メカトロニクス1月号2013年

メカトロニクス1月号2013年 page 11/60

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MECHATRONICS 2013.1 11所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県所沢市http://www.hptec.co.jp/AC/DC・ステッピングモータ用ドライバ開発・設計および販売/モータコントロール用LSI 開発・設計および販売/各種バスボー....

MECHATRONICS 2013.1 11所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県所沢市http://www.hptec.co.jp/AC/DC・ステッピングモータ用ドライバ開発・設計および販売/モータコントロール用LSI 開発・設計および販売/各種バスボード開発・設計および販売/省配線型モーションコントローラ開発・設計および販売/各種産業・医療機器の企画・開発・設計および販売/各種ソフトウエアの開発、など。株式会社 ハイピーテック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「MEMS 技術による低価格エンコーダ」といった技術革新と、当社の長年にわたるサーボモータ制御の蓄積により新しいコア技術を誕生させ、この領域の製品開発を実現しました。 今回開発したST-SERVOは、サーボモータやステッピングモータで可能だった機能ができるだけでなく、サーボモータやステッピングモータでできなかった機能、もちろんウィークポイントもありますが、新しいアプリケーションや新しい機能が生まれています。この製品の基本構成は、ステッピングモータ/光学式エンコーダ/クローズドループACサーボ制御/ベクトル演算といった自社の技術を活かした構成により、位置制御/速度制御、それからステッピングモータの機能に今までなかった性能として、押し当て/微妙な力加減の制御/低振動静音/省エネ低発熱といったことが得られるようになりました。その中でも発熱が少ないということが大きな特徴の一つになっており、発熱が少ないと余分な電力を消費せず効率よく省エネに貢献できるので、そういうところでお客様に関心をもって頂いています。それから、瞬時トルクが定格トルクの1.5倍というところも大きな魅力になっています。 シリーズとしては、BSL / NT / CMBの3機種をラインアップし、サンプル出荷は開始していますが、量産化は来年3月を目標に進めています。また、この製品はデバイスなのですが、なかなかお客様のイメージではアプリケーションを想像されてしまうようなので、そのようなことから当社としてもアプリケーションにも力を入れている状況です。 ST-SERVOを採用したアプリケーショ ン例などについてお聞かせ下さい池野:まずは、ロボットハンドへの応用を進めています。実際に、ロボットハンドのデモ機をつくってお客様に提案していったところ、ロボットハンドメーカー数社から検討したいという返事を頂いています。 また、押し当て/微妙な力加減制御といったところから、スマートフォンに使用するカバーガラスのエッジ研磨に使用する装置への応用を進めています。最近では、インセル/オンセルといった技術により、液晶そのものが段々と薄くなり割れやすくなっている状況なので、割れにくくするためにガラスにクラックが入らないように研磨するという手段が有効になります。現在、ある装置メーカーと共同でこの案件に対応するガラス研磨装置の開発に着手しています。 さらに、微細ねじ締め用の電動ドライバにも応用しています(写真2)。これは、経済産業省・関東経済産業局の推進する「新連携支援(新連携)」の認定を受けて行った事業で、先日開催された「中小企業総合展JISMEE2012」や「ロボットイノベーション2012」に展示し、多くの来場者から注目された製品です。市販の電動ドライバは、サーボモータや低コストのブラシレスモータなどが使われていますが、ステッピングモータを採用した製品は、当社が始めてだと思います(図2)。高精度トルク管理システムにより、微細ねじの最適締め付けトルクを実現します。主な特徴としては、①ねじ締め付けはトルク勾配法を採用、②ねじ締め時の速度可変が自由に設定可能、③締め付けトルクのばらつきは±3%以内、④ねじ吸着方式を採用し、ロボットへの搭載が可能、⑤締め付けトルクの履歴管理が可能、などが挙げられます。 現在、来年の販売を目指して実証実験の準備を進めており、実際にねじ締めロボットも当社で開発し、また私が代表を務めているグループ会社の株式会社バンガードシステムズの技術も応用したトータルソリューションで進めています。このように、人間が当たりまえにやるような力加減が低コストでできるようになったということがSTSERVOの大きな一つの特徴ですが、様々なアプリケーションに取り組む過程で「もうちょっとこういった機能がほしい、ここはこうしたい」といった技術的な要素が分かってきて、さらに幅広いシーンで活用してもらえると考えています。 その一つの例として、ST-SERVOから派生した技術により、低振動静音/省エネといったニーズが求められる医療分野などにも事業展開を進めています。この分野に対応する製品として開発したのが、2 相マイクロステップドライバ『Advanced Step AS4020』です(写真3)。この製品は、医療機器によく使われている3相のステッピングモータと同等の振動特性を2 相で実現した製品です(図3)。3 相ステッピングモータは、医療機器以外にはあまり使われず値段も高価になっているため、価格低減といったニーズが出ていました。当社は、3相ステッピングモータより価格の安い2相ステッピングモータを使って、独自の制御技術により3相ステッピングモータを越える低振動静音/省エネを実現し、この製品を開発しました。主な特徴としては、①新電流スローディケイ方式により、モータの発熱を低減、②全電流制御により低振動化、③新型マイコン採用によるローコスト化、などが挙げられます。主な用途としては、精密ステージ制御/医療用ポンプ/コンベアなどの搬送装置/精密計測器、などに適しています。 今後の展開についてお聞かせ下さい池野:まずは、ST-SERVOを世に広めていくための取り組みを進めていきます。それと平行して、STSERVOを使ったアプリケーションやモジュール関連に力を入れていき、他社があまり参入していない分野を開拓していきたいと考えています。 どの分野においても、環境と省エネは大きなキーワードになっており、一説によると人間の作り出すエネルギーの約40%はモータが消費しているといわれています。工場などでも、太陽電池パネルをたくさん設置されている会社もありますが、あまり機械の省エネに関しては気にされず、性能を重視されているケースが多いように感じていました。しかし、家庭用のエアコンや洗濯機などが良い例ですが、インバータ技術の普及で省エネ効果が浸透しはじめたように、低振動静音/省エネでさらに低コストのモータが普及すれば、工場などの機械の省エネにも注目が集まっていくと考えています。 省エネに向けた取り組みは、当社においても今後の製品開発における一つのテーマになっています。本日はお忙しい中ありがとうございました。図2 『CT47 シリーズ』の製品構成図図3 『Advanced Step AS4020』の振動特性写真2 微細ねじ締め用電動ドライバ『CT47 シリーズ』写真3 2相マイクロステップドライバ『Advanced Step AS4020』ST-Servo(サーボ制御型)システム