メカトロニクス8月号2012年

メカトロニクス8月号2012年 page 50/60

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概要:
50 MECHATRONICS 2012.8日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力世界のトップ科学者たちの緊急要請~環境と開発への課題:緊急に成すべき行動-12箇条のキー・メッセージ-~【第125....

50 MECHATRONICS 2012.8日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力世界のトップ科学者たちの緊急要請~環境と開発への課題:緊急に成すべき行動-12箇条のキー・メッセージ-~【第125回】 地球環境問題に関する表彰制度として「ブループラネット賞」が国際的に有名であるが、それは、公益財団法人旭硝子財団が創設したもので、そのきっかけとなるものは、その年(1992年)にリオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で開催された国連環境開発会議(地球サミット)であった。 同賞の受賞者については、本シリーズで何回か紹介してきたが、同賞の歴代受賞者たちは、このたび、ブループラネット賞の創設20周年を記念して、環境問題に関する共同論文を作成し、発表した。この企画は、本年6月にブラジルで開催される「国際持続可能な開発会議(リオ+20)」を踏まえたものである。今回は、この6月20日から開催される「リオ+20」にちなんで、その共同論文「環境と開発への課題:緊急に成すべき行動」を紹介する(写真1)1、2)注)。■ブループラネット賞歴代受賞者による 共同論文の執筆(1)共同論文のまとめとプレスリリース ブループラネット賞の歴代受賞者で構成されるグループが共同論文を執筆するために、2 月8 日から10日にかけて、ロンドンに集合した。そのメンバーは、第1回の受賞者の真鍋淑郎博士を含む14名の受賞者であった。そこでは、各自が専門分野で執筆した論文を討議し、一つの共同論文を完成した。 その共同論文は、「Environmental andDevelopment Challenges: The imperative toact」と題され1)、(日本語訳は、「環境と開発への課題:緊急に成すべき行動」2)、2月10日国際環境開発研究所(IIED、ブループラネット賞1992 年度(第1 回)受賞者)で行われた記者会見で公表された。 その記者会見では、メンバーを代表してロバート・ワトソン博士(ブループラネット賞2010 年度(第19 回)受賞者、英国 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)チーフアドバイザー)が、論文の主要な結論と提案を発表した3、4)。 彼はその中で、“気候変動や生物多様性の消失、貧困問題を解決するには、現在、世界が直面する問題を早急に解決する必要がある”と語った。 本論文は、環境および開発の重要な課題に対する解決法の転換を強く求めており、地域および世界的な環境を保護し、経済を刺激し、貧困層の暮らしを向上させるために必要な政策、技術および行動の変革を重点的に取り上げている。共同論文の目次は<表1 >の通りである。(2)共同論文のUNEP での発表 この共同論文は、国連環境計画(UNEP)では、「第12 回UNEP 管理理事会特別会合本会議」(ナイロビにおいて2 月20 日~ 22 日に開催)ワトソン博士から発表され、IIED のDr.Cyriaque Sendashonga所長から補足の説明が行われた。 シュタイナー国連事務次長兼UNEP 事務局長からは以下のような言葉が寄せられている。 “ブループラネット賞の歴代受賞者の論文は、食糧や水、エネルギー、さらに人間の安全保障を確保するために、人為的気候変動や生物多様性の損失、生態系サービスの劣化を抑制する行動を直ちに起こすべきであると政府や社会に呼びかけています。 私は、ワトソン教授を始めとする受賞者たちが、解決策を提示しつつ、発展に伴う主要な難問に如何に取り組むべきかのビジョンを明確にしてくれたことに謝意を表します。受賞者たちは、国境を問わずに無理なく環境型経済を成長させ、雇用を創出し、貧困から脱却するには、政策や技術、ライフスタイルの変革が不可欠であると強調しています。”(3)ロンドンに集まった共同執筆者 本共同論文をまとめるため、ロンドンに集まったのは下記のブループラネット賞歴代受賞者であった(末尾は、受賞した回を示す)。・ロバート・ワトソン博士(Robert Watson):英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)チーフアドバイザー(第19回)・ロバート・メイ卿(Robert May):イギリス政府の元首席科学顧問、英国王立協会会長(第10回)・ポール・エーリック博士(Paul Ehrlich):スタンフォード大学(第8 回)・ハロルド・ムーニー教授(Harold Mooney):スタンフォード大学(第11 回)・ゴードン・ヒサシ・サトウ博士(Gordon HisashiSato):マンザナール・プロジェクト代表(第14回)・ジョゼ・ゴールデンベルク教授(Jose Goldemberg):ブラジル・サンパウロ州環境長官、1992 年リオ地球サミット時には、ブラジルの暫定環境長官を務める(第17 回)・エミル・サリム博士(Emil Salim):元インドネシア環境大臣(第15 回)・カミラ・トルミン博士(Camilla Toulmin):国際環境開発研究所(IIED)所長(第1 回)・バンカー・ロイ氏(Bunker Roy):ベアフット・カレッジ創設者(第20 回)・真鍋淑郎博士(Syukuro Manabe):プリンストン大学上級科学者(第1 回)・ジュリア・マートン= ルファーブル氏(JuliaMarton-Lefevre):国際自然保護連合(IUCN)事務局長(第2 回)・サイモン・スチュアート博士(Simon Stuart):国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会議長(第2回)・ウィル・ターナー博士(Will Turner):コンサベーション・インターナショナル(CI)、保全プライオリティおよびアウトリーチ担当バイスプレジデント(第6 回)・カールヘンリク・ロベール博士(Karl-HenrikRobert):スウェーデン「ナチュラル・ステップ」創設者(第9 回)(4)その他の共同執筆者 本共同論文の末尾に共同執筆者の名前が記されているが、そこには、ロンドンに集まった共同執筆者のほかに、以下の7 名が追加されている。・ジェームス・ハンセン博士(James Hansen):NASA ゴダード宇宙科学研究所(第19 回)・ニコラス・スターン郷(Lord (Nicholas) Stern ofBrentford):ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授(第18 回)・エイモリ・B・ロビンス博士(Amory Lovins):ロッ<写真1>共同論文(英文版)の表紙1)<表1>共同論文の目次1、2)(注)ブループラネット賞について: ブループラネット賞については、旭硝子財団は以下のように説明している2)。“旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992 年(平成4 年)に、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を創設いたしました。 賞の名称ブループラネットは人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるように、との祈りがこめられています。”「環境と開発への課題:緊急になすべき行動」の目次第1 部 統合報告書(PART Ⅰ : Synthesis Report)まえがき(Preface)基調となるメッセージ(Key Messages)Ⅰ.問題Ⅰ -1 はじめにⅠ -2 変化を引き起こす基本的な要因Ⅰ -2-1 人口Ⅰ -2-2 経済Ⅰ -2-3 技術Ⅰ -2-4 社会政治Ⅰ -2-5 文化Ⅰ -3 世界的環境および地域的環境の現状と将来予測:気候変動と生物多様性および生態系サービスの損失が環境、経済、そして社会の持続可能性にもたらす影響Ⅰ -3-1 気候変動Ⅰ -3-2 生物多様性、生態系、生態系サービスⅠ -3-3 食糧の安全保障Ⅰ -3-4 水の安全保障Ⅰ -3-5 人間の安全保障Ⅱ . 解決に向けてⅡ -1 私たちのビジョンⅡ -2 行動の必要性Ⅱ -3 低炭素経済に移行するための技術上の選択肢Ⅱ -4 気候変動への適応Ⅱ -5 生物多様性の保護とその持続可能な活用に向けたアプローチⅡ -6 食糧の安全保障Ⅱ -7 水の安全保障Ⅱ -8 リーダーの能力・適性Ⅱ -9 優れた統治の重要性Ⅱ -10 地域協力Ⅱ -11 革新と草の根の活動Ⅱ -12 知識の創出と評価Ⅲ . 結論第2部 各受賞者からの論文(PART Ⅱ : Individual Contributors)別紙Ⅰ: 共同論文執筆受賞者一覧別紙Ⅱ: ブループラネット賞について