ブックタイトル実装技術2月号2019年特別編集版

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概要

実装技術2月号2019年特別編集版

12検査技術12   はじめに 企業では製品の国際競争力を高めるため、製品の小型化と高性能化を目指し、様々な努力をしている。実装基板においては、小型化と高機能化を実現するため、1チップで高機能なArmプロセッサを利用したり、Armプロセッサを内蔵したFPGAを利用して1チップ化したりするケースが増えている。これらはすべてBGAチップが中心であり、さらなる小型化を目指して、狭ピッチのBGAが使われることも増えてきた。しかし、狭ピッチのBGAは実装の難易度が高く、実装不良が多発して問題となっている。 また、厳しい価格競争に打ち勝つためには、開発コストの削減、製造ラインの効率化と合わせて、検査と保守コストの削減が求められている。検査と保守のコストを削減するためには、製品の信頼性を向上しつつも検査タクトをいかに短縮するか、どのような検査装置を使って基板全体のテストを実現するかを考える必要がある。 今回は、JTAGテスト(バウンダリスキャンテスト)の仕組みと、他検査との複合テストによるカバレッジの補完と活用例を紹介する。   小型BGA基板検査の構成と検査 一般的な小型BGA実装基板の構成は、電源回路、アナログ回路、デジタル回路の3つのブロックに分けられる。電源回路は、外部電源を入力して、基板内で使用するための複数の電源を生成している。電源を生成するためのレギュレータICは、SOP(SOIC)、DIPパッケージの部品が多く、基板の中ではもっとも実装密度が低いブロックが電源回路となる。 アナログ回路では、センサ、モータ、音声などのアナログ信号の制御を行っている。使用している部品は、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、オペアンプ、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、ダイオードなどが多い。BGA部品は比較的少なく、基板の中では中程度の実装密度のブロックがアナログ回路となる。 デジタル回路には、製品のプログラムを実行するためのプロセッサ、FPGA、DSPを中心として多ピンのBGA部品が使用されている。また、プログラム格納用のフラッシュメモリ、プログラム実行と画像処理用のDDRメモリから構成される。これらの外部メモリにもBGAパッケージの部品が多く使用されるため、基板の中ではもっとも実装密度が高いブロックがデジタル回路となる(図1)。 これらの回路をどのようにテストするかを考えると、電源回路とアナログ回路は実装密度が低い場合が多く、テストパッドを配置してプローブピンをコンタクトすることができるため、インサーキットテストで検査できる範囲となる。しかし、デジタル回路においては実装密度が非常に高く、BGA部品が中心となる。テストパッドを配置するスペースが無く、BGAは実装後にプロービングできないため、インサーキットテストではテストすることができない。そのため、JTAGテストが最も有効な検査手法となる(図2)。 また、外観検査(AOI)の検査範囲を考えると、電源回路とアナログ回路はBGA部品が無く、AOIでテストできる。しかし、デジタル回路の中心であるBGA部品のはんだ接合面は外観では見ることができないため、AOIでは検査することができない。この範囲は、JTAGテストとX線検査でカバーする必要がある(図3)。 JTAGテストを行うためには、IEEE1149.1 バウンダリスBGA実装基板の不良箇所を特定するJTAGテストによる量産検査と不良解析の改善アンドールシステムサポート(株) / 谷口 正純図1 一般的なBGA基板の構成