メカトロニクス9月号2012年

メカトロニクス9月号2012年 page 13/60

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MECHATRONICS 2012.9 13所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県鴻巣市http://www.daiki.co.jp/土壌物理性測定機器、土壌/地下水環境調査機器、特殊試験装置などの製造/販売、など。大起理化工業株式会社・・・・・・・....

MECHATRONICS 2012.9 13所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県鴻巣市http://www.daiki.co.jp/土壌物理性測定機器、土壌/地下水環境調査機器、特殊試験装置などの製造/販売、など。大起理化工業株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ル実容積測定装置/デジタル土壌抵抗測定器『SR-2型』/デジタル土壌硬度計/デジタル貫入式土壌硬度計におけるデータのダウンロードからデータ解析まで、このソフトウエア一つですべて対応できます。 その中で、土壌の三相分布(固相、液相、気相)を測定するのに不可欠なデジタル実容積測定装置『DIK-1150』は、「平成22年度彩の国産業技術大賞」の特別賞を受賞しています(写真2)。この製品は、試料を入れてボタンを押すだけの簡単測定を実現し、測定結果はデジタル表示され、データ保存も1,000 件まで可能です。操作画面は、国内用はカタカナ表示を、海外用には英語表示を簡単に切り替えられるようにしています。試料室の蓋の閉め忘れ防止や、校正時のテストピースの入れ間違い防止など、各種エラー表示機能を搭載することで確実な測定を実現します。 それから、土壌から発生するCO2を測定する土壌CO2計測装置『DIK-0450』といった製品も開発しています。この製品は、土壌の上に置くだけで、どなたでも簡単に土壌CO2の測定ができ、短期の測定から長期の測定まで幅広く対応が可能です。計測制御ロガとの組み合わせにより、測定データの記録が可能で、ファンと開閉弁は測定に合わせて自動制御します。測定中は外気を遮断してファンでチャンバ内部エアを循環し、測定後は弁を開きチャンバ内のエアを外気と置換します。GPS 内蔵計測制御ロガにより、位置情報も同時に取得できます。 つい先日、東京大学と共同でこの製品を使った実証実験を、千葉県柏市にある東京大学の実証実験圃「ペレニアルガーデン」に設置し、モニタリングを開始しました(写真3)。これは、東京大学が推進する「明るい低炭素社会の実現に向けた都市変革プログラム」という国家プロジェクトの一環で進めており、LEDのモニタを設置したシステムをつくってリアルタイムにCO2の発生量を確認できるものです。このプロジェクトは、2 年間の予定で進めており、このようなプロジェクトに参画させていただくことにより、環境保全のための測定器の分野を広げていこうと考えています。 また当社は、土と水を現場で簡単にサンプリングできる装置にも力を入れており、地下水などの水位測定に最適なCTDダイバー水位計『DIK-603C』もその中の一つです(写真4)。この製品は、井戸の中などに吊るして、導電率/水位/水温の3 項目を1 台で計測することができます。4 極式導電率センサを搭載し、3×48,000データを内蔵ロガに記録します。完全密封式で内部結露による故障が極めて少なく、セラミック素材を使用することにより海水での使用も可能です。内蔵電池は約6~8年の長寿命により、長期間のサンプリングにも適しています。 さらに、まったく新しいコンセプトで設計された、分析するまでの前工程を行う無粉塵型自動粉砕篩分け装置 RK4Ⅱ『DIK-2600』という製品も開発しました(写真5)。現場で採取した土は、分析する前にφ2mm以下の形状に揃える作業が必要で、従来手作業などで行われていましたが、この製品は、土壌の粉砕およびφ2mm以下の篩い分け工程を同時に行い、すべての工程で粉塵を一切出すことがないので、作業者の健康被害の心配もありません。粉塵が出ないため集塵装置が不要で、装置の小型化が実現したことにより実験室内にも設置が可能です。また、粉砕/篩い分け工程の作業効率向上により、作業時間の短縮、および大量のサンプル処理にも対応できるなどの特徴をもっています。 それから、新降雨ノズルを採用することにより、高精度な降雨試験が可能な降雨装置『DIK-6000』も用意しています(写真6)。この製品は、降雨の影響による自然災害などのシミュレーションが行える試験装置で、実験に必要な自然状態に近い降雨を再現することができます。有効降雨面積は、標準タイプとして1×1m、1.5×1.5m の2タイプを用意しており、さらにご要望に応じた有効降雨面積サイズを製作することも可能です。高性能降雨ノズルを採用し、有効降雨範囲内における降雨分布のばらつきが当社従来機の約1/2になります(写真7)。また、ノズルを高速回転(ランダム降雨モード)させ、雨滴をランダムに落下させて有効降雨面積内に自然降雨に近い雨滴落下を実現させています。ノズルの回転速度を可変することで、雨滴径φ1.7~3.0mmまで可変することが可能です。降雨パターンのプログラム設定が可能で、従来では農業関連が中心でしたが、最近では環境関連や自動車関連など幅広い分野の様々な試験に対応できます。 このように当社は、環境関連のニッチな市場にスポットを当てたものづくりを進めており、お客さまに喜ばれるような製品を提供できるように心がけています。 今後の展開についてお聞かせ下さい大石:先程も少しお話しましたが、農業用土壌物理性測定機器の高度化/環境調査用機器の拡充/新分野への進出といった3本柱で、当社のもつ強みを活かしていきたいと考えています。 今までは、当社の取り扱うような製品は農業分野などの専門家の方が使うような機器でしたが、最近では幅広い分野の方々に当社の製品を応用して使いたいというニーズをいただきます。そういった声にお応えするために、専門家の方でなくても簡単に操作でき、誰が操作しても同じ結果が出るような製品化を目指し、デジタル化を進めています。それにより、多くの方々に使っていただき、市場も広がっていくと考えています。 環境調査用機器に関しては、環境調査を行う方々が現場で簡単に状況を把握できるような機器や、高精度の分析を行う前に現場で行う前処理機器などの拡充を図っていきます。 また、新分野へのチャレンジとしては、現在震災復興に向けての取り組みとして、震災瓦礫木材中の塩分測定装置や放射性物質の汚染された農地土壌の混合装置などを開発中ですが、そのほかにも医療分野などで当社のノウハウを応用していきたいと考えています。 それから、国内の事業展開だけでなく、海外では現状中国で行っている事業展開を拡大していきます。海外にも当社と同じような事業を展開する企業は何社かありますが、独自性を活かした他社にないオンリーワンの製品であれば海外競合他社と差別化が可能で年々輸出額も増え始めており、海外で戦える手ごたえを感じ始めています。まずは、東南アジアを中心に展開し、グローバルニッチ企業を目指していきたいと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 CTD ダイバー水位計『DIK-603C』写真3 土壌CO2計測装置『DIK-0450』を使用した実証実験写真5 無粉塵型自動粉砕篩分け装置 RK4Ⅱ『DIK-2600』写真6 降雨装置『DIK-6000』写真7 高性能降雨ノズル