ブックタイトル実装技術10月号2020年特別編集版

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概要

実装技術10月号2020年特別編集版

421. はじめに 前回は、厚膜印刷回路の基本となる両面、多層回路について、主に構造的な面から説明した。通常の銅張積層板をエッチング加工して形成する一般的なフレキシブル基板に比べて、多様な構造を、はるかに単純な製造プロセスで、形成できることが理解できたかと思う。しかしながら、厚膜印刷回路の特徴を活かせるのは、これからである。銅箔をエッチング加工して得られるプリント基板は、単に電気を流すだけの機能しかないが、アディティブプロセスである厚膜印刷回路の加工プロセスにおいては、様々な機能材料を付加することにより、多様なエレクトロニクスデバイス含んだ電子回路を作り出すことが可能になる。本稿からは、もっとも基本的なデバイスである受動部品の回路について説明していくことにする。2. 機能回路とは 通常の銅箔エッチング回路がもっている機能は、基本的に電気を流すことだけである。その上に、はんだ付けなどの実装技術を使って各種電子部品を搭載したり、他の回路基板と接続したりして、プリント基板回路として様々な機能を生みだす機能回路になる(図1、図2)。これは、硬質基板であろうと、フレキシブル基板であろうと同じである。一方、厚膜印刷回路の場合、適当なインク材料さえあれば、様々な機能を、プリント基板の中に直接作り込むことができる。このように基板を作るプロセスの中で、同時に電子部品の機能を作り出すことにより、電子回路を大幅に薄型軽量化が実現すると同時に、コストダウンも期待できる。ただし、全ての電子部品機能が印刷プロセスで形成できるようになっているわけではない。また、技術的には、その部品機能を印刷形成できたとしても、トータルコストで有利でなければ、採用される可能性はあまりない。 JISによれば、電子機器に使われる電子部品は、大きく受動部品、機構部品、能動部品とに分類されている(図3)。受動部品はさらに、抵抗器、コンデンサ(キャパシター)、コイルに分けられる。機構部品は、コネクタ、スイッチ、リレーとに分けられる。三番目のカテゴリーに分類されるのは能動部品であるが、近年新しいアイデアに基づいて、新しいカテゴリーが創出されてきている。これらの電子部品は、大なり小なり、印刷プロセスで加工することが可能になってきている。 さらに、これらの分類に入らない電子部品として、マイクロフォンやスピーカ=などの音響部品、一次電池や二次電池のような、蓄電部品、発電部品、各種センサなどが挙げられるが、多わかりやすい厚膜印刷回路入門~初歩から最新技術まで~第5回 機能回路DKNリサーチ / 沼倉 研史図1 表面実装部品を搭載した硬質基板モジュール図2 表面部品を搭載したフレキシブル基板モジュール