メカトロニクス1月号2012年

メカトロニクス1月号2012年 page 11/60

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MECHATRONICS 2012.1 11所 在 地:U R L:営業品目:東京都八王子市http://kikuchiseisakusho.co.jp/金属およびプラスチック製品の試作並びに量産設計/製作/販売、各種金型設計/製作/販売、工作機械の設計/製作....

MECHATRONICS 2012.1 11所 在 地:U R L:営業品目:東京都八王子市http://kikuchiseisakusho.co.jp/金属およびプラスチック製品の試作並びに量産設計/製作/販売、各種金型設計/製作/販売、工作機械の設計/製作/販売、など。株式会社 菊池製作所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・などの内外装部品向け金型など、お客様の求める高い品質水準に応えうる金型生産技術の蓄積を行ってきたことが強みとなっています。 試作品の成形は、金属射出成形(メタルインジェクション製法:MIM)/プラスチック射出成形(モールド成形)/マグネシウム成形(チクソモールディング)/ホットチャンバー式アルミダイカストなどを行っています。 MIMは、複雑な形状の小型金属部品を効率よく製造する最先端の金属加工技術です(写真1)。これまで、小型金属部品は精密旋盤/機械加工/精密鋳造などで製作していましたが、MIM の技術を活用することで生産性が大幅に向上し、量産も可能になりました。 モールド成形は、樹脂を金型の中へ射出させ成形する製造法で、精度や生産性の確保が容易で納期の短縮、コストダウンが図れます(写真2)。金型材料として仕様に応じて、NAK(焼入材)/アルミ/ BS(真鍮)/鉄(もしくは複合)などに幅広く対応し、また成形品としては、3D 形状、インサート成形、アウトサート成形および当社独自のブロックビルド工法にも対応しています。 チクソモールディングは、成形の難しいマグネシウムをチップ状の合金にして金型に高速で射出成形する方法で、軽くて丈夫なマグネシクムの特性を活かしています(写真3)。当社では、プラスチックより強くチタンほどは高価でないマグネシウムのメリットに着目し、いち早く設備を導入してノウハウを蓄積し、量産にも対応しています。 ホットチャンバー式アルミダイカストは、高温の溶湯内で射出を行う方式で、金型に溶けた状態で直接純アルミを流し込むことができ、プラスチック射出成形のような複雑な形状が可能な技術です(写真4)。材料で純アルミを使用できることが大きな特徴になっています。ホットチャンバー方式では困難とされていたアルミ鋳造品の効率的な生産を、当社独自の技術とノウハウで可能にしました。薄肉0.3mm、公差±0.05mmの精度が可能であり、溶湯内で射出するため、気泡混入が少なく強度の高い製品が出来上がります。低圧力での射出のため、従来のコールドチャンバーに比べ金型の寿命が長いことも特徴の一つです。この技術は、当社の「一括一貫」体制を強めるために特に力を入れている事業の一つで、装置の性能を上げながら量産にも徐々に対応し、マーケットをつくりながら将来的には装置の販売も行いたいと考えています。 御社の「一括一貫」体制による試作品製 作力を活かして開発された自社製品に ついてお聞かせ下さい菊池:当社は、オンリーワンの製品開発を目指すため、産学官連携を推進する『ものづくりメカトロ研究所』を開設しており、そこで開発された製品をいくつかご紹介します。 メタルマイクロポンプは、平成21 年度ものづくり中小企業製品開発等支援補助金の適用を受けて研究開発を行いました(写真5)。この製品は、低価格化のために新規設計された金属マイクロポンプで、耐薬品性の高いハウジング、接着剤を使用しています。自己吸引が可能で、気泡に対する耐性が高いことが特徴です。バイオ/ライフサイエンス/分析機器関連分野、マイクロ燃料電池分野、電子機器の液冷関連分野などの用途に適しています。マイクロフローセンサは、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の業務委託を受けて研究開発を行いました(写真6)。この製品は、微差圧検出原理を基にしたSiチップを小型パッケージ化しています。液体/気体の両方の流量を同一原理で検出、温度変動に対する流量検出精度が高いことが特徴です。家庭用燃料電池/燃料電池自動車/マイクロ燃料電池関連分野、バイオ/ライフサイエンス/分析機器関連分野などの用途に適しています。 マイクロフローセンサは、引き続きNEDOとともに量産化に向けた事業展開を検討しており、また最終的には、ポンプとセンサを一体化した製品開発も視野に入れて進めています。 それから、ロボット事業として救助ロボットや医療/介護系の開発も行っています。救助ロボットは、容易に接近できない緊迫した様々な災害現場まで自走して接近し、遠隔操作により要救助者を機内に収容し救助を行う最新鋭のロボットです(写真7)。ロボット本体と操作台により構成され、バッテリー充電器などの補機類を装備しています。無線操縦または、機体後部に通信用光ファイバケーブル(100m)を装着しての有線操縦方式を採用し、交換式バッテリー(リチウムイオン電池)によるモータ駆動のクローラにより走行し、1 本のバッテリーで約2 時間程度の活動が可能です。また、救助ロボットの小型版(写真8)を同時に開発しています。こちらはより小型で軽量であるため、隘路などを通過でき、階段の昇降も可能で、地下街や建設物内などでの救助を想定しています。 これらの製品は、継続販売して収益をあげることは容易でないため、最近ではこれら製品の技術を応用開発し、災害現場の活動だけでなく無人で行うシステムとして幅広いニーズに対応しています。 また、将来的な事業の柱の一つとすべく、医療/介護の分野において、生活支援補助具や手術デバイスなどを、助成金を有効活用しながら大学と連携して開発を進めています。 今後の展開についてお聞かせ下さい菊池:当社の成長戦略として3つの柱を考えています。まずは、当社の既存技術を活かしてお客様のニーズに対応していく、「一括一貫」体制の基盤をしっかりと確立していくことが重要だと考えています。 次に、ホットチャンバー式アルミダイカストの事業展開を本格化させていくことです。この技術は世の中でもまだ新しい方式で、当社が考えている以上のマーケットになっていくと予想されるため、あとはどこまで普及させられるかが今後の課題となってきます。この技術を普及させることで、当社の「一括一貫」体制を強めることにもなりますし、社会貢献にも繋がると考えています。 また、ものづくりメカトロ研究所の強化も図っていきます。産学官連携を活かしたオンリーワンの製品開発を進め、メタルマイクロポンプ/マイクロフローセンサ、ロボット関連では医療/福祉など幅広い分野に事業を展開していきます。 上場したことにより、これら当社の成長戦略にもますます拍車がかかってくると思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 ホットチャンバー式アルミダイカスト写真6 マイクロフローセンサ写真7 救助ロボット写真8 小型救助ロボット写真5 メタルマイクロポンプ