メカトロニクス12月号2012年

メカトロニクス12月号2012年 page 50/60

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50 MECHATRONICS 2012.12日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力成層圏オゾン層問題のトピックス~モントリオール議定書採択25 周年を迎えて~【第129回】 日本政府は、毎年9月を「....

50 MECHATRONICS 2012.12日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力成層圏オゾン層問題のトピックス~モントリオール議定書採択25 周年を迎えて~【第129回】 日本政府は、毎年9月を「オゾン層保護対策推進月間」として、過去のオゾン層保護対策の成果を総括し、今後の問題点を見直している。 それは、1987年9月16日に、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(モントリオール議定書)」が採択されたことに因んでいる。9月16日は現在、国際連合が総会で定めた指定記念日である“国際オゾン層保護デー(International Day for the Preservation of theOzone Layer)”となっているので、その時期には国際連合および国連環境計画をはじめとして各国政府、関係組織が各種行事を計画している。 今年はモントリオール議定書採択25周年の節目にあたるので、国連環境計画でも各種の広報活動を行っている。以下に、そのトピックスをいくつか紹介する。■「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」 環境省は例年、その月間行事の直前となる8月末に、「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を発表しており、今年は平成23年度版を8月24日に公表した2)。本報告書は、日本政府が1988年に制定した「オゾン層保護法」(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)の規定に基づいて、2011年度における特定物質によるオゾン層の破壊の状況、大気中の特定物質の濃度変化の状況等に関する監視結果をまとめたものである。 同報告書の“はじめに”に、環境省地球環境局が以下のような説明を付している。 “本年はモントリオール議定書の採択から25周年という節目の年に当たります。折しも本年3月、CFCによるオゾン層破壊のメカニズムの発見以降、モントリオール議定書の採択や日本をはじめ世界各地でのオゾン層問題の啓発に貢献されたローランド教授(日本国際賞、ノーベル化学賞等受賞)が他界されました。地球規模の環境問題に対応するためには、世界各国における、多数の利害関係者の広範な協力が必要であり、困難を伴うことが多いところですが、故ローランド教授の活躍などにより、オゾン層問題は科学的知見に基づき地球規模の環境問題に予防的に対処し、目に見える成果を挙げた成功事例として、国際的に高く評価されています。”■オゾン層保護対策推進月間の広報活動(1)月間行事ポスター 今年の月間行事ポスターは、モントリオール議定書採択25周年を記念して、(写真2)のように、国連環境計画が定めたモントリオール議定書採択25周年のロゴと、1979年、1987年および2011年の三つのオゾンホールを配した図柄に以下の説明が付されている。●モントリオール議定書の制定より25年 モントリオール議定書は環境に関する世界で最も成功している国際協定といわれています。日本をはじめ世界各国における25年の取組は、オゾン層を破壊するだけでなく温室効果ガスでもあるフロン等の生産・消費を抑制し、オゾン層保護のみならず地球温暖化対策にも大きく貢献しています。依然として南極オゾンホールは毎年発生していますが、長期的な拡大傾向は見られなくなり、オゾン層の回復に向けて着実に前進しています。引き続き、オゾン層保護と地球温暖化防止のために、世界各国と協力して対策を進めましょう。●1979年(付図として、以下それぞれに、南極上空から見た各年10月の月平均オゾン量分布が示されている。): 人工化合物質であるクロロフルオロカーボン(CFC)が成層圏のオゾン層を破壊することが初めて明らかになり、人や生態系に影響が生じると警鐘ががならされました。●1987年: 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択。オゾン層を破壊するフロン等について生産・消費を軽減する取組がスタートしました。●現在(2011年のオゾン量分布): CFCの大気中の濃度が減るなど取組の成果がみられますが、南極オゾンホールは引き続き毎年8月から12月頃にかけて発生しています。地球温暖化を防ぐためにも引き続きオゾン層保護対策をすすめていくことが重要です。●月間行事の関係組織: ポスターには、関係組織として14の政府省庁と、産業界からは一般社団法人オゾン層・気候保護産業協議会の名称が記されている。 環境省、経済産業省、内閣官房、内閣府、警察庁、総務省、消防庁、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、気象庁、防衛省、オゾン層・気候保護産業協議会。(2)パンフレット「オゾン層を守ろう2012」 環境省は、オゾン層保護対策について、一般への周知、学校教育、環境イベント等に活用するために、オゾン層破壊の現況、紫外線による影響やその対策、フロン類に関する情報、モントリオール議定書等の国際的な取組の動向、地球温暖化への影響などを解説したパンフレット「オゾン層を守ろう2012」を作成している。 その概要は以下の通り(写真3)。①オゾン層って、なんだろう 太陽は、地球上に光と熱をとどけ、生命を育んでい ます。しかし、太陽光には、有害な紫外線が含まれ ています。私たちがこの紫外線の影響を強く受け ずに済んでいるのは、オゾン層という、地球を覆っ ている層のおかげです。フロンなどの化学物質に よって、オゾン層の破壊は今も続いています。②オゾン層が破壊されると・・・? 地上に降り注ぐ紫外線量が増え、人体や動植物に影 響を及ぼすおそれが大きくなります。③身近なところにもオゾン破壊の原因が? フロンは、私たちの生活の中で便利な物質として、 様々な用途に使われています。④世界の動き、日本の動き オゾン層保護や地球温暖化防止のため、日本をはじ め世界中で様々な取組が行われています。⑤地球温暖化にも大きな影響が・・・ フロンの大気中への放出を減らすと、オゾン層の保 護だけでなく、地球温暖化の防止にも役立ちます。⑥いま。私たちにできること オゾン層を守り、地球温暖化を防ぐために、私たち が普段から取り組めることがあります。■日刊工業新聞社の 「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」 日刊工業新聞社は、オゾン層保護対策推進月間行事に関連して、「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」の表彰制度を1998年に創設した。 この制度は、日本の「オゾン層保護法」(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)の制定10周年を記念したもので、当時は「オゾン層保護大賞」と呼ばれていたが、地球環境問題の変遷を踏まえて2003年に「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」と名称が変更されている。 同賞の対象は(1)オゾン層の破壊を防ぐ(2)地球温<写真1>モントリオール議定書採択25周年を記念したUNEPのロゴ1)<写真2>2012年度のオゾン層保護対策推進月間ポスター3)<写真4>25周年記念のポスター1)<写真5>同経過報告書の表紙6)<写真3>「(パンフレット)オゾン層を守ろう2012」の表紙4)