メカトロニクス7月号2012年

メカトロニクス7月号2012年 page 11/60

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MECHATRONICS 2012.7 11所 在 地:U R L:事業内容:横浜市港北区http://www.rittal.co.jp/インダストリアルエンクロージャーシステム/エレクトロニクスパッケージシステム/温度管理システム/分電・配電システム....

MECHATRONICS 2012.7 11所 在 地:U R L:事業内容:横浜市港北区http://www.rittal.co.jp/インダストリアルエンクロージャーシステム/エレクトロニクスパッケージシステム/温度管理システム/分電・配電システム/ITソリューション/コミュニケーションシステムの輸入および販売、など。リタール株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・していることなどが特徴になっています。また、冷却のほかに結露を防ぐためのヒータとしての使用も可能です。 次にご紹介するのは、「盤用クーリングユニット」です。最近では、新モデルの『Blue e』シリーズを発表し、ルーフ型の天井取り付けタイプ(写真3)とウォール型の側面取り付けタイプ(写真4)の2 種類を用意しています。日本国内でも天井や側面取り付けの同じような製品を製造/販売しているメーカーがありますが、他社製品との一番の違いは独自性のある“エコモード機能”を搭載しているところにあります。一般的な制御盤用クーラは、スイッチをONにすると内部循環ファンはずっと稼働し続けて冷やしていきますが、このエコモード機能は、内部の温度を検知して自動運転を行い、より効率的に冷却を行うための、進化した制御方法です。例えば、盤内設定温度を35℃にした場合、35 ℃になるとクーラが停止し、内部循環ファンのみ稼働します。盤内機器の発熱が少ない場合、内部循環ファンの稼働だけでも温度は下がっていき、盤内温度が25℃になると内部循環ファンも停止します。しかし、この後に盤内のどこかで熱だまりが発生することを防ぐため、10分ごとに30秒間内部循環ファンが稼働します。その後、再び盤内温度が上昇して25℃以上になると内部循環ファンが稼働し、35 ℃以上になるとクーラも稼働しだすというように、すべて自動制御になっています。他社製品にもこのエコモード機能に似た機能が搭載されている製品はありますが、当社のような盤内の温度に細かく対応できる制御ではないようです。また、このクーラの凝縮器に施されているセラミックの“ ナノコーティング”により、埃やオイルミストなどが凝縮器に付着しにくくなり、フィルタの交換や掃除などのメンテナンス作業が軽減されます。 この“エコモード機能”と“ ナノコーティング”により、実際のエネルギー消費効率を当社従来比で45%削減しています。 盤内を冷やす製品だけでなく、例えば寒冷地などで盤内が結露したりする時に使用する「盤用ヒータ」にも力を入れています(写真5)。当社の盤用ヒータにはPTCサーミスタを採用し、温度が上がると電気が流れにくくなり、温度が下がると電気が流れやすくなるという性質を利用して制御しています。一般的なヒータにはサーモスタットが搭載されていますが、この製品はPTCサーミスタを採用しているため、小型でシンプルな設計を実現し、滑らかな制御を可能にします。 このように当社の温度管理システムは、特徴のある製品をラインアップしており、国内だけでなく海外への輸出などにも、グローバルのサービス・メンテナンス体制によって対応できることが事業の強みになっています。 貴社の産業用ラックについて特徴や技 術などお聞かせ下さい高村:当社の産業用ラックに使用されている代表的なフレームである「TS 8(ティーエスエイト)」は、一枚の鋼板を16 回折り曲げてつくられています。この16 回折り曲げるロールフォーミング技術は、リタール社のコア技術で特許になっており、見た目は細く8 の字を模り非常に軽いのですが、高い強度をもっています。TS 8を採用した制御盤は、軽さと強度に優れ、通常の産業用ラックより積載能力があることが特徴で、防塵/防水性能にも優れています(写真6)。 また、これらの製品を製造する当社のメイン工場であるドイツの工場にも特徴があります。それは、水、埃、振動、電圧、温度変化などのテストや、ULなどの規格の認証を実施できるラボをもっていることです。例えば、製造された製品にIP55のテストをするため、水をある一定の距離からかけて検査する設備や、非常に細かいパウダを散布して製品内に入らないか検査する設備などがあります。定期的に外部監査を受けて設備の精度チェックを行っている、信頼度の高い機関です。 自社で製造した製品を自社で検査して、さらにULなどの認定書も出せるラボを自社でもっていることが、当社の強みにもなっています。 今後の展開についてお聞かせ下さい高村:先程、盤用クーリングユニットの新モデルとなる『Blue e』シリーズのお話しをしましたが、この製品を使用した実証実験をドイツのBMW 社と「冷却効率改善共同プロジェクト」という形で、同社のミュンヘンにある第1組み立て工場において実施しました。この工場には制御盤が167 面あり、それらに盤用クーラが装備されていますが、エコモード機能のある『Blue e』シリーズ採用が、工場の消費電力にどの程度の影響をもたらすかについての実証実験を、2009 年11月からスタートして1 年間実施しました。 結果として、盤用クーラの消費電力は、平均約719kWhだったものが、最大302kWhまで抑えられ、工場全体では平均約53%の電力消費の削減を実現しました。この実証結果により、同社ミュンヘンの第1組み立て工場の盤用クーラはすべて『Blue e』シリーズに変更することが決まり、工場全体で、1 年間約7 万kWhの電力消費削減と約42トンのCO2削減が実現されつつあります。 今日、日本の自動車メーカーなどでは、昨年来より続いている電力不足への取り組みが大きな課題になっています。工場内において、特に電力消費量が多いのはモータとクーラといわれているため、当社としてはクーラの電力消費量に関して、BMW 社の事例などを活かしながらご提案できればと考えています。 また、同じく熱問題が大きな課題となっているIT分野でも、高開口率のラックや、水を使った高冷却システム、コンテナ型データセンター、密閉型ラックにクーラや消火システムを搭載したオールインワンラック「Smart Package」など、様々なニーズに対応できるソリューションを展開しています(写真7)。 それから、今までリタールのビジネスモデルは、直販が多かったのですが、日本法人の当社としては約70名ほどの社員ですべてのユーザー様に細やかな対応をしていくのは非常に難しいため、今年の大きな目標としては、代理店となるパートナー制度の確立に取り組んでいます。さらに、営業部門の社員数も現状のままでは少ないと考えているので、採用活動を進めており、社員の増加とともに国内の営業拠点も増やしていきたいと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真5 盤用ヒータ写真7 オールインワンラックSmartPackage写真4 ウォール型クーリングユニット写真6 TS 8 を採用した産業用ラック