メカトロニクス9月号2012年

メカトロニクス9月号2012年 page 50/60

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概要:
50 MECHATRONICS 2012.9日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力2012年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書~“持続可能性”についての検討の経緯~【第126回】 「平成24年....

50 MECHATRONICS 2012.9日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力2012年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書~“持続可能性”についての検討の経緯~【第126回】 「平成24年(2012年)版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、去る5月29日に閣議決定され、同日国会に提出された。 今回の白書は、副題として“震災復興と安全安心で持続可能な社会の実現へ向けて”と説明が付され、東日本大震災からの復旧・復興と持続可能な地域づくりに向けた取り組みについて、特に詳しく記述されている。 また、本年6月にリオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で開催された「国際持続可能な開発会議(リオ+20)」を目前に控えたことを踏まえて、「リオ+20」のテーマにも関連する、「グリーン経済」あるいは「グリーン・イノベーション」について、いろいろな視点から取り上げている。その中には、世界をリードするグリーン成長国家の実現のために資する、我が国の優れた技術やシステムの国際的な貢献についても記述している。今回は、同書の全体的な組み立てを紹介し、「第1部 総合的な施策等に関する報告」の序章および第1章~第4章から、「グリーン経済」および「グリーン・イノベーション」に関するトピックスの一部を抜き出して紹介する。その他のトピックスについては、紙面の都合で目次の見出しは最低限紹介し、最近の話題に関するキーワードを記録するように努めた(写真1)1)。■白書の構成 同白書は、3種類の関連基本法に基づいて作成されるものであり、その3種類のテーマについて、“昨年度(2011年度)の状況報告”を2部に分けて記述し、次いで“新年度(2012年度)に計画している施策の説明”を記述している(表1)。 ・環境の保全に関する状況報告と施策:  (環境基本法に基づく「環境白書」) ・循環型社会の形成に関する状況報告と施策:(循環型社会形成推進基本法に基づく「循環型社会白書」) ・生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する  状況報告と施策:(生物多様性基本法に基づく「生  物多様性白書」)■“序章「絆」が紡ぐ社会” この序章では、特に東日本大震災により生まれた各種の課題と、「リオ+20」の開催について触れ、以下の事項を強調している。①持続可能な社会の実現のための困難さ・人口増加による人類の資源消費と環境負荷の規模の増大・水不足、資源のボトルネックの悪化、気候変動、水・大気環境の汚染、回復不能な生物多様性の喪失②東日本大震災による課題・生活基盤の復旧・放射性物質による汚染・エネルギー受給問題・絆の大切さの再認識③「リオ+20」・キーワードは“我々の望む未来(The Future WeWant)”(同会議は最終日(6月22日夜)に“我々の望む未来”を表題とする成果文書を採択し閉幕した。環境保全と貧困解消という地球規模の課題に向けた実効性のある成果は得られなかったが、具体的な目標設定を今後議論することで合意した。)■“第1章 地球と我が国の現状”(1)第1章の構成 第1章は以下の目次からなり、地球環境問題への国際的な取り組み経緯を振り返って、今回の「リオ+20」での諸問題を紹介している。・第1節 国連持続可能な開発会議(リオ+20) 1.リオ+20までの道のり 2.東日本大震災を踏まえた我が国の成果文書へ   のインプット 3.各主体の取組とマルチステークホルダー・   プロセス・第2節 持続可能な環境・経済・社会の実現に向けた世界の潮流 1.UNEPにおける「グリーン経済」 2.OECDにおける「グリーン成長」・第3節 社会経済活動と環境負荷 1.環境負荷物質の排出と社会経済活動 2.資源の利用と社会経済活動 3.環境分野における経済の動向 4.生活の質と環境(2)持続可能な社会の実現に関する国際的な動き “持続可能な開発”をキーワードとして地球環境問題を議論した基点が、20 年前の「地球サミット(リオ会議)」であり、今年の会議が「リオ+ 20」と呼ばれる所以である。更にさかのぼれば、国連環境計画(UNEP)の設立が決議された1972年の「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」が地球環境問題の国際討議の原点であり、丁度40年前のことであった。(3)「リオ+20」における主な議題 「リオ+20」における主な議題は以下の通りであった。①持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済:成果文書に関する具体的政策論を展開することで、持続可能な開発の実現に向けた諸問題を解決する上で実効性のある合意を得ることを目標とする。②持続可能な開発のための制度的枠組み:環境問題を総合的に取り扱う強力な国際機関の設立や、多国間環境条約(MEASs、Multilateral EnvironmentalAgreements)の連携の強化などを重要課題として議論する。■“グリーン・イノベーション”について(1)「環境白書」への登場 “グリーン・イノベーション”については、「環境白書」では、平成22年版(2010年版)に初めて登場し、以下のように説明されている。 “革新的な環境・エネルギー技術の研究開発の加速化・新技術の創出を行い、その研究開発成果の実利用・普及を強力に推進するために社会システムの転換を図り、これを通じて産業・社会活動の効率化、新産業の創造や国民生活の向上に資するものであり、わが国のみならず世界規模での環境と経済が両立した低炭素社会の構築に貢献するものである。”注1)注1)総合科学技術会議「平成22 年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針」(2009 年10月8 日)よりの引用。(2)「環境基本計画」への登場 「環境基本計画」においては、2012年に発表された「第4次環境基本計画」において、“グリーン・イノベー<写真1>「平成24年(2012年)版環境・循環型社会・生物多様性白書」の表紙1)<表1>「平成24年版(2012年版)環境・循環型社会・生物多様性白書」の構成1)平成24 年版(2012 年版)環境白書第1部 総合的な施策等に関する報告  序   「絆」が紡ぐ未来  第1章 地球と我が国の現状  第2章 東日本大震災及び原子力発電所に      おける事故への対応  第3章 元気で豊かな地域社会づくり  第4章 世界をリードするグリーン成長国      家の実現に向けて第2部 各分野の施策等に関する報告  第1章 低炭素社会の構築  第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用  第3章 循環型社会の構築に向けて  第4章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全  第5章 化学物質の環境リスクの評価・管理  第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び      国際協力に係る施策  第1章 低炭素社会の構築  第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用      ~私たちのいのちと暮らしを支える       生物多様性  第3章 循環型社会の形成  第4章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全  第5章 化学物質の環境リスクの評価・管理  第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際      協力に係る施策平成23年度 環境の状況平成23年度 循環型社会の形成の状況平成23年度 生物の多様性の状況平成24年度 環境の保全に関する施策平成24年度 循環型社会の形成に関する施策平成24年度 生物の多様性の保全及び       持続可能な利用に関する施策