ブックタイトル実装技術2月号2021年特別編集版

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概要

実装技術2月号2021年特別編集版

39 さらに、検出対象は、ピンポイントだけでなく、二次元の分布、時間変化、スペクトルなどの高次元の情報を求められるようになっている。 また、 医療用のデバイスやヘルスケア用のデバイスは、単にサブストレートの上にセンサ素子が搭載されているだけでは不十分で、サブストレートがプラスチックフィルムではなく、通気性があり、しかも伸縮性があるような材料が求められるようなケースが出てくる。 このような高度の要求を実現するには、フレキシブル回路を従来の銅箔をエッチングで加工するだけで実現するのには無理がある。 ところが、厚膜印刷技術を使えば、多くの問題点をいっきょに解決して、しかも 低コストで大量生産を行うことができる可能性がある。3. 荷重センサアレイの例 ここで取り上げるのはヘルスケア機器用に設計された荷重センサモジュールの例である。この荷重センサモジュールは、ベッドの上に敷かれて、寝ている人の荷重(圧力)が どのように分布しているかを検出する(図1)。 荷重の検出原理は単純である。まず電極が印刷形成されているシートを2枚用意し、その間ウレタンスポンジのような通気性があり、かつ、弾力性の高いシート(例えば、発泡ポリウレタンシート)を入れて、サンドイッチ構造にする。 この上に荷重がかかると、電極間のキャパシタンスが変化するので、その変化量を測定すればかかった荷重を逆算することができる。 電極の配列はマトリックス状になっているので、このセンサ回路は、大型にすることが容易である。 また、寝返りなどによる荷重の移動や変化をオンタイムで、測定することができる。 このような大きな回路を銅箔エッチングプロセスで加工しようとすると、銅張積層板の大きさによる制限が大きく、運が悪いと材料効率が非常に悪くなってしまう。 この傾向は、回路が大きいほど顕著になる。ところが、厚膜印刷プロセスでは、このような材料の制約がなくなるので、回路の大きさに関する制約は、大幅に小さくなる。 厚膜印刷プロセスで使われる出発材料は銅張積層板ではなく素材に近いものなので、使える材料のサイズが大きく、しかも コストは小さくなる。 使える材料の種類も幅広い。伸縮性のあるゴムや布も対象になる。また布や紙のような通気性、吸湿性の高い材料でも、苦にしない。 スクリーン印刷の場合、スクリーン版の大きさが、回路の大きさの限界になるが、 実際に1メートル×2メートルの大きさのスクリーン版が量産に使われている。ベッド用の製品となると、幅1メートル、長さ2メートル位になる可能性があるが、 1回のスクリーン印刷で十分にカバーできる。 センサの具体的な構造は、図2のような構成になっている。(ここに示した構成は、あくまで一つの例で、使用目的や前提条件によっては、さまざまな変化がありうる。) 被検診者は長時間ベッドの上に 留まることになるので、そのQOL(Quality of Life)を考慮すれば、回路の基材は、シーツのように、 吸湿性があり通気性も良い布地ということになる。図1 厚膜印刷法で作られたベッド用大型フレキシブル荷重センサアレイ図2 厚膜印刷法で作られる靴底用フレキシブル荷重センサアレイの構成