ブックタイトル実装技術10月号2020年特別編集版

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概要

実装技術10月号2020年特別編集版

321. はじめに プリント回路基板(PCB)の個片カット(デパネリング)は一般的にPCB 実装組立ラインのプロセスチェーンの一番最後に行われる工程である。デパネリングにより実装済みのプリント基板が大きなシート・パネルから分離され個片化される。現状では実装済みPCBを分離するために刃物を使用した切断加工が選択されているが、精度向上、コスト削減、品質の要求が高まるにつれ新たな加工方法を選択する必要がでてきた。特にレーザ加工によるデパネリングである。 本稿ではPCBデパネリング装置として、多くの導入実績を持ち、ドイツTier1にも採用されたLPKFレーザデパネリング技術を解説する。2. 従来のプリント基板切断方法の利点と弱点 シンプルなPCB 分割レイアウトの場合、ダイシング加工やルータ加工といった従来のプロセスが高速に加工できることもあり、最初の選択肢となる。現在PCBを個片にするために使用されている加工技術の利点と弱点をまとめてみる。■ ダイパンチング パンチ(凸型の工具)とダイ(凹型の工具)を組み合わせた金型により、PCBを打ち抜き加工する。このプロセスはせん断の原理に基づいている。ダイパンチングは大量生産に適した加工であり最初の選択肢になるが、基板レイアウトの変更ができないことや、機械的ストレスがPCBにかかることを想定しておく必要がある。 ?利点…加工スピード ?弱点…切断品質(バリなど)・金型コスト・加工ロットの安定・     機械的ストレス■ ルータ加工 切削工具を回転させ、フライス加工によりPCBを切断するプロセス。PCB への機械的ストレスはかかる。?利点…柔軟性(小ロットへの対応)?弱点…治具作成費用・粉塵・加工ロットの安定・機械的ストレス■ ダイシング加工 ダイシング加工による実装基板のカットはローラーブレードにて行われる。この方式では直線のみの加工が可能であるが、機械的ストレスや発塵を気にしなければ大型かつ方形の回路基板を高速に加工することができる。 ?利点…加工スピード ?弱点…柔軟性(直線のみ)・粉塵・機械的ストレス 刃物を使用した機械加工は刃物の摩耗を考慮する必要があり、刃物の状態により加工品質は変化する。また粉塵については追加のクリーニング工程を必要とし、機械的ストレスを緩和するためには一定の非実装面積を必要とする。治具作成や位置合わせなどの段取りについても考慮する必要があり、多品種小ロットへの対応は比較的時間がかかる。3. プリント基板レーザ技術1. レーザ加工の原理 プリント基板へのレーザ加工というと、ビルドアップ基板に対する穴あけやレーザマーカによるマーキングがすぐに想定される。フレキシブル基板に対してのレーザカットを想起される方もいるかもしれないが、PCBに対してのレーザカット、となると初めて聞かれる方も多いかもしれない。 レーザデパネリングではパルスレーザを使用する。パルス毎に定量の材料が除去される(図1)。レーザを水平移動させることで加工が線になる。材料の切断は層ごとに行われることになり、 理論的には厚みのあるPCBでもレーザ切断処理LPKF Laser&Electronics(株) / 上舘 寛之プリント基板の最先端レーザカット技術?ドイツTier1に認められたLPKFのレーザデパネリングテクノロジー?