メカトロニクス1月号2012年

メカトロニクス1月号2012年 page 52/60

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52 MECHATRONICS 2012.1《第33回》2 設計から始めよう(その31)図2-155 導光板から漏洩する光線(12型t3.2?0.8 表面にV字溝筋を敷設した・1998測定)図2-156 反射の形態2‐78) 図2-157 指数により変形する余弦....

52 MECHATRONICS 2012.1《第33回》2 設計から始めよう(その31)図2-155 導光板から漏洩する光線(12型t3.2?0.8 表面にV字溝筋を敷設した・1998測定)図2-156 反射の形態2‐78) 図2-157 指数により変形する余弦曲線5.側射型照明装置(その15)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その15)⑭ 反射シートⅰ 漏洩する光線と反射シートの役割 導光板を照射した光線は導光板の表面および裏面から放出される。表面からの放出光は液晶板を下面から照明する有効な光線であるが、裏面から漏洩する光線はまったくの損失になる。それではというので、裏面を反射機能材で接被覆すると、表面からの放出光の分布に悪影響を与え、所要の輝度分布が得られない。また裏面や表面に敷設する放出素子の形態をいろいろ工夫しても、裏面からの漏洩を抑制することはできない。漏光現象を容認せざるを得ないのだ。 漏光の状況は、導光板の広さ、導光板の厚さ、放出素子の形状、放出素子の大きさ、敷設の模様、敷設の場所などの要因や、あるいは被覆するシートの種類により、製作した導光板個々に全変万化の様相を呈するのだから、事前の設計でも予想できない。 したがって導光板の裏面に反射シートを配置する手段は必要となる。照明した導光板を輝度計で計測してみると、導光板の表面または裏面から放出される光線の量はどちらも同等ではない。しかし導光板に沿うように傾斜して、板の法線方向に対して約60°に傾斜する方向性があるのが共通している(既出図2-152、図2-155)。 裏面からの漏光方向性を有効活用して、反射シート面に特殊な形状を与えて光線を回帰させようとした反射シートの事例を、まだ知らない。そこまで詮索設計するよりも、拡散反射率を向上させる工夫をしたほうが良いのだろう。 実際の反射シートには種々の形態を与えている。白色シートが汎用されているが、ガラスビーズを散布したシートもある。漏洩光線が傾斜する性質があるため、鏡面反射シートは反射光線が傾斜するので、使用すべきでないだろうと思いきや、携帯用小型表示板のバックライトに装備されている事例がある。節電のためバックライトでの照明を消し、外光を液晶画面の表面から摂取して、この反射シートで回帰させ、液晶板を裏面から照明している仕組みだ。鏡面反射性のシートであるから、エッジライトの効率は当然ながら良好とはいえないが、携帯機器の使用特徴を生かすためである。ここでは反射の形態を3つに大別して理解してゆこう(図2-156)。ⅱ 正反射(鏡面反射) 平滑面を照射した光線は反対方向へ反射する。光線の挙動として最も基本的な性質である。入射面に垂直な法線に対して入射角と反射角とが常に等しい。 反射率を向上させるために、基板の平滑面に金属薄膜を単層もしくは多層に蒸着した構造が一般的。家庭用姿見(鏡)などはガラス裏面に蒸着して、反射膜が損傷されるのを避けている。ⅲ 拡散反射 一般の物体表面は完全な平滑ではないので、照射光線は拡散反射する。反射光線の拡散方向は入射点から扇形に拡張するのが普通である。拡散の状況を配光曲線に描き数式で表現すると、反射シートの特性を吟味するときに有益となる。Johann Heinrich Lambert(独国1728 ?1777 /数学者・天文学者・物理学者・哲学者)の余弦法則に準じて、私は次のように設定している。   L θ= L0 × [cos( Θ+ u・θ )v] w  Θ:反射光が強い方向 u:指向係数 θ:拡散角  v:拡散指数 w:配向指数 これらの因子のうちまず配向指数wのみを用いて余弦曲線を単純な形で表せば、配光曲線の意味する性質が体得できる(図2-157)。 如何なる素材を採用しようとも反射率は100%にはならない。入射光線は反射する前に素材中に一度は潜入して吸収されるからである。植物の緑葉では緑色以外が吸収されている。吸収された青波長450nm 付近の光は葉茎の正常な形態を育成し、赤波長610nm 付近は光合成を促進しているという。ⅳ 再帰反射 道路標識や安全上着など夜間暗所で照射光を反射させるフィルムやテープには、ガラスビーズ(φ 20 ?40 ?90 ?100 μm)などが織り込まれている(図2-158)。ビーズを照射した光線は内部背面で臨界角