・適応・脆弱性) 全地球的/分野別の部(20 の章で構成)と、地域別の部(10 の章で構成)の2 分冊となり、地域の影響についてより詳細に評価。 第4次評価報告書でその重要性が言及された、気候変動への適応に関する章が、「適応の必要性およびオプション(第14 章)」、「適応計画および実施(第15章)」、「適応の機会、制約および限界(第16 章)」、「適応の経済的側面(第17 章)」の計4章に拡大され(第4 次評価報告書では計2 章)、実際の適応策に役立つ自然科学的知見の提供に重点が置かれる。 人間の健康、福祉、安全に関して、「人間の健康(第11 章)」、「人間の安全(第12 章)」、「生活および貧困(第13 章)」の計3 章に拡大され(第4 次評価報告書では計1 章)、中心的な課題の一つとして取り上げられる。(3)第3 作業部会報告書(気候変動の緩和策) 気候変動を緩和する対策について、各セクターの温室効果ガス排出削減の技術的なポテンシャル評価に基づくボトムアップアプローチと、シナリオからの分析に基づくトップダウンアプローチを元に、統合的に、より確かな気候変動緩和の方向性を明らかにする(第III 部、第5章~第12章)。国際協力、地域協力、国内方策など各レベルの方策および資金供与に関する評価を行う(第IV 部、第13 章~ 16 章)。ここでは、国際的な取組のための枠組み、緩和政策の実施手法等に対する情報提供の観点から、自然科学的見地からの研究について評価を行う。 その他、気候変動への緩和・適応・持続可能な開発、コストと経済評価、海洋酸性化を含む炭素循環等については、分野横断的な事項として、作業部会間で横断的な専門家会合を開催する等、第5次評価報告書で包括的に評価されることとなった。また、UNFCCC第2 条に定められる究極目標に関連する科学的知見については、特に重要な分野横断的課題として、今後検討されることとなった。(3)IPCC第5 次評価報告書の作成スケジュール 第1作業部会報告書が2013 年9月に先行して完成、公表され、その成果を踏まえて、2014 年に第2作業部会、第3作業部会各報告書が完成、公表される予定。統合報告書は各作業部会報告書の成果を踏まえて、2014 年9 月に公表される予定。①第1 作業部会報告書(自然科学的根拠) IPCC 第36 回総会および第1作業部会第12回会合(2013 年9 月23 ~ 26 日、ストックホルム、スウェーデン)において、IPCC 第5次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表されるとともに、第1作業部会報告書の本体が受諾された。 第1作業部会報告書の本体は、編集作業を経て2014 年1月に公表される予定である。②第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)  IPCC 第38 回総会(2014 年3 月、日本、横浜市)でSPM承認・公表、および本体受諾の予定。③第3作業部会報告書(気候変動の緩和策)IPCC 第39 回総会(2014 年4 月、ドイツ、ベルリン(予定))でSPM 承認・公表、および本体受諾の予定。④統合報告書 IPCC 第40 回総会(2014 年10 月、デンマーク、コペンハーゲン)でSPM承認・公表、および本体受諾の予定。■ IPCC第5 次評価報告書第1 作業部  会報告書(自然科学的根拠)の概要 経済産業省および関係省庁が発表したIPCC 第5次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の「政策決定者向け要約(SPM)の概要」の一部を以下に紹介する。同発表には、“速報版であり、今後公式資料により修正の可能性がある”と注記されている。(1) 観測事実・気候システムの温暖化については疑う余地がない。1880 年~ 2012年において、世界平均地上気温注10)は0.85〔0.65 ~ 1.06〕℃注11)上昇しており、最近30年の各10年間の世界平均地上気温は、1850年以降のどの10 年間よりも高温である(図2)。注10)陸域の気温と海面水温を併せて解析した気温。海面水温の変化は、広域的・長期的には海面の直上の気温の変化と同じであるとみなせることが確かめられている。注11)角括弧の中の数次は最良の評価を挟んだ90%の信頼区間を示す。・世界平均地上気温は数十年にわたって明確な温暖化を示しているが、その中には、概ね十年程度の周期での変動や年々の変動もかなり含まれている。過去15 年(1998 ~ 2012 年)の世界平均地上気温の上昇率は1951 ~ 2012 年の上昇率より小さい。・1971 ~ 2010年において、海洋の上部(0 ~700m)で水温が上昇していることはほぼ確実である。・1992 ~ 2005年において、3000 m以深の海洋深層で水温が上昇している可能性が高い。(新見解)・海洋の温暖化は、気候システムに蓄えられたエネルギーの変化の大部分を占め、1971 ~ 2010 年の期間ではその90 %以上を占めている(高い確信度)。・過去20 年にわたり、グリーンランド及び南極の氷床の質量は減少しており、氷河はほぼ世界中で縮小<図1>IPCCの組織1) <図2>世界の地上気温の経年変化1)