ブックタイトルメカトロニクス10月号2013年

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概要

メカトロニクス10月号2013年

MECHATRONICS 2013.10 493.外歯歯車対(つづき)3.4 心間距離 外歯歯車対において、双方の歯車の歯数と転位係数が既知なとき、背??をゼロにする心間距離aは次式で与えられる。                 (3.4)ここで、invは、式(1.6)で述べたインボリュート関数である。 一例として、先に図3.1に示した外歯歯車対のデータを下記に示す。        (3.5)このとき、                     (3.6)となる。 本設計法では、背??のない心間距離を最適のものと考え、これを求めている。何らかの理由により背??が必要な場合には、心間距離を(僅かに)増加させることによって対処するものとする。 歯の法線方向、すなわち、作用線の方向に背?? cnを与える時の心間距離は下式で与えられる。                     (3.7)上式でcn=0とおけば、式(3.4)を得る。3.5 噛合い率 インボリュート歯車では、同時に噛合っている歯の数は1 枚ないし2 枚であることが多いが、常時平均して何枚の歯が噛合っているかを求め、これを噛合い率といっている。図3.1(a)において、両歯車の歯先円が作用線を切る長さを考える。噛合い点は作用線上を移動するが、歯先円を超えると歯がなくなるので、作用線を両歯車の歯先円(歯先が尖りを起こす場合には尖りによって小さくなった歯先円)によって切り取られた長さが有効長さとなり、この長さをインボリュートの法線ピッチで割った値が噛合い率となる。式で示すと、                     (3.8)となる。ここで、ra1 およびrb1は歯車z1の歯先円半径と基礎円半径であり、ra2 およびrb2は歯車z2 の歯先円半径と基礎円半径である。αb, αcはそれぞれ噛合い圧力角および工具圧力角である。mはモジュールである。 噛合い率が1を切るような場合には、円滑な動力伝達が行われなくなるので、対策を考えなければならない。4.内歯歯車4.1 内歯歯車の歯形 内歯歯車はラック形工具によって創成することはできない。内歯歯車の創成はピニオン形工具によって行われるのが一般的である。ピニオン(pinion、小歯車)とは、歯数の少ない歯車のことであり、これに対して歯数の多い方はギア(gear, 歯車)という。 内歯歯車は歯数の少ない外歯歯車(ピニオン)とは噛み合わせることができ、同じようにピニオン形状の断面をもった工具(ピニオンカッター、またはピニオンホブ)であれば、これによって創成加工を行なうことができる。 内歯歯車の歯形は、その内歯歯車と同一の輪郭曲線をもち、虚部と実部を逆にした外歯歯車の歯形として考えることができる。以下、このような相当外歯歯車を考え、「歯先」、「歯元」等の表現、転位係数の正負などは、相当外歯歯車のそれをいうこととする。そのことによって、これまで外歯歯車に対して議論してきた切下げ等の条件を、内歯歯車に対してもそのまま修正なしで適用することができる。 基準ラックの形状についても、相当外歯歯車を加工するための工具形状として考察する。これは20°ラック歯形として、外歯の場合とほとんど同じであるが、頂??部の配置だけが違っている。外歯の場合、頂??部分は歯元側(小半径側)に設けられるが、内歯では、歯先側(大半径側)に設けられる。 図4.1には、こうして構成される内歯歯車の歯形の一例を示した。 図において、一番外側の円は、内歯歯車の部品をリング状と想定したときの、ほぼ最小と考えられるリングの外径を示している。この外半径は歯先円半径+2m(mはモジュール)に取っている。これは単なる目安であるが、これによって装置の大きさの見当を付けることができる。図には基礎円、および基礎円に接する作用線も示している。インボリュート歯車の設計牧野オートメーション研究所長 山梨大学名誉教授 牧野 洋第6回図4.1 仮想ラック工具による内歯歯車歯形輪郭の決定 (z2=20、x2=0.2)