メカトロニクス2月2013年

メカトロニクス2月2013年 page 52/60

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52 MECHATRONICS 2013.2《第46回》2 設計から始めよう(その44)表2 -26 単開口回折から多重開口回折への展開5.側射型照明装置(2)充実型側方照明(エッジライト)方式(その27)⑯散乱・拡散シートⅳ 回折シート(....

52 MECHATRONICS 2013.2《第46回》2 設計から始めよう(その44)表2 -26 単開口回折から多重開口回折への展開5.側射型照明装置(2)充実型側方照明(エッジライト)方式(その27)⑯散乱・拡散シートⅳ 回折シート(その5) 微細な間隙を透過した光線が織り成す挙動を概観してみよう。単一な開口の場合から二重開口の場合、そして開口数を次第に増加してゆき(表2-26)、遂には回折格子の構造(表2-28)に至る考察の道筋をたどる。 スリットを通過した光線は波面を次々に継続させながら進行する(Huygensの原理)ので、真直ぐ突き進む光線(0次回折光)の他に、やや屈曲した方向へも偏角する光線(±1次回折光など)が順次に並んで現れる。回折した光線は隣同士が干渉し合い、明暗の縞模様を描いてゆく。回折次数mが整数である回折光同士が干渉する位置では明るい縞模様が現れ、回折次数が整数+0.5の位置では暗くなる。 多数の開口がN個並んでいる場合は,最初に第一の開口からの回折光は少し曲がってN個目の回折光と干渉する。次に第一の開口から少し曲がりを加えて射出された第2の回折光はN-1番目の回折光と干渉する。そのまた次にはN‐2番目の回折光と干渉する。この第一の開口からの回折光は順次に干渉を繰り返しながら最後に隣の第2番目の回折光と干渉する。このとき第N番目の回折光はN次回折光を射出し、第N-1番目の回折光はN-1次回折光を射出しているので、N個の開口からの回折光は全て揃っていっせいに同一方向へ干渉している。こうして回折を繰り返している干渉波は、N-1次までは弱い干渉で、N次回折になった途端に強く現れる。観測面で干渉縞を見ると、強い縞模様が飛び飛びに現れている(表2-28)。 照射光がいろいろの波長が混じり合った多色の光線束では、短波長の光線より長波長の光線が大きく回折される。観測面での干渉縞は紫青色から黄赤色へと変化しながら外方へ広がっている。レンズやプリズムなどでは黄赤色の光よりも紫青色の光が大きく曲げる。つまり回折光学素子は長波長光を強く曲げ、屈折光学素子では短波長光を大きく屈曲させる。回折と屈折とは作用が正反対の現象であり、それぞれの短所を相殺して両者を複合した技術が回折光学素子である。 照射角(入射角)αや回折角(射出角)βは開口面に対して90°以上にはありえないから、開口間隔dは所望の回折次数mに対して 2d>±mλ に限定される(表2-27)。このように照射角(入射角)αに対する回折角(射出角)βへの偏角は、透過光線束の波長λに依存している(表2-27)。回折光学は波長を因子として設計される。屈折光学では光学素子形状や厚みなどの諸元が屈折率を基準に設計されるのとは対照的である。 微細な間隙を通過した光線は回折して微妙な干渉縞interference fringesを描く。その回折素子を連続して敷設した部材が回折格子diffraction gratingであり(表2-29)、隣接した開口から射出された回折光が互いに干渉しあいながら縞模様を描くわけだ。開口の敷設態様により表面形成型surface reliefと体積形成型volume reliefとが在る。その素子に透過transmission又は反射reflectionした光線がどのように変調されるかにより振幅変調型amplitude(表2-28)と位相変調型phaseとに区別され、それぞれに正弦波状sinusoidal patternと方形波状rectangular patternの変調形態とがある。 詳細な知識は専門書から得るとして、只今はこの分野の概容を把握するにとどめる。光学計算で、しばしば活用されるフーリエ変換について参考に記しておこう(表2-30、図2-186)。【参考文献】2-100)機械工学便覧「第2編/数学」日本機械学会1951縄田滋則・辻内順平「物理光学(光学技術ハンドブック)」朝倉書店1994応用物理学会「回折光学素子入門」オプトロにクス社1997鶴田匡夫「プリズムと回折格子」「回折格子の効率」OplusE2001Erwin Loewen「Diffraction Grating Handbook」Richardson Grating Lab 2003河合滋「光学設計のための基礎知識」オプトロニクス2006保立和夫「光情報工学」東京大学電子工学科2007安藤幸司「光と光の記録―光編」産業開発機構2007牛山善太「フレネル回折とフラウンホーファー回折(光学設計ノーツ)」オプティカルソリューションズ20102 設計からはじめよう(その44)