メカトロニクス9月号2012年

メカトロニクス9月号2012年 page 52/60

電子ブックを開く

このページは メカトロニクス9月号2012年 の電子ブックに掲載されている52ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
52 MECHATRONICS 2012.9《第41回》2 設計から始めよう(その39)図2-179 拡散シートに関する特許情報(その1)5.側射型照明装置(その23)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その24)⑯散乱・拡散シートⅲ....

52 MECHATRONICS 2012.9《第41回》2 設計から始めよう(その39)図2-179 拡散シートに関する特許情報(その1)5.側射型照明装置(その23)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その24)⑯散乱・拡散シートⅲ 拡散シート(その1) “散乱シート”が透明素材の内部に屈折率の異なる微粒子を混入させて、透過光線を外方向へ放出する作用であるのに対して、“拡散シート”は透明素材の表面に微細な凹凸を施工して、内部を通過した光線束を素材表面で拡張させる機能があるとする。光線束が拡張されると同時に、全面の輝度分布は平準化される。 拡散シートのような、微細な凹凸形状が素材の片表面に加工されている素子に光線束を通過させる場合は、平滑面から入射させて粗雑面から放出させる使用が一般である。 しかし通常の使用方法より故意に違わせて、粗雑面から光線束を入射させて平滑面から放出させたときには、放出光線束は大きく広がる(図2-178)。シートの表面または裏面に対してそれぞれの照射した光線束には経路が異なる“非可逆性”の光学作用がある。拡散シートをバックライトに装備するときには面の表裏を留意して確認する必要がある。レンズを用いた光学機器などでは光軸が単一なので、照射光線を逆走させても同一の経路をたどる、つまり“可逆性”がある。多重光軸系と単一光軸系とによる光線経路の違いをここで認識しておこう。 先出の第36 回から前回までの記述例に従って、拡散シートの技術情報を今回も特許地図で表現しよう(図2-179)。拡散シートの構造は偏角シートのそれに類似しているし、偏角シートの技術思想を転用したものもかなり在る。ただ偏角シートは導光板から放出されている光線の方向を板面のほぼ法線方向へ是正させているのに対して、拡散シートではすでに法線方向に放出されている光線束を多様な方向へ指向させているように機能の違いがある。 この意図のためであろうか。傾斜した光線を法線方向へ引き起こすために、偏角シートでは光線を反射や屈折させる機能を備えている。拡散シートでは光線を単に屈折させる機能だけでよい。 拡散シート表面に敷設してある形状には、平行プリズム溝筋でありながら稜線を屈曲させたり、円柱レンズ状の溝筋に形成するなど工夫を凝らしている。はたまた、溝筋というよりは、凹凸形状を円錐状に、または微細な球面状に変化させているのが見受けられる。 特許地図patent map には、特許情報を統計して解析し図表で表現する形式と、特許情報の技術内容を解析し整理して要素別に時系列などに沿って表現する形式とがある2-93)。どちらの形態にまとめるかには制約はないし、当面の私たち開発技術者にはより有効な表現方法を追求すれば好い。たまたま第34 回から今回にわたり特許地図として示している形式は、“要素別”にかつ“時系列”に沿って“技術発展・展開表示”のマップである。特許地図は当該技術の世界が一目瞭然に理解できるし、開発技術者として即時なすべき課題が確実に認識できる素晴らしい手段となっている。言うならば、品質管理そのものの手法である2-94)。つまり4つの「~キ」を触発させる「やる気= 動機・意識」と「やり方= 知識・組織」である。 さて、拡散シートについて素材表面に微細加工する技術構成は、昨今の液晶バックライトによって始まったわけではない。1980 年半ばには一眼レフカメラの焦点面に「微小成形」を加工したのを嚆矢とする。イオンビームエッチング法、ブレーズドホログラム法、砂摺り法、レーザマット法、等々の加工法はカメラファインダの視認性を向上させたのだ。稠密な加工を得意とする現在の技能に至っては、さらに放電加工/蒸着吸着/電鋳技術やインクジェット法、ナノプリントへと続き、高機能、高成形性の品種/品質を追及している。 次回にはこうした流れに沿って、ホログラフィックパターンによる拡散シートについても論及しよう。【参考文献】2-92)独立行政法人工業所有権情報・研修館「特許電子図書館(IPDL)」電子版2-93)JPO「特許マップとは」電子版2-94)井上弘「光学素子と機構の検査技法」オプトロニクス社2 設計からはじめよう(その40)図2-178 拡散シートを照射した光線束の挙動①②