メカトロニクス2月号2012年

メカトロニクス2月号2012年 page 51/60

電子ブックを開く

このページは メカトロニクス2月号2012年 の電子ブックに掲載されている51ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
MECHATRONICS 2012.2 51 第2 節 地球温暖化対策の係る     国際的枠組みの下での取組  1 気候変動枠組条約に基づく取組  2 グリーン開発と気候に関するアジア太平洋   パートナーシップ(APP)及びエネ....

MECHATRONICS 2012.2 51 第2 節 地球温暖化対策の係る     国際的枠組みの下での取組  1 気候変動枠組条約に基づく取組  2 グリーン開発と気候に関するアジア太平洋   パートナーシップ(APP)及びエネルギー効率に関する国際パートナーシップ(GSEP)  3 G8環境大臣会合  4 G8北海道洞爺湖サミット  5 開発途上国への支援の取組  6 京都メカニズム活用と新たな二国間の枠組みの構築に向けた取組  7 気候変動枠組条約の究極的な目標の達成に資   する科学的知見の収集等  8 その他の取組 第3 節 地球温暖化防止に向けた国内対策  1 温室効果ガスの排出削減、吸収等に関する対   策・施策  2 横断的施策  3 基盤的施策  4 フロン等対策 2009 年度(2008 年4 月?2009 年3 月)におけるトピックスとして以下のものが知られている。① 2008 年4 月3 日:中央環境審議会地球環境部会 が「低炭素社会づくりに向けて ?ライフスタイル・ 社会資本・環境エネルギー技術のイノベーション ?」を公表*)② 2008 年5 月22 日:「2050 日本低炭素社会」 シナリオチームが「低炭素社会に向けた12の方策  (A Dozen of Actions towards Low-Carbon Societies)」を発表*)③ 2008 年6 月9 日:福田内閣総理大臣が「低炭素社 会・日本をめざして」を発表 2008 年7 月のG8 北海道洞爺湖サミットを控えた6 月9 日、当時の福田首相が発表した地球温暖化対策に関するビジョン(「福田ビジョン(FukudaVision)」とも称せられている)。④ 2008 年7 月29 日:「低炭素社会作り行動計画」 閣議決定 世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050 年までに半減」という長期目標を見据えて、低炭素社会にむけて、2008 年6 月の福田総理大臣(当時)および地球温暖化問題に関する懇談会提言の内容(福田ビジョン)をもとに、具体的な施策を示したもの。「2050 日本低炭素社会シナリオ:温室効果ガス70 %削減可能性検討」報告(日本を対象に2050 年にCO2 を1990年に比べて70%削減する技術的ポテンシャルを明らかにした)をもとに、どの時期にどのような手順でどのような技術や社会システム変革を導入すればよいのか、それを支援する政策にはどのようなものがあるかを、整合性を持った12 の方策としてまとめ、対策モデルと組み合わせて削減効果を定量的に把握し発表。■各分野における“低炭素社会”に関係する 組織的活動(1)地球規模での炭素循環の研究 地球規模での炭素循環を研究する組織として、“環環グローバルカーボンプロジェクト”(GCP:Global Carbon Project)が2001 年に設立されている。同組織は、地球システム科学パートナーシップ(ESSP)のもとで、地球圏- 生物圏国際共同研究計画(IGBP)、世界気候研究計画(WCRP), 地球環境変化の人間・社会的側面に関する国際研究計画(IHDP)と共同して、炭素循環などの地球環境維持に必須の課題を取り扱う共同プロジェクトのこと。その目的は、生物物理学と人間的次元およびそれらの間の相互作用とフィードバックを含むグローバル炭素循環についての包括的な、政策適切な理解を開発することとされている。 同プロジェクトの本部は、キャンベラ(オーストリア)にあるが、支部が2004 年に筑波市の国立環境研究所地球環境研究センターに設立された、当時の支部責任者は、ペネロピ・キャナン博士注3)であった。注3)ペネロピ・キャナン(Penerope Canan):オゾン層問題に深く関わり、国連環境計画の技術・経済評価パネル(TEAP)のメンバーとなり、TEAP の組織活動を社会科学的な立場で分析した「OzoneConnection」を執筆した。 同プロジェクトは、炭素循環(Carbon Cycle)について、以下のように説明している。 “われわれが人間社会を形成した方法が、バランスのとれた炭素循環に必要な自然のプロセスを変えてしまった。短期間で一斉に、われわれが大量の温室効果ガスを大気中に増加させてしまったため、地球は暖まり、さらに温度は上昇し続け、世界各地で気候システムの急激な変化を引き起こしている。そのため、自然の生態系に付加がかかり、気候パターンが変化し、多くの経済活動におけるリスクが高まりつつある(図1)”(2)産業界の対応 (社)日本経済団体連合会は、地球環境問題について時に応じて提言、意見書、声明を公表していることは前号で紹介した。低炭素社会問題については、以下のような事例がある。①(社)日本経済団体連合会:「地球規模の低炭素社会 の実現に向けて ?地球温暖化政策に関する提言?」(2010 年9 月14 日)②(社)日本経済団体連合会:「日本経団連低炭素社会 実行計画」(2009 年12 月15 日) 2010 年9 月14 日の提言は、以下のような構成の内容となっている。背景1.温暖化対策における技術の重要性2.国際的なイコールフッティング3.LCA的視点の重視4.国際貢献を評価する新たな仕組みの構築5.革新的技術開発の加速化6.新た政策手法の導入について7.終わりに この“7.終わりに”で以下の結論を述べている。・低炭素社会実行計画により、同一業種の企業が連携することで、目標やベストプラクティスの共有、LCA 情報の共通化、海外への技術移転など、個々の企業を越えた取り組みを推進。・低炭素社会実行計画を軸に、官民が一体となった取り組みを推進するために、政府等との対話を強化。(3)大学での対応 慶應義塾大学大学院では、2009年度に政策・メディア研究科の修士課程に「プロフェッショナル育成コース」の一つとして、“低炭素社会デザインコース”を新設した。同コースの内容は、“持続可能なアジアに向け、今後ますます重要性を増す低炭素化社会に貢献する高度な職業人を養成するもの。地球温暖化を防止し、持続可能な社会に移行する上で、極めて重要な課題である低炭素社会の構築に向けて、事業の企画・開発や炭素削減クレジットの市場流通拡大などに応えうる専門知識や実践的な問題発見・解決能力を有する人材を育成する。”とある。(2011.12.10 記)<参考資料>1)COP17/ MOP7 のホームページhttp://www.cop17-cmp7durban.com/2)近藤次郎:“地球環境問題:注目語'09”「現代用語の基礎知識2009」p757、自由国民社(2009.1)3)藤野純一:“第5章 低炭素社会実現への道筋”、小宮山宏・武内和彦・住明正・花木啓祐・三村信男:「サスティナビリティ学(2):気候変動と低炭素社会」p99-129、東京大学出版会(2010.9)4)藤野純一・榎原友樹・岩渕裕子:「低炭素社会に向けた12の方向」日刊工業新聞社(2009.9)5)環境省:「2007 年版環境・循環型社会白書」p50, (株)ぎょうせい(2007.6)6)西岡秀三:「低炭素社会のデザイン= ゼロ排出は可能か」岩波書店(2011.8)7)環境省:「2008 年版環境・循環型社会白書」p2-53, 日経印刷(株)(2008.6)8)環境省:「2009 年版環境・循環型社会白書」p110-121, 日経印刷(株)(2009.6)9)グローバル・カーボン・プロジェクト:「全球炭素循環に関する国際研究のための枠組み= 2005年ナ2006年概況」(2005.7) <図1>炭素?気候?人間システムの関係9)