ブックタイトル実装技術8月号2021年特別編集版

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概要

実装技術8月号2021年特別編集版

43パワーエレクトロニクスデバイス製造における少量から大量生産まで拡張可能なモジュラ型真空はんだ付けシステムはんだ接合技術は複数の理由で発生するが、ボイドのないはんだ付けの結果を得るには、主に次の二つの条件を満たす必要がある。?高いぬれ性をもった表面が必要である。基板またははんだプリフォームの酸化した金属表面による不十分なぬれは、高いボイド率を引き起こす可能性がある。従って、60 ℃を超える温度でのはんだ付け雰囲気中の高酸素濃度は避ける必要がある。金属界面の酸化された表面は、リフローする前の洗浄が不可欠となる。?溶融したはんだの内部に閉じ込められ、ボイドとして残っているガスの除去が必要となる。 パワーエレクトロニクスデバイスのはんだ付けは、通常、はんだペーストの塗布または、はんだプリフォームが使用される。双方のプロセス上のメカニズムは異なるため、最適な条件はプロセスごとに異なる。それらを以下で説明する。 はんだペーストには、金属酸化物を減らし、はんだの表面張力を下げるためのフラックスが含まれている。酸化物に比べて純金属のぬれ性が良く、表面張力が低いため、十分なぬれ性を実現できる。フラックスプロセスは、有機汚染が存在する場合でも非常に安定している。はんだペーストプロセスの欠点は、基板上および処理チャンバ内に残るペーストの残留物であり、真空チャンバの定期的な清掃を行う必要がある。また、ペーストの残留物を除去するために、基板を後工程のプロセス段階で洗浄する必要がある。 対してプリフォームプロセスは通常、残留物が無いため、基板の汚染及び機器の頻繁な洗浄工程を除外できる。また、通常、活性剤はプリフォームでは適用されず、酸化された基板表面の還元はギ酸によって実行される。約200℃の温度で、真空チャンバに導入されたギ酸エアロゾルは金属酸化物と反応して純金属、CO2、H2Oとなる。 リフロー段階での真空プロセスステップは、図2に示すように、ボイドを減らすのに役立つ。溶融はんだの内部に閉じ込められたガスは、溶融したはんだの液体状態にて気泡を形成するが、制御された真空プロセスにより、はんだ層のボイド領域が効果的に減少する。気泡の内部ガス圧とはんだの表面張力とチャンバの大気圧との間に平衡が形成され、大気圧の低ピンク・ジャパン(株)図2はんだ材料への真空ステップがある場合とない場合のはんだプログラムのX線画像。真空プロセスのない左側では、明らかなボイドが見られる。一方、真空プロセスを実施した右側では、同じ材料を用いたにもかかわらず、ボイドは見られない図1