メカトロニクス1月号2013年

メカトロニクス1月号2013年 page 51/60

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概要:
MECHATRONICS 2013.1 51調和が図られ、かつ安心して生活を営むことのできる社会を将来世代へ遺していくためにも、「環境と経済、社会の統合的な向上」が図られた持続可能な社会を構築することが、重要な政策課題とな....

MECHATRONICS 2013.1 51調和が図られ、かつ安心して生活を営むことのできる社会を将来世代へ遺していくためにも、「環境と経済、社会の統合的な向上」が図られた持続可能な社会を構築することが、重要な政策課題となっています。 こうした中で、事業者による環境配慮等の取組は、持続可能な社会の構築へ向けた大きな牽引力として、その役割がますます重要性を増しています。環境負荷の抜本的な低減には、事業者の自主的な取組による新技術の開発や環境配慮型製品・サービスの普及が不可欠です。また、その取組範囲の拡大は、事業活動に伴う直接的な環境負荷の低減だけでなく、グリーン調達の推進や環境配慮製品・サービスの提供を通じて、社会全体における環境負荷の低減にも寄与しています。 そして、事業者による環境配慮等の取組範囲が拡大するに連れて、その内容は戦略的な色彩を帯びるようになるのが一般的な傾向です。事業活動に伴うリスクやビジネス機会を的確に認識し、経営資源を重要な環境課題に投入し、戦略的に対処することで、事業者はビジネス上の成功を得ることができます。 このような事業者の環境配慮への積極的な取組は、結果として、グリーン・イノベーションや経済・社会のグリーン化を加速させ、持続可能な発展を推進する経済・社会システムへの移行をさらに促進させることにつながっていきます。 しかし、こうした環境と経済が好循環する社会基盤を円滑に機能させるためには、事業者の環境情報開示が不可欠な要因となります。なぜなら、環境配慮に積極的な事業者に成功をもたらすためには、より多くの経済主体が事業者の環境配慮行動を合理的に評価して、事業者に経済的な便益をもたらすような社会的仕組みを構築することが必要ですが、その仕組みを支える血脈として、環境情報がきわめて重大な役割を担うからです。 ただし、開示された環境情報がその役割を果たすためには、利用者が抱く情報ニーズに合致し、品質が適切に担保され、また比較が可能であるなど、環境報告の有用性が確保されたものであることが前提となります。 本ガイドラインは、事業者が環境を利用するものとしての社会に対する説明責任を果たし、かつ環境報告が有用となるための指針です。これが、環境報告を実施する事業者の有効な道標となり、また、環境報告の利用者が事業者の環境配慮行動を正しく理解するための手引きとして役立つことによって、環境と経済が好循環する持続可能な社会の実現に貢献できることを期待しています。”■2012年版改訂の背景 今回の改訂に当たっての注目した背景や視点は、以下の通りであると説明されている。① 環境問題の深刻化は、中長期的に新たな国際的な枠組みや規制の創設、社会からの監視の強化、事業者の責任範囲の拡大などをもたらす可能性あり、バリューチェーン注3)の視点やステークホルダーへの対応がますます重要となる。注3)バリューチェーン(value chain):企業の事業活動に関連する付加価値の創出から費消に至る全ての過程における一連の経済主体もしくは経済行動。原料採掘、調達、生産、販売、輸送、使用、廃棄等、事業活動に関連する一連の行為と主体が含まれる。② 昨今の経営環境において、気候変動や水不足などの問題、資源の安定確保など、経営に財務的影響を与える環境課題が、世界規模で存在感を増している。③ 「環境」と事業との影響や関連が深まり、経営における環境的側面の事業戦略性が増した結果、投資家や金融機関からの経済・環境・社会のすべての側面を関連付けた体系的な情報開示への要請が増しつつある。④ 投資家等の視点は、環境と企業の機会やリスクとの関連、重要な課題や事業戦略、現状評価と今後の方向性、重要な財務的影響など、環境が経営に与える影響とその対応力を重要な情報を下に分析することにある。⑤ 環境と金融に関する専門委員会がまとめた報告書3において、「主要な指標等の一覧」のテンプレートの見直しとその普及促進について、指摘されている。⑥ 開示される環境情報は、企業の戦略的な対応の違いに応じて、企業固有の状況を適切に反映すると共に、一定の規範に基づき、環境配慮経営の実態を忠実に表現しつつ、分かり易くかつ比較が促進される形式で開示されることが必要である。⑦ 多くの企業においても、環境と経済及び社会的側面の情報開示が拡充されつつある。また、社会的側面では、ISO 26000が国際的に普及しつつある。⑧ グローバル・リポーティング・イニシアチブ注4)などの国際的な環境情報開示の議論と整合した形で、環境報告が実施される必要がある。注4)グローバル・リポーティング・イニシアチブ(GRI:GlobalReporting Initiative):国際的なサステナビリティ・レポーティングのガイドライン作りを使命とするオランダに本部を置くNGOで国連環境計画(UNEP)の公認協力機関。⑨ 新興国などにおいて、環境情報に関する関連法令の制定やガイドラインの策定等によって環境報告制度の整備が進められている。また、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP:Carbon disclosureProject)などの団体等も、環境情報の開示の新たな動向を作り出している。⑩ 地域社会への情報開示とコミュニケーションの促進は、公害や災害・事故等の影響を事前に示し、地域社会の理解を得る上でも重要であり、今後の環境政策においても不可欠な要素となる。⑪ 生物多様性に関しては、第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)における愛知目標、名古屋議定書の採択や生物多様性民間参画ガイドラインの策定などが実施された。■今回の改訂の基本方針 以上のような背景等及び我が国の環境報告の現状・課題から、今回の改訂に当たっての基本方針は以下のように定められた。① 環境報告を既に実施している事業者にとって、更なる環境報告の質の向上につながるようなガイドラインとする。② 環境報告を未実施の事業者にとって、新たな環境報告の実施につながるようなガイドラインとする。③ 今後の環境配慮経営の方向性を踏まえた上で、環境配慮経営の全体像が、利用者に伝わることを目的としたガイドラインとする。④ 国際的な動向を踏まえた上で、将来の環境報告の方向性を見据えたガイドラインとする。⑤ 「環境的側面・経済的側面・社会的側面の統合的な向上」を目指した環境政策との整合性が取れたガイドラインとする。■環境報告と環境配慮経営 環境配慮経営のありかたについて、環境報告との関係を本ガイドラインの第1章で取り上げ、以下のように説明している1)。 “環境配慮経営は、事業活動のうち環境の視点から抽出される活動の集合体であるとも言える。つまり、実際に認識・測定された環境負荷(自然資源の利用を含む)に対して、事実上の課題となり得る影響を把握し、重要な課題を特定して、その課題に経営活動の中で目標・指標等を設定し、計画的にPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルにて対応していく、この一連の行為がまさに環境配慮経営であると考えられる(図1)。 環境情報は事業者の事業活動に関わる情報から、環境の視点により抽出された情報である。この環境情報には、環境配慮経営の状況を説明するために必要な情報、すなわち事業活動における環境的側面の影響や削減・管理などの活動、及び関連する経済・社会的側面の影響や活動に関する情報が含まれる。 事業者は、本ガイドラインに則り、これらの環境情報に基づく環境報告を実施することにより、「自らの事業活動に伴う環境負荷及び環境配慮等の取組状況」を説明することによって、環境配慮経営における一連の行為の状況を利用者に伝えることができるようになる。”(2012.10.21記)<参考資料>1)環境省:「環境報告ガイドライン(2012年版)」 環境省総合環境政策局環境経済課、A4-159p(2012.4)http://www.env.go.jp/plicy/j-hiroba/04-4.html2)環境省:「「環境報告ガイドライン(2012年版)(案)」に頂いたご意見等の一覧表」 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=151533)一般財団法人 環境情報センター :「EICネット」 http://www.eic.or.jp/4)各種企業の環境報告書は下記URLで検索が可能である。・経済産業省・環境報告書プラザ http://www.ecosearch.jp/ ・有限会社インフォワード エコほっとライン係 http://www.ecohotline.com/ ・CSR図書館ネット http://csr-toshokan.net/<図1>環境配慮経営と環境報告の関係イメージ1)