メカトロニクス9月号2012年

メカトロニクス9月号2012年 page 51/60

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MECHATRONICS 2012.9 51ション”が登場した。同計画では、今後の環境政策の課題を9項目取り上げ、その中の一つに、“経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進”が取り上げられている。 たとえば、....

MECHATRONICS 2012.9 51ション”が登場した。同計画では、今後の環境政策の課題を9項目取り上げ、その中の一つに、“経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進”が取り上げられている。 たとえば、グリーン・イノベーションの必要性については、以下の説明がある。 “環境負荷の増大は企業を含む多様な主体の活動に起因しており、企業や国民一人一人が、その行動に環境配慮を織り込み、環境保全のための行動にさらに積極的に取り組む必要がある。そのため、環境配慮行動にインセンティブを与える仕組みづくり、環境教育を通じた環境意識の醸成、連携促進のための条件整備の推進、情報公開などにより、多様な主体の行動と協働を促進する必要がある。 また、環境分野への新たな投資が我が国及び世界の経済発展を牽引するという観点も踏まえ、高い競争力を持つ我が国の環境技術の水準を引き続き向上させていくためにも、グリーン・イノベーション注2)やその基盤ともなる環境研究・技術開発とその普及等をより一層推進する必要がある。”注2)イノベーションとは、技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな考え方、仕組みを取り入れて、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことである。(「イノベーション25」2007 年6 月閣議決定) 「第4次環境基本計画」に取り上げられた“第2部今後の環境政策の具体的な展開”では、9項目の“重点分野ごとの環境政策の展開”の一つとして、“グリーン・イノベーション”は以下のように説明されている。 “第1節 経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進: 新興国を中心とする人口増加、経済成長とそれに伴う資源消費の増大により、世界全体で環境制約が問題となっていることを受け、近年国際社会においてもグリーン経済やグリーン成長については様々な議論がなされている。 2012年のリオ+20 において「持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」がテーマの一つとなるとともに、2011年にUNEPが「グリーン経済レポート」を発表、OECDが「グリーン成長戦略」を採択した。また、2010年のG20ソウル・サミット文書、2010年のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳の成長戦略、2011年のG8ドーヴィル・サミット首脳宣言においても、グリーン経済・成長に係る記述が盛り込まれた。 さらに、グリーン・イノベーションの分野についても、例えば欧州各国において、環境産業を輸出戦略の中核に据え、政府が環境産業の育成・支援を行うとともに、環境製品・サービスの輸出を積極的に推進しており、そのための戦略を策定するなど、グリーン・イノベーションを推進する動きが見られる。 我が国においても新成長戦略において、「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」が七つの戦略分野の一つに位置付けられた。 このように、世界が直面する環境制約に対応する上で、技術革新に加え、新たな価値の創出や社会システムの変革までをも含めたグリーン・イノベーションが必要であり、それが経済・社会の隅々まで行き渡り、さらには個人や事業者の環境配慮行動が浸透していく経済・社会のグリーン化が不可欠である。 環境保全の視点を経済・社会活動に適切に織り込み、環境産業における投資や技術開発を促進するとともに、グリーン成長を支える資源確保の取組を推進することが、潜在的な需要の顕在化、競争力の強化、持続的発展の基盤整備を通じて我が国の経済成長・雇用創出を実現し、世界を視野に入れた新たな日本経済を発展させる基盤となり得る。このように、経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションにより創出された、優れた環境技術・製品や取組の国際的な普及を促し、世界全体の持続可能な経済成長と地球環境の保全に貢献することは、我が国の責務でもある。”■“第2章 東日本大震災及び原子力発電所における事故への対応” 第2章は、東日本大震災および原子力発電所に関する諸問題を扱っている(詳細は省略)。■“第3章 元気で豊かな地域社会づくり” 第3章は、東日本大震災からの復興の課題とともに、地域社会にまつわる環境問題を取り上げている(詳細は省略)。■“第4章 世界をリードするグリーン成長国家の実現に向けて”(1)第4章の構成 第4章は、以下のような目次構成で、今回の主要テーマである“グリーン・イノベーション”については特に紙面を割いて説明を加えている。・第1節 グリーン経済とグリーン・イノベーション 1.グリーン・イノベーションとは 2.グリーン・イノベーションを   実現させるための施策 3.グリーン・イノベーションと市場のグリーン化 4.グリーン・イノベーションのアジアへの展開・第2節 低炭素社会の実現に向けた我が国の取組 1.世界における低炭素社会の実現に向けた   動き~COP17 2.我が国における低炭素社会の実現に向けた   これまでの取組 3.革新的エネルギー・環境戦略 4.我が国が誇る最先端の低炭素化技術 5.途上国への支援による低炭素社会の実現に   向けた我が国の貢献・第3節 我が国に眠る地上資源の発掘・活用 1.我が国に眠る地上資源 2.金属資源のリサイクルの流れ 3.リサイクルをした場合の環境負荷 4.国外に流出する循環資源と環境への影響 5.使用済小型電子機器等を対象とした   新たなリサイクル制度 6.地上資源を発掘・活用している先進的事例 7.まとめ・第4節 愛知目標の達成に向けた世界への貢献 1.はじめに 2.支援の取組 3.政策と科学の連携強化 4.日本から世界への発信   ~SATOYAMAイニシアティブ(2)“グリーン・イノベーション”とは “第1節 グリーン経済とグリーン・イノベーション”では“グリーン・イノベーション”の意味について、以下の説明がある。“環境と経済の間には密接なかかわり合いがあるが、世界が直面する環境制約に対応していくためには、双方を単にトレードオフの関係として捉えるのではなく、持続的な好循環を生み出していく関係として、その実現を目指すことが重要となる。 こうした社会のシステムを実現させる上で大きな原動力となるのが「グリーン・イノベーション」、すなわち、エネルギー・環境分野におけるイノベーションである。” “「イノベーション」という言葉について、我が国では、かつて経済白書で「技術革新」と訳されていたこともあり、「技術上の発明」という意味で用いられることが一般的であった。一方、J.シュンペーターは、新しいビジネスモデルの開拓なども含めたより一般的な概念としてイノベーションを捉えており・・・、長期戦略指針「イノベーション25」(2007年6月閣議決定)でも、「技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな考え方、仕組みを取り入れて、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすこと」として定義している。 このように、イノベーションは技術開発だけではなく、新たな価値の創出や社会システムの変革・社会実装を含む、統合的な概念であるということができる。”(3)グリーン・イノベーションに関するトピックス 第4章を通して、グリーン・イノベーションに関する以下のようなトピックスが紹介されている。・国連環境計画(UNEP)が発表した「グリーン経済」・経済協力開発機構(OECD)が発表した「グリーン成長に向けて」・再生可能エネルギーとの関係・グリーン・イノベーションと環境技術との関係・グリーン・イノベーションに関する各国の取組・削減コストカーブ・我が国環境技術の国際優位性・グリーン・イノベーションと環境金融・21世紀金融行動原則・市場のグリーン化・低炭素社会の実現・微生物を用いた環境負荷低減技術■むすび 第1部の“むすび”では、「グリーン・イノベーション」について、以下のように触れている。 “世界はいつにも増して複雑化し、先進国と開発途上国という単純な括りではもはや表現できなくなっている。中国やインド等の新興国の発展は、新たな世界経済の牽引車となると同時に、資源需要や温室効果ガス排出量などの急拡大をもたらし、国レベルの環境面のインパクトは日本のそれを超えるにいたっている。 他方、これら新興国の一人当たりのGDPや温室効果ガス排出量等は、先進国の水準に比べ遙かに低く、新興国では、発展途上にある国民一人ひとりの生活の向上を追求すると同時に、国全体としては温室効果ガス等の削減を削減を進めなければならないという、二律背反した状況に直面している。 しかし、地球温暖化を抑えるためには世界全体で温室効果ガス排出量を削減することが不可欠であることにかんがみれば、これは私たち自身に突きつけられている問題に他ならない。 そこで必要になるのがグリーン成長であり、グリーン・イノベーションである。環境負荷を増やすことなく、逆に削減することを糧として豊かさをもたらす成長、あるいは自然の能力お引き出すことによる成長と言い換えることもできるかもしれない。再生可能エネルギーはその典型例である。・・・。”  “以上のような点の実現に向け、すべての主体が力を結集して、震災を経て我が国はさらに強くなった、真に豊かな国になったと胸を張れるように取組を進めていくことが重要である。 世界をリードするグリーン成長を原動力として、地域からの取組が大きなうねりとなって、日々の生活の面でも、そして長期的な地球環境の持続性という面でも安全・安心を実感できる社会に変えていかねばならないのである。”(2012.7.16記)<参考資料>1)環境省編:「平成24年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2012.6)2)環境省:「(報道発表)第4次環境基本計画の閣議決定について(お知らせ)」(2012.4.27)