メカトロニクス8月号2012年

メカトロニクス8月号2012年 page 52/60

電子ブックを開く

このページは メカトロニクス8月号2012年 の電子ブックに掲載されている52ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
52 MECHATRONICS 2012.8《第40回》2 設計から始めよう(その38)図2-177 散乱シートに関する特許情報(その1)2-91)5.側射型照明装置(その22)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その23)⑯ 散乱・拡散....

52 MECHATRONICS 2012.8《第40回》2 設計から始めよう(その38)図2-177 散乱シートに関する特許情報(その1)2-91)5.側射型照明装置(その22)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その23)⑯ 散乱・拡散シートⅰ 散乱と拡散 日本工業規格JIS Z8113-1008 では“ 拡散:diff usion”の用語のみを記載しているが、“散乱:scattering”の用語もほぼ同等の意味合いで汎用されている。敢えて異なる現象だと定義している資料では「真っ白な紙に照射した光は様々な方向へ放散するのが散乱」であって、「様々な方向に光を拡散して照射する光源や反射(透過)面の光を拡散光という」と説明している。この区別に従って、光機能性シートの性質を解説してゆこう。 散乱や拡散は、ある素子から光線が四方に広がる現象であって、光線の強さを質的に表現するには“配光曲線”2-85)が適切であり、視覚により判断しやすい。一方、数量的に表現するには“ヘーズ(曇価):haze”2-86) がある。   H=Td/Tt × 100  ここでH:ヘーズ(曇値)[% ]、Td:拡散透過率[% ]、Tt:全光線透過率[% ] とする。数値が小さいほど透明性が高い性質を表し、無色透過材料では H≦ 40% である。 蛇足だが、光線が素子から放出される状態を「分光」と記述した文献に遭遇して、その身勝手な誤用に驚愕した。分光とは波長の関数として表す場合に用いるのであって、光線がさまざまな方向へ飛散する状態を表現するには適さない。この誤謬の文章では、精確をモットーとする技術者の思惑を乱すに余りある。光学用語は正しく使っていただきたい。ⅱ 散乱シート 散乱効果を発揮する薄物素材には、粗い表面の透明シート2-87)や異質樹脂を添加して組成した乳白色シート2-88)、気泡(φ< 30 μ m ~< 50 μ m)や異質屈折率の微粒子(φ= 0.1 ~ 200 μ m)を混入した光散乱シートなどがある。 参考としてプラスチック板を砂かけ加工(blast)する場合、粒度# 8(φ 1680 ~ 2000 μ m)~# 220(φ 63 ~ 105 μ m)の研磨材を粗粒と呼び、# 240(φ 74 ~ 88 μ m)~# 3000(φ5~6μ m)を微粒と称する。粗面に仕上げた表面は、凹部径が凹部深さの約5倍になる。そして粒度# 54 ~# 90 の粗粒で面加工した素材では眩しさ:glare2-89)が目立ち、粒度# 90 ~# 220 の粗粒で加工すれば配光曲線に法線方向の直方光が強く現れ、粒度# 500 以上の微粒による加工では斜向光に変化する傾向がある。 また、完全な散乱効果を発揮する素材では、配光曲線がほぼ余弦曲線 I ≒ cos0.9 Θを描く。しかし乳白色シートでは、法線光度が80%ほどに減衰し、尖鋭化した分布 I ≒ 0.8cos12(0.44 Θ)に変貌する(図2-176)。 多様な実施経験を経て汎用されている散乱シートは、屈折率の異質な透明微粒子を混入した素材で、その粒度や混合比率または組成構造に種々工夫が凝らされている。特に興味を惹いたのは、微粒子を基素材中に閉じ込める構成だけでなく、微粒子の表面を基素材の表面から露出させる構成であった。特許情報を記述されている引用文献で経路を辿りながら特許地図(patent map)を作成して, 技術の推移発展を精査してゆこう(図2-177)。【参考文献】2-85)JIS Z8113-5030、Z8120-M22 配光曲線(luminous intensity distribution curve)2-86)JIS k7105 プラスチックの光学的特性試験方法、K7136 プラスチック‐ 透明材料のヘーズの求め方、K7361 プラスチック- 透明材料の全光線透過率の試験方法2-87)JIS K7104「プラスチック表面の粗さの比較方法」2-88)JIS Z8113-505,Z8120-Q30 乳色ガラス(opal glass)2-89)JIS Z8113-1042 眩しさ(glare)2-90)タキロン総合カタログ電子ブック2-91)独立行政法人工業相有権情報・研修館「特許電子図書館(IPDL)」電子版2 設計からはじめよう(その39)図2-176 散乱板の光透過率2-90)