ブックタイトル実装技術10月号2020年特別編集版

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概要

実装技術10月号2020年特別編集版

18電子部品12      はじめに JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)では、「電子部品」は受動部品(コイル、抵抗、コンデンサ、小型トランス、その他)のことを指し、一般的にイメージする半導体などの能動部品は「電子デバイス」と呼んで区別している。受動部品は構造が単純で小さく目立たない存在であるが、エレクトロニクス製品には欠かせない必須な機能をもつ重要な部品である。特に通信機器にはセット1 台あたりの使用数(単量)が多く、特にコンデンサはスマートフォン1台に数百個、自動運転のEV(電気自動車)では一万個近い使用数が見込まれている。国内電子部品メーカー45社の過去5年間の売上と経常利益の推移は順調に伸びてきたが、今年年初から始まった新型コロナによるパンデミックの影響を大きく受け、2019年度は前年度に比し下降傾向となった(図1)。 昨年のJEITAの統計によると、受動部品の2019年度グローバル出荷金額は約1 兆5700 億円であり、コンデンサの割合はおよそ70 %を占め受動部品ではトップである(図2)。   コンデンサの原理と構造 コンデンサという言葉は凝縮することを意味しており、電気を凝縮して蓄積することから来ていると思われる。欧米ではコンデンサというと電子部品でなく大きな機械設備の凝縮器を意味するため、キャパシタ(capacitor)とよばれている。またコンデンサは発電所や変電所用および鉄道車両用などの強電用とスマートフォンなど弱電用の超小型まで幅広い種類がある。ここでは主に弱電用のコンデンサについて述べる。 電気を蓄えた後、再びその電気を取りだして利用するということで表面的には二次電池と類似している。根本的に異なる点は、以下に述べるようにコンデンサは電池に見られるような化学変化はなく、電気を電気(電荷)としてそのまま蓄えていることである。化学変化を伴わないため、電池に比して寿命が大幅に長い、という点が長所である。もう一点の特徴は、電気を瞬時に蓄え、瞬時に放出することができる、というところにあり、二次電池と異なるところである。 コンデンサは二枚の電極と電極間の絶縁物から構成されている単純な構造の電子部品である。電極材料の種類と大きさ(特に面積)、電極間の距離、および絶縁体の材料特性(特に誘電率)により様々な種類がある。コンデンサの主目的は、電気を溜めることである。 電磁気学的には二枚の電極に電圧Vを加えると内部に電荷Qの偏り(電界E)が生じる(図3)。この関係を数式に書くと、たかがコンデンサ、されどコンデンサNPO法人 サーキットネットワーク / 梶田 栄図1 国内電子部品メーカの推移図2 2019年度受動部品出荷比率(金額ベース)